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2010年1月11日

売春クラブのHPは不滅です!?

 今回は昨年12月24日に行われた鈴木久雄被告人(逮捕当時42)の裁判傍聴記。罪名は、売春防止法違反。事件の内容は逮捕時の記事から。

 売春場所を提供したとして、売春クラブ「ザ・サークルタウン」経営者が逮捕された事件ですね。
 報道によると、逮捕容疑は09年9月24日、新宿区内のマンションの1室で、女性従業員2人が売春をすると知りながら、場所を提供したというもの。調べでは、鈴木らは08年5月頃から売春クラブの経営を開始。インターネット上に広告を出し、客を募っていた。利用料金は1時間9000円で、フリータイムが2万円。1日に20~30人が利用しており、これまでに1億数千万円を売り上げていたという。
 9月24日はハーレムデーと称するイベントを行っており、部屋委には女性従業員8人のほか、男性客10人がいたと伝えられた。

 大人のパーティーなんて言われる、多人数との性交を売りにしている店の事件です。

 起訴されたのは、昨年9月24日、被告人は2回に渡って、新宿区内のマンションを売春場所として提供したという内容。
 検察官の冒頭陳述によると、被告人は専門学校卒業後、職を転々とし、建設会社を設立。しかし、うまくいかず、飲食店や風俗店で働いた後、07年夏ごろから売春クラブの経営を開始したという。08年には「トリップ」、09年5月からは「ザ・サークルタウン」という名称で営業していたとのこと。
 09年4月1日から9月24日までで、約4500万円の売り上げがあったらしい。
 一緒に逮捕された男性10人は取り調べに対し、「借金返済があり、悪いこととと知りながら続けた。半年間で、250万円得ていた」と述べているとのこと。被告人は取り調べに対し、「自分で面接をし、女性には売春クラブであると説明していた。逮捕当時12名の女性が登録していた。半年間で450万円得た」と述べているらしい。
 そして被告人質問。まずは、弁護人から。

 弁護人 「売春婦への支払いの契約はどういう形になってたんですか?」
 被告人 「特に決まりはありませんでした。売り上げに応じて」
 弁護人 「売り上げが多ければ多く払うと?」
 被告人 「そうです」
 弁護人 「男性従業員への支払いも同じですか?」
 被告人 「そうです。客の数によって決めてました」

 時給とか相手した人数によって、支払いを計算するわけじゃなかったようです。

 弁護人 「調べによると、毎月150万円くらいが手元に残っていたとありますが」
 被告人 「そうです」
 弁護人 「出費も多かったですよね。何の出費が多かったですか?」
 被告人 「皆さんで、…(働いている)女の子と食事行ったりですね」

 どうやら、仕事が終わった後はみんなで食事に行っていたらしく、その出費で今は手元にほとんど残っていないとのこと。

 弁護人 「今、仕事はしていますか?」
 被告人 「知り合いの建設会社でアルバイトとして、判決後はちゃんと雇用契約を結ぶ予定です」

 建設の会社がうまくいかずに売春クラブの経営を始めたのに、また建設の仕事に戻るとは、縁深いものを感じますね。
 次は検察官からの質問。

 検察官 「一緒に捕まった共犯者と連絡は?」
 被告人 「一切ございません」
 検察官 「借りていた部屋は?」
 被告人 「荷物を移動して、契約解除の手続きをしている途中です」
 検察官 「お店のホームページは?」
 被告人 「使用していません」
 検察官 「ん? まだある、と?」
 被告人 「削除の願いを出しているところです」
 検察官 「それらは約束できるんですね」
 被告人 「はい」

 と、後始末はしっかるすると約束です。保釈されたのが最近だったのかもしれないけど、部屋とHPが残っているとは。
 最後は裁判官から。

 裁判官 「月150万円の収入は、この経営を始めた平成19年夏から?」
 被告人 「平均すると」
 裁判官 「貯金は?」
 被告人 「してません」

 使い道が気になったようで、

 裁判官 「高収入ですけど、使い道は?」
 被告人 「女の子との食事がほとんどで。1日で3~5万円使ってましたので」
 裁判官 「ギャンブルとかは?」
 被告人 「やりません」

 と、改めて食事代で消えたと証言です。

 裁判官 「この仕事を始めたきっかけは何ですか?」
 被告人 「建設業を辞めたあと、バーの経営をはじめまして、お客様からこういう仕事があると言われて」
 裁判官 「罪悪感はありませんでしたか?」
 被告人 「当時は少ししかありませんでした。あまり知識がなくて」
 裁判官 「ん? 何の知識?」
 被告人 「売春の」
 裁判官 「売春が悪いのはわかってるでしょ!」

 と、大激怒。そして、

 裁判官 「だいたい、ホームページが残ってるのはなぜですか?」
 被告人 「自分で操作ができないので、業者の人に削除をお願いしたんですが、私が覚えていたパスワードが間違っていたようで」
 裁判官 「そんなのすぐにできるんじゃないの?」
 被告人 「パスワードを調べていただいているところです」

 と、HPが残っていることを疑ったまま、質問終了でした。
 この後、検察官が懲役2年と罰金30万円を求刑して閉廷。
 HPが残ってるのはパスワード忘れのせいなのか、経営再開の布石なのか。実際、今(1月10日現在)もHPは残っているんだけど、再新情報が本件である9月24日のイベントの宣伝なんだよなぁ。なんという皮肉な。

注目の裁判

1月12日(火)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(判決)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。

1月13日(水)被告人・国見東一:準強姦
<睡眠薬を飲ませて女性を暴行した事件> 09年1月、会社員、国見東一(当時48)は、07年3月に就職セミナーで知り合った女性に風邪薬と偽って睡眠薬を飲ませ、暴行するなどしたとして逮捕された。

1月13日(水)被告人・富樫修:威力業務妨害(初公判)
<日本航空に脅迫メールを送った事件> 09年11月、西東京市の無職、富樫修(当時36)は、威力業務妨害容疑で逮捕された。同年9月に日本航空に「ソウル発成田行き航空機をジャックする犯行予告をした」などとメールを送り業務を妨害したというもの。

1月13日(月)被告人・大久保隆規:政治資金規正法違反
<西松建設の献金事件> 09年3月、民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書で資金管理団体「陸山会」の会計責任者、大久保隆規(当時47)は、準大手ゼネコン西松建設が政治団体をダミーにして政界にトンネル献金をしていたとされる事件で政治資金規正法違反容疑で逮捕された。

1月14日(木)被告人・小口良:鳥獣保護法違反(初公判)
<無許可で野生の鳥を捕獲した事件> 09年11月、川崎市川崎区の「ペットショップコグチ」代表、小口良(当時73)は、無許可で野生のホオジロなどを捕獲、販売したとして逮捕された。


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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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