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続・児童虐待

柳美里

長谷川 今、確かに動き出している柳さんの心、変化をはじめた心に、拡大していく「ランヤ」という「ごっこ」がどのように相互作用するのか、見守りたいと思います。つまり母親の心という大本が穏やかに変わっていく。そのことによって、それまでの対処法であった枝葉の部分がどう変わっていくのか。「ごっこ」は一つの枝なんですね。ですから、その一部分に囚われずに、大本との関係を見ていきたいと思います。

 思春期に入っても「ごっこ」を止められない、なんて可能性はあるんでしょうか?

長谷川 家族って不思議なんですよね。ある人の心の様子が変わっていくことによって、ほかの人の心にも波及していく。だから、五ヵ月後に、あるいは、その五ヵ月後に、柳さんと、柳さんの家族がどう変わっていくのか見つめていたいです。

 まず、私の心の在り方を変えるということですね。

長谷川 明日また対話の時間を持ちますが、今日のお話でさらに柳さんの心の中での動きを着実に後押しすると思いますので、その片鱗がどういうかたちで意識に浮上してくるのか? 夢か? あるいはふっと何かを着想するか? 楽しみな感じがしています。
実は、冒頭の夢の話のときに、柳さんが「父親か? 死神か?」と言ったので、「それは違うよ。柳さんの導き手だよ」と思ったんですよ。しかし「私はこう思いますよ」と積極的に言うのは前回までにしています。今日からは、柳さんの心の中から出てきたものを、あまりこちらでは大きな加工をしないでね、共同作業をしながら積み上げ、整理していこうと思います。

二時間経ちましたので、今日のところはこれで終わりにしましょう。

つづく

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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