銀座の氏神・鉄砲洲稲荷神社で「寒中水浴」−みそぎはらいで80人入水 /東京
1月12日6時7分配信 みんなの経済新聞ネットワーク
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多くの見物人が押し寄せた今年の「寒中水浴」。氷柱を浮かべたプールへ入水し中腰の姿勢で「振魂」を行う |
寒垢離(かんごり)や寒みそぎと呼ばれ、江戸時代に薄着と水浴により難病から救われた地元の人々が氏神への感謝の気持ちを込めて始まったとされる同神事は、武士や庶民の間で年始めの行事として広く行われてきた。同神社では1908(明治41)年、先代の中川宮司が「寒中水浴大会」として復活させ、今年で55回目を迎える。
陽光うららかな当日の気温は8度。神楽殿からお囃子(はやし)が鳴り響くなか、午前11時、境内中央に設置された氷柱入りのビニールプールの周りに越中ふんどしに白鉢巻きを絞めた男性73人と白装束に身を包んだ女性7人が一斉に並んだ。参加者は20〜70代の男女で、最高齢は76歳の男性。
行法は体の邪気を発散させつつ心と霊魂を浄化統一する「鳥船」から始まり、櫓(ろ)で船を漕ぐ動作を掛け声と共に繰り返し行う。息が合ってきたところで、和歌を動作に続けて読み、呼吸法とともに霊魂の浄化を促すと言われる。
続いて、腹の前で卵を抱くように両手を上下に重ね、胸から腹にかけて上下にゆっくりと振りながら「はらえ戸大神(はらえどのおおかみ)」と何度も唱える「振魂(ふりたま)」、腰に手を当て仁王立ちの姿勢で「生魂(いくたま)」「足魂(たるたま)」「玉留魂(たるたまる・たま)」と叫ぶ「雄健(おたけび)」、2本の指で邪気を斬る「雄詰(おころび)」と続く。
最後は深呼吸法「氣吹(いぶき)」を経て、準備運動のため神社一周のジョギングを行った後、2本の指で水を切り、参加者は氷水のプールに身を投じた。歯を食いしばりプールの中で中腰の姿勢で「振魂」を行うグループと、プール周りで鳥船を行うグループとに分かれた。その姿は真剣そのもので、新年の神事を一目見ようと集まった人で埋め尽くされた境内には、その様子をカメラに収めようとする見物人のシャッター音があちこちから上がった。
神事が終わると参加者の顔にようやく笑みが浮かび、「冷たい」などの声もこぼれた。近隣の銭湯へ移動する人、プールへ再度入水し氷柱を抱きかかえる人、プールの中で記念撮影をする人などさまざま。鐵砲洲稲荷神社弥生会の星宏幸さんは「参加者もしかり見物人も昨年と比較すると増えている。このような神事を後世にも継承していきたい」と話す。
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鉄砲洲稲荷神社
最終更新:1月12日6時7分
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