小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない問題で、この4億円の資金移動と並行し、銀行から同額の融資を受ける不自然な取引が行われていたことがわかった。東京地検特捜部は、この取引は購入原資を隠すための工作だったとみて捜査している。
これらの資金操作はすべて陸山会の事務担当者だった元秘書・石川知裕衆院議員(36)=同党、北海道11区=が担ったとされる。だが、小沢氏が土地取引を指示し、取得を了承▽石川氏が任意の事情聴取で、購入原資4億円は「小沢氏の個人資産」と供述▽銀行融資では、小沢氏が書類に署名――など、これまでの捜査で小沢氏が関与した疑いが浮上。特捜部は、小沢氏自身の資金操作への認識や関与の程度について、近く任意の事情聴取で詳しく説明を求める方針だ。
関係者によると、陸山会は複数の銀行口座を保有。石川氏は04年10月28日までの数日間に、同会のいくつかの口座に数千万円ずつ分けて入金したうえで、ある一つの口座に集約させた図〈1〉。石川氏は特捜部に、この4億円は「小沢氏から紙袋で受け取った」と説明したとされる。
同29日午前、石川氏は土地購入代金として、事前に支払い済みの手付金1千万円の残金約3億3千万円を、都内の不動産会社に振り込んだ同〈2〉。07年には、陸山会から小沢氏に4億円の資金移動があり、土地購入にあてた資金の返済の趣旨だったとみられている。
一方、ほぼ同時並行で、極めて複雑な別の資金の流れが形成されていた。
石川氏は〈2〉で土地代金の振り込みが済んでいたのに、直後に小沢氏の関連政治団体「小沢一郎政経研究会」「誠山会」「民主党岩手県第4区総支部」から計1億8千万円を陸山会に入金した同〈3〉。