仕事にはどんなものがあるのか、私は分かりやすく4つに分類します。図をご覧ください。仕事には、緊急度の高いものと低いもの、重要度の高いものと低いものがあります。緊急度が高くて重要度も高い<エリア1>については、社員は率先して片付けようとします。では、社員が次に向かう仕事はどれでしょうか。一方で、会社としては、どれをやってほしいでしょうか。
社員が向かってしまうのは、緊急度が高くて重要度の低い仕事<エリア2>なのです。社員はそこに目が向いてしまう。社員というのは、仕事を山ほど抱えていますから、緊急度でプライオリティーを付けてしまうものなのです。しかし、実は会社として取り組んでほしいのは、重要度が高くて緊急度が低い<エリア3>であることは、とりわけ経営者や管理者の方々なら、おわかりいただけるでしょう。そして、会社の課題や、根の深い問題は、ここにこそたくさん眠っています。
社員は緊急の仕事とラクな仕事をしてしまう
そして重要度も低く、緊急度も低い<エリア4>は、処理できるに越したことはありませんが、忙しい時には<エリア3>以上の優先度はありません。ところが、社員の多くが、<1><2>の仕事を終えると、<4>の仕事に向かってしまうのです。なぜかといえば、<4>のほうが簡単だからです。学生時代、試験の時には効率から考えて簡単な問題から片付けていきなさい、といつも習っていましたから、その優先順位付けも一概に間違いとは言えませんが、そうしてしまう。
そもそもこれは人間すべてがそうだと思いますが、面倒なこと、時間がかかりそうなことは本能としてやりたくないのです。しかも学生時代、試験の時も簡単な問題から解いていくよう習ったように、その方が効率がいいことも事実です。結果として、やりやすいところから仕事は進んでしまう。それこそ、誰かに急かされでもしない会議、重要度の大きい<3>にはなかなか手がつけられないのです。