ヤマハは09年、二輪車レース「全日本ロードレース」「全日本モトクロス」「全日本トライアル」の3部門で2年連続年間優勝の偉業を達成した。ロードレースJSB1000の中須賀克行(28)、モトクロスIA1クラスの成田亮=あきら=(29)、トライアルIAスーパーの黒山健一(31)の3選手に、3部門での年間王座獲得の思いと、新シーズンへの決意を聞いた。【西村綾乃】
中須賀選手は市販車をベースにしたオートバイでタイムを競う「全日本ロードレース」のJSB1000クラスで年間王者に輝いた。レースは「スピード、音。そしていい悪いがはっきりしているところが魅力」という。
成田選手は、未舗装の周回コースでスピードを争う「モトクロス」の年間チャンピオン。レースは30分プラス1周の決勝戦を2度行い、獲得ポイントの合計で勝敗を決める。自然の地形を生かした起伏のあるコースの中で、ジャンプ台を跳ぶなどアグレッシブな戦いが展開され、成田選手は「ロードレースなどと違い、参戦車両(約30台)が一斉にスタートする迫力を見てほしい」とPRする。
黒山選手は、速さではなく、技の正確性などを競う「トライアル」で自身9度目の年間王座を獲得した。試合は障害物が設けられたコースで、定められた走行時間内に、足つきや、エンジン停止などの減点していく採点で順位を争う。黒山選手は「人との争いではなく、自分との戦い。見上げるような岩を登ったり、川に入っていったり、自分でも行けるか行けないかワクワクするので、見ている人にもその高揚感が伝われば」と話す。
08年に3選手で初の3冠を記録。09年は2連覇を懸けて戦った。09年10月26日に成田選手と黒山選手が先に連覇を達成。1週後の11月1日、成田選手も応援に駆けつける中、中須賀選手が年間チャンピオンを決め、二輪業界で初めて2年連続の3冠を達成した。
黒山選手は「3人のうち1人でも欠ければ達成できなかった2年連続の3冠。二輪史上初のことなのでうれしい。僕としては9度目の全日本チャンピオン。これはモトクロスの東福寺保雄選手と並ぶ記録。来年は10度目の優勝を狙う」と連覇へ意欲を見せる。
成田選手は4月、トレーニング中に左腕を骨折。苦しい始まりだったが、5月の復帰戦(第4戦広島)で優勝し、流れを引き寄せた。「治療中、ファンからの応援に励まされました。みんなの力で取れたチャンピオンだと思う」とかみしめる。まだ握力など指の感覚は戻らないが、「これまでプロで81勝しているので、10年は100勝を目指して頑張る」と闘志をみなぎらせる。
中須賀選手は「最終戦はトップに9ポイント差で迎えた。年間優勝を懸け、勝つことに集中した。2人(黒山選手と成田選手)が王者を決めていたので緊張しましたね。目標は世界。チャンスがあればいつでも行けるように準備したい」とさらなる飛躍を誓った。
「全日本トライアル」は3月14日、「真壁トライアルランド」(茨城県桜川市)で開幕。「全日本ロードレース」は「筑波サーキット」(茨城県下妻市)で、「全日本モトクロス」は「名阪スポーツランド」(奈良県山添村)で、ともに4月4日に開幕する。
2010年1月6日