水俣病被害の賠償を国と熊本県、加害企業チッソに求め熊本地裁で係争中の水俣病不知火患者会(熊本県水俣市、2600人)は11日、水俣市で約千人の集会を開き、地裁に和解勧告を求めることを決議した。国側も和解協議に入る方針。訴訟派団体で最大の同患者会と国の和解協議は、水俣病問題の「解決」全体に影響する。
同患者会の弁護団は15日に和解勧告を要請する。早ければ裁判の次回期日の22日に和解勧告が出るとみている。
ただ、同患者会は、国が水俣病の認定や救済制度に年代や居住地による「線引き」を設けていることを問題視。和解協議では、今後名乗り出る被害者を司法の場で救済する仕組みの構築をめざしており、園田昭人(しょうと)弁護団長は「解決のテーブルができても(国側との)隔たりは大きい」と指摘する。同患者会は「原告数が解決の水準を決める」としており、現在2千人の原告団を追加提訴により2500人に増やすことも集会で決議した。
環境省は、水俣病被害者救済法に基づき、裁判をしていない被害者団体と救済策の内容を詰める協議を並行して進めている。裁判をしていない被害者への救済内容と訴訟和解の内容を同水準とする方針で、不知火患者会との和解協議が進んで一時金の額などが決まり次第、救済制度を始めたい意向だ。小沢鋭仁環境相は水俣病の公式発見から54年となる5月1日の慰霊式までに制度をスタートさせたいとしている。