交通事故で障害を負った男性が、全国障害者スポーツ大会で優勝した記念に、地元の富田林市へ車いすを寄贈した。男性は自動車教習所の指導員、岡部和人さん（４４）。岡部さんは「今後も車いすの寄贈で障害がある他の人の励みになりたい」と、２年後にロンドンで開かれるパラリンピック出場を目指し挑戦を続ける。

　オリックスドライビングスクール弁天町（大阪市港区）に勤務している岡部さんは平成１２年７月、飲酒運転の車にひかれ、全身骨折の大けがをした。

　職場復帰までの１年７カ月間の入院生活中、水中での歩行訓練など懸命にリハビリを続けた。右下肢に機能障害が残ったため、２０年２月、リハビリと体調維持を目的に府立障がい者交流促進センター（堺市南区）に通い、砲丸投げと円盤投げの練習を始めた。

　ところが、岡部さんは事故によるＰＴＳＤ（心的外傷ストレス障害）を発症。「練習会場に行くまでの道が怖い」という岡部さんのために、会社の同僚らが休日をやりくりし送迎したり、スポーツ施設のオーナーが練習場所を提供するなど、周囲の応援もあり岡部さんはめきめき上達。

　昨年３月の九州チャレンジ陸上競技選手権大会で２位、５月の府障がい者スポーツ大会では優勝。１０月に新潟で行われた全国障害者スポーツ大会に府代表として出場、砲丸投げとソフトボール投げの両部門で大会新記録で優勝した。

　岡部さんは「皆の応援があってこそ。今後も大きな大会で優勝するごとに車いすを寄贈し、恩返ししたい」。岡部さんの夢は２０１２年にロンドンで開かれるパラリンピックへの出場だ。「非常に高いハードルですが、悔いのない挑戦をしたい」と、意欲を燃やしている。