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内山30歳で世界獲った!終了12秒前執念TKO

WBA世界スーパーフェザー級王座を奪取し、ベルトを巻いた内山高志(左)の手を挙げるワタナベジムの渡辺均会長
WBA世界スーパーフェザー級王座を奪取し、ベルトを巻いた内山高志(左)の手を挙げるワタナベジムの渡辺均会長
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 史上6人目の学士チャンピオン誕生だ!ダブル世界戦が11日、東京ビッグサイトで行われ、WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチは、挑戦者の内山高志(30=ワタナベ)が王者ファン・カルロス・サルガド(25=メキシコ)を最終12回2分48秒にTKOで下し、世界初挑戦で王座を獲得した。日本ジム所属61人目の世界王者となった拓大卒の内山は、大卒ボクサーとしては6人目の世界王座獲得。プロ14戦目で無敗のまま頂点に到達した。昨年10月にホルヘ・リナレス(帝拳=ベネズエラ)を初回TKOで破ったサルガドは初防衛に失敗した。

 ためらいはなかった。11回終了時で5ポイント差2人、3ポイント差1人。明らかに採点はリードしていたが、内山は最終回も前に出た。「(11回の右で)効いていた。チャンスがあれば倒そうと思っていた」。7割以上のKO率を誇るサルガドを真っ向から攻めた。

 右で大きくぐらついた王者に連打を追加した。ロープ伝いに崩れるダウン。立った王者に再び連打を浴びせた。左フックが入る。レフェリーがたまらず両手を広げて間に入った。終了12秒前の執念のTKO。「最高っすね。夢みたい」。顔には傷が1つもなかった。

 中学時代、サッカーも野球もものにならなかった。元WBC世界スーパーフライ級王者・川島郭志らを見て、埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始めた。国体2位の成績を残したが、名門・拓大では挫折が待っていた。

 「あれが自分の原点かもしれない」。1年生10人で補欠にもなれなかったのは2人だけ。上級生だけでなく、同級生の荷物番もやらされた。悔しかった。4年で全日本選手権ライト級優勝。卒業後も勝ち続けて3連覇した。国体を合わせてアマ4冠。だが、その先の五輪でまた壁があった。

 04年アテネ五輪アジア予選3回戦で敗退。目標を見失った。華やかで金にもなるK―1から誘いがきた。だが「五輪で獲れなかった世界を目指したい」とボクシングへの思いは逆に強くなり、脱サラしてワタナベジムに入門。日本人離れした長いリーチ、ゲームセンターのパンチングマシンを700キロで破壊する強打で、13戦全勝10KOを重ねた。

 大卒のトップアマは年齢的に転向が遅い分、プロでの大成が難しいといわれる。過去60人の世界王者で学士王者はわずかに5人。しかも、スーパーフェザー級を含むフェザー〜ライト級は、世界最強と言われる5階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)の登場で注目度が高く、選手層も厚い。さらに30歳での世界初挑戦。マイナス要因はアマで磨いた高い技術と反骨心ではね返した。

 05年11月6日に58歳でがんで亡くなる直前、反対していたボクシングを認めてくれた父・行男さん。試合6日前に還暦を迎えた渡辺会長。感謝を口にしつつも「誰よりも勝ちたいのは自分」と話した。「勝てなかったらオレの人生はどうなるんだと思ってリングに上がった」。オレを認めてほしい…。時代を反映するハングリーさを、挫折のたびに育てた内山が、自分の居場所を自らの拳でつかみとった。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年01月12日 ]

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