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【社会】

サイ、ゾウ…祖先の足跡650個 可児で国内最大規模の化石群発見

2010年1月12日 朝刊

大量に発見された大型哺乳動物の足跡化石=11日、岐阜県可児市下切で

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 岐阜県可児市下切の可児川河川敷に広がる約1800万年前の地層「平牧累層」から、大型哺乳(ほにゅう)動物を中心にした4類型の約650個の足跡化石が見つかった。調査した岐阜聖徳学園大の鹿野勘次・非常勤講師(62)=地質学=は「同時期の足跡化石群では国内最大規模」と説明し、サイ、ゾウ、シカなどの祖先の足跡とみている。

 同県関市寺尾小の藤岡比呂志教頭(50)らが昨年6月、地質調査中に発見し、2人が11日に記者発表した。

 化石は、ひづめ型から2つから4つ指まで幅広く、約300平方メートルに集中していた。同県御嵩町南部から愛知県犬山市北部に広がる平牧累層では、サイ、ゾウ、シカなどの祖先の化石が多く出ており、鹿野講師らはその足跡と判断した。近くにヨシ類が自生していた跡もあり、湿地帯で動物が群れる水飲み場だったと推定している。

 動物の歩幅や全長を推定するのに役立つ歩行跡がはっきりした化石もあった。鹿野講師は「足跡は骨や歯と違い、その場に生きていた証しで、太古のロマンを感じる」と語る。

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 現場を見た糸魚川淳二・名古屋大名誉教授(古生物学)は「これまで出た哺乳動物の化石と関連づけて調べることで、獣の暮らしや生活環境を復元するのに重要な資料になる」と話した。

 化石は県の河川改修で業者が川沿いの地表をならし、露出した。泥岩質の地層表面に見られ、動物が泥に足を踏み入れた後に砂が穴を埋め、上から地層が重なり保存された。

 足跡は河川改修の影響で3月にもほとんど消滅する。鹿野講師は主な足跡の石こう型を採り、成果を9月の日本地質学会で報告する。現地説明会は16日午後1時から。問い合わせは可児市教育委員会=電0574(62)1111=へ。

 

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