「吉越浩一郎の「結果の出る会議」」

吉越浩一郎の「結果の出る会議」

2010年1月12日(火)

してほしい仕事を、部下がしてくれます

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 仕事にはどんなものがあるのか、私は分かりやすく4つに分類します。図をご覧ください。仕事には、緊急度の高いものと低いもの、重要度の高いものと低いものがあります。緊急度が高くて重要度も高い<エリア1>については、社員は率先して片付けようとします。では、社員が次に向かう仕事はどれでしょうか。一方で、会社としては、どれをやってほしいでしょうか。

 社員が向かってしまうのは、緊急度が高くて重要度の低い仕事<エリア2>なのです。社員はそこに目が向いてしまう。社員というのは、仕事を山ほど抱えていますから、緊急度でプライオリティーを付けてしまうものなのです。しかし、実は会社として取り組んでほしいのは、重要度が高くて緊急度が低い<エリア3>であることは、とりわけ経営者や管理者の方々なら、おわかりいただけるでしょう。そして、会社の課題や、根の深い問題は、ここにこそたくさん眠っています。

社員は緊急の仕事とラクな仕事をしてしまう

 そして重要度も低く、緊急度も低い<エリア4>は、処理できるに越したことはありませんが、忙しい時には<エリア3>以上の優先度はありません。ところが、社員の多くが、<1><2>の仕事を終えると、<4>の仕事に向かってしまうのです。なぜかといえば、<4>のほうが簡単だからです。学生時代、試験の時には効率から考えて簡単な問題から片付けていきなさい、といつも習っていましたから、その優先順位付けも一概に間違いとは言えませんが、そうしてしまう。

 そもそもこれは人間すべてがそうだと思いますが、面倒なこと、時間がかかりそうなことは本能としてやりたくないのです。しかも学生時代、試験の時も簡単な問題から解いていくよう習ったように、その方が効率がいいことも事実です。結果として、やりやすいところから仕事は進んでしまう。それこそ、誰かに急かされでもしない会議、重要度の大きい<3>にはなかなか手がつけられないのです。



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著者プロフィール

吉越 浩一郎(よしこし・こういちろう)

吉越 浩一郎1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンに勤務。87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に退任。同社は毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。2004年には『平成の名経営者100人』(日本経済新聞社)の1人に選出された。2008年、第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞。
現、吉越事務所代表。現在、東京と、夫人の故郷である南フランスの2カ所を拠点にしつつ、国内各地で幅広く講演活動、執筆を行う。


このコラムについて

吉越浩一郎の「結果の出る会議」

私が社長を退任するまで、トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、19年連続して増収増益を達成しました。この間に、売上高は5倍の規模になりました。バブル崩壊があり、厳しいデフレ不況があったにもかかわらず、です。なぜ、これほど長期にわたって会社を成長させられたのか。その最大の要因は「会議」にあったと私は考えています。どうぞ、これまで会議を軽んじてきたツケを、ここで清算してみてはどうでしょう。「その気になれば誰でもできる吉越式会議」をこのコラムではそっとお教えします。

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