柳 オールド・ワイズ・マンって、いい言葉ですね。
長谷川 柳さんの傍らに立って悲しんでいたのは、この老賢者なのではないでしょうか。その老賢者が、柳さんの内で能動的に動き、夢を使って「あと五ヵ月しかないんだよ」と伝え、これに対して柳さんは「五ヵ月間では成し遂げられない」と泣いて、その大変さを訴えている。でも、それは言い換えれば、五ヵ月で成し遂げたい、という意欲でもある。だから、柳さん、とてもいい夢を見られたな、と私は思ったんです。
柳 それが、文鳥の命の五ヵ月と符合してしまったのは、何故なんでしょうか?
長谷川 心に踏み込んで行くと、偶然の一致っていう現象が、起きることがあるんですよ。因果関係などで説明しようとすると、全然つじつまが合わない、時間的にもね。
柳 偶然、符合してしまったんですね……。
長谷川 不思議な符合ですね。
息子と続ける「ランヤ」は「ごっこ」遊びか
柳 最後に一つお訊きしたいんですが、息子とうまくやれる方法があるんです。それは「ごっこ」なんですけど、息子が五歳のときにはじめたから、もう五年間つづいてるんですよ。息子は多趣味で、今は軍事や宇宙や化石・鉱物や上方落語が好きなんですけど、五歳のときから一貫して好きなのは、洋蘭なんです。『趣味の園芸』を定期購読して、東京ドームで開催される〈世界らん展〉には毎年欠かさず行っていて、株分けや高芽取りで増やしまくった洋蘭が、二百鉢を超えています。で、幼稚園のころから「ランヤ」と名乗るようになったんです。所詮子どもの「ごっこ遊び」の一つだろうと高を括って、その都度、従業員役を演じて肥料をやるのを手伝ったり、客役を演じてクレームをつけたりしてたんですが、年々細分化されて、本部、文部、通信部、印刷部、旅行部、捜査部、野外研究部、落雷監視部、飼育観察部、実験部、調理部などに分かれ、今やIDカードを持たされ、月に五、六度イベントまで開催されるんですよ。