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【芸能・社会】

天才ピアノ少女 小林愛実デビュー 14歳、最年少記録次々更新

2010年1月12日 紙面から

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 コンクールの最年少記録を次々に塗り替えてきたピアノの天才少女、小林愛実(14)のデビューアルバムが2月10日に発売される。英ロンドンのEMI CLASSICSと直接契約しての世界デビューは、2002年のチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で世界初の女性優勝者となった上原彩子(29)以来の快挙だ。5月15日には、東京・サントリーホールで女性ピアニストとして最年少記録となるリサイタルも決まった。世界に誇る才能が、いよいよ翼を広げて、はばたく。

 ピアノ関係者の間では、「天才少女・小林愛実」は、早くから超有名な存在だった。卓越した技術はもちろん、子どもの域を越えた表現力は「モノが違う」と言われてきた。国内最大規模で知られるピティナ・ピアノコンペティションに2001年から4年連続で全国決勝大会に出場、毎年出場したカテゴリーで史上最年少で金賞を受賞。04年のショパン国際ピアノコンクール・アジア大会でも最年少で第1位に輝いた。05年には全日本学生音楽コンクール全国決勝大会でも第1位を獲得、最年少記録を塗り替えた。

 こうした受賞歴もあって、06年以降パリ、モスクワ、ポーランドなどで演奏活動を展開、ニューヨークのカーネギーホールのステージには3度立った。07年にはフランスのテレビ番組で紹介され、大きな反響を呼んだ。たちまちパリのヴァージン・クラシックスを経由して、ロンドンのEMIに情報が伝わり、直接契約に至った。Youtubeにアップされた動画の視聴数は、昨年末までに全世界で400万ビューに達する人気ぶりだ。

 デビューアルバム「小林愛実 Debut!」は08年6月にニューヨークで録音されたもの。バッハ「パルティータ第2番よりシンフォニア」、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番ハ長調作品53<ワルトシュタイン>」、ショパン「スケルツォ第1番&第2番、ノクターン第20番」というラインアップだ(DVDでもショパンを演奏)。

 「こんなに早く出せるとは思わなかった。たくさんの人に聴いてもらえたらうれしいです」と素直に喜びを表した愛実。しかしながら「世界デビュー」の実感はなさそう。EMI CLASSICSからのリリースは上原以来と聞かされて、「えーそうなんだぁ、すごい」と無邪気な笑顔を見せた。

 4月3日には東京・浜離宮朝日ホールでリサイタルを開く。さらに、5月15日にサントリーホールでの公演も決まった。昨年公演した中国の神童ピアニスト牛牛(にゅうにゅう)の12歳に次ぐ若さだが、女性ピアニストでは最年少記録になる。

 大きな目標として掲げるショパンコンクール(5年に1度開催)には、17歳以上28歳までという条件に合わないため今年は出場できない。年齢制限にひっかかってトリノ五輪に出場できなかったフィギュアスケートの浅田真央に似た状況にある。が、愛実はめげていない。「まだ自分に足りないものがあるので、5年後に頑張りたい」。そして、「お客さんを少しでも感動させられたらいい。クラシックを聴く人が増えればうれしいです」。CDデビューを機に、新たなステージに突き進む。

 

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