G2
G2G2
ノンフィクション新機軸メディアG2・・・・・・・・G2の最新情報をお届け!!「『G2メール』登録はこちら」ノンフィクション新機軸メディアG2・・・・・・・・G2の最新情報をお届け!!「『G2メール』登録はこちら」
G2

続・児童虐待

柳美里

 オールド・ワイズ・マンって、いい言葉ですね。

長谷川 柳さんの傍らに立って悲しんでいたのは、この老賢者なのではないでしょうか。その老賢者が、柳さんの内で能動的に動き、夢を使って「あと五ヵ月しかないんだよ」と伝え、これに対して柳さんは「五ヵ月間では成し遂げられない」と泣いて、その大変さを訴えている。でも、それは言い換えれば、五ヵ月で成し遂げたい、という意欲でもある。だから、柳さん、とてもいい夢を見られたな、と私は思ったんです。

 それが、文鳥の命の五ヵ月と符合してしまったのは、何故なんでしょうか?

長谷川 心に踏み込んで行くと、偶然の一致っていう現象が、起きることがあるんですよ。因果関係などで説明しようとすると、全然つじつまが合わない、時間的にもね。

 偶然、符合してしまったんですね……。

長谷川 不思議な符合ですね。

息子と続ける「ランヤ」は「ごっこ」遊びか

 最後に一つお訊きしたいんですが、息子とうまくやれる方法があるんです。それは「ごっこ」なんですけど、息子が五歳のときにはじめたから、もう五年間つづいてるんですよ。息子は多趣味で、今は軍事や宇宙や化石・鉱物や上方落語が好きなんですけど、五歳のときから一貫して好きなのは、洋蘭なんです。『趣味の園芸』を定期購読して、東京ドームで開催される〈世界らん展〉には毎年欠かさず行っていて、株分けや高芽取りで増やしまくった洋蘭が、二百鉢を超えています。で、幼稚園のころから「ランヤ」と名乗るようになったんです。所詮子どもの「ごっこ遊び」の一つだろうと高を括って、その都度、従業員役を演じて肥料をやるのを手伝ったり、客役を演じてクレームをつけたりしてたんですが、年々細分化されて、本部、文部、通信部、印刷部、旅行部、捜査部、野外研究部、落雷監視部、飼育観察部、実験部、調理部などに分かれ、今やIDカードを持たされ、月に五、六度イベントまで開催されるんですよ。

このほかの作品
コメントをどうぞ
コメントは送っていただいてから公開されるまで数日かかる場合があります。
また、明らかな事実誤認、個人に対する誹謗中傷のコメントは表示いたしません。
ご了承をお願いいたします。

COURRiER Japon
  1. サイト内検索
  2. 執筆者

    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

  3. このほかの作品