福岡県警OBが所属する財団法人「県警友会」の委嘱を受け、筑紫野署内で県領収証紙を販売していた女性が売上金千数百万円を着服していたことが、関係者への取材でわかった。女性は筑紫交通安全協会の職員で、協会が県警友会に被害を全額弁済。県警友会は「被害が回復したので、刑事告訴は見送った」と説明し、告訴や公表はしていなかった。
県警友会や協会によると、女性職員が販売していたのは道路使用許可や運転免許更新の申請時に必要な証紙。県警友会が県の指定を受けて運転免許試験場や各警察署内で販売し、大半の署では地元の交通安全協会の職員に委嘱しているという。職員が売上金を県警友会に送金し、県警友会は協力金を協会に払う。
この女性職員も委嘱を受けて筑紫野署内で販売。売上金の送金が長期間滞っていたことから、2008年春に着服が発覚した。着服した金は自身が所有する貸しビルの維持費などに充てていたという。発覚後に依願退職した。
被害については筑紫交通安全協会が全額、県警友会に弁済した。協会の今村省吾会長は「証紙の販売に協会は直接かかわっていないが、女性職員が後日協会に返済すると約束したので、立て替える形で弁済した。依願退職にしたのは、退職金を返済に充てるためだった」と話している。女性は毎月一定の金額を協会に支払っているという。
県警友会の吉川貴久会長は「着服は非常に残念。今後同様の事案が起きないように、売上金の管理を徹底したい」と話す。問題発覚後、筑紫野署内では県警友会の会員が直接、証紙を販売している。
警察署内での証紙販売を巡っては、佐賀県警小城署内でも交通安全協会の職員が売上金約195万円を着服していたことが発覚。県警が業務上横領の疑いで書類送検し、09年11月に佐賀地検が不起訴処分にしている。