- パーキンソン病の各種薬剤の副作用については治療法の薬物療法の項に記述してあるので、ここでは、長期間抗パーキンソン病薬を服用していると出現してくる症状や問題点についてお話しします。 長期服用で生じる問題点には以下のものがあります。
- 薬の効果減弱
- 不随意運動(ジスキネジア、ジストニア)の出現
- 症状の日内変動 Wearing-off(すり減り)現象 ・on-off(オンオフ)現象
- すくみ足
- 精神症状の出現
以下に詳しくのべます。
- 長期に服用していると、同じ量のお薬を服用しているのに、服用しはじめの頃とくらべパーキンソン症状の改善度が悪くなってくる。また、お薬の効果のある時間が短くなってくる。この場合パーキンソン症状全般に渡って効果の減弱がある場合と、とくに寝返りや立位回旋などの動作だけが改善しないとか、構語障害だけが改善しないなどの効果の減弱もあります。長期服用で生じる問題点のどれにもあてはまることですが、このような状態になる理由として以下のことが考えられています。
- 黒質神経細胞の変性が進行した。
- 神経細胞の変性が他の部位や大脳皮質まで広がった。
- 黒質神経細胞などのドーパミンを使っている神経細胞の活動がが安定であったり、正常な活動ができなくなった。
- 薬の吸収(小腸→血管内→脳血管内→神経細胞)や代謝が変化してきた。
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- 服薬後、薬の効果が最高に達する前、効果が最高に達している時、薬の効果が切れ始める頃などにジスキネジア、ジストニアといわれる不随意運動が出現することがあります。この理由も前項で述べた如くです。不随意運動は口唇、顔面、舌、体幹、四肢などさまざまな部位に認められ、また不随意運動の形も様々です。舌をひっきりなしに出し入れしたり、四肢の踊るような運動であったり、体幹を絶えず落ち尽きなくくねるような運動であったりします。
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- 服薬するとお薬の効果が徐々に出てきて、徐々に切れはじめるというのが普通のお薬の効き方ですが、以下のような現象が長期服用で生じてくることがあります。
- 薬を服用しても、服用前とパーキンソン症状が同じかかえって悪化してしまう。すり減り現象ともいいます。
- 服薬時間に関係なく突然スイッチを切ったように動けなくなるオフ、また、突然動けるようになるオンなどの現象がオンオフ現象といわれるもので、一日の内に何度も出現することが多いようです。
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- 歩行の第一歩が踏み出しにくいという症状で、治療により長い間この症状が消失していたのに、またすくみ足が出現してくることがあります。歩きはじめてしまえば普通に歩けるのにすくみ足のために歩行が困難になり、機能低下をきたすことがあります。
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- パーキンソン病の薬には、幻覚や妄想が副作用としてあげられていますが、長期に服薬していると、それまでなかったのに幻覚や妄想がとくに夜間に出現してくることがあります。特に、多発性脳梗塞を合併している患者さんや高齢の患者さんに多いようです。 (対策) これらの症状は先に述べたように複雑な要因があらみあって出現してきています。したがって、これらの症状が出現した時は、患者さんのそれぞれに応じて治療法の変更が必要になります。神経内科専門医とよく相談しながら解決することが重要です。
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