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続・児童虐待

柳美里

長谷川 夢の中で、柳さんは「時間がない」と訴えているんですよ。「五ヵ月しかないんじゃ書こうと思ってた小説も書けない」とね。五ヵ月しかないということは、その五ヵ月でやり遂げなければならない、ということですよね?

 はい。

長谷川 いみじくも今日、カウンセリングをはじめる前に、お話ししましたよね? このカウンセリングのゴールをいつに設定しましょうかと。そうしたら、まぁ、遅くても二月には、ということになって、今日から数えると、五ヵ月ですよね?

 あぁ、五ヵ月だ……不思議ですね……。

長谷川 不思議でしょ?

 私は、あと五ヵ月で、自分が抱えている闇、虐待の問題に決着をつけなくてはいけない。それで、五ヵ月しか時間がない、と訴えていたとしたら、あの夢の男性というのは、長谷川さんですか?

長谷川 それは、言い過ぎですね。つまり自分といっしょに、自分の闇を旅してくれる存在。自分が路に迷っても、そのひとが道標となるものを示してくれる。それを外在化させたら、カウンセラーということになるかもしれない。でもそういった存在は、心の内にいるんですよ。

 あぁ……心の内にいる……。

長谷川 内なる自分の導き手。スイスの分析心理学者ユングは、そういう存在のことをオールド・ワイズ・マンと呼んでいます。ひとが人生をかけた重大な成長、変化をするときに導いてくれる人物イメージとして、だれの心の中にもいる老賢者です。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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