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続・児童虐待

柳美里

これまでとは違う二つの夢の意味

 八月一日に第一回目のカウンセリングをしていただいたあと、生理が止まってしまいました。四十一年間生きて、妊娠したとき以外に生理が止まるのは初めての経験だったので、驚きました。てっきり若年性閉経だと思って、ネットや本で調べまくりました(笑)。

長谷川 柳さんは、前回のカウンセリングから、全身全霊で戦っている。だから、体にも心にも負荷がかかるんですよ。
九月一日に見た夢というのは、父親の腹部を刃物で刺して、内臓が死体から溢れて、アメーバみたいになって押し寄せてきた。目覚めたときに、文鳥は死んでいたんですよね。父親を殺す夢を見た日に、自分が生き直すために必要だった、自分だけの大切な鳥がなくなってしまった。柳さんにとって、文鳥の雛を育てるという行為は、いまだに心の中で襲ってくる父親の支配から逃れたい、それを退治したい、それを嫌だとはっきり言いたい、父親を撥ね除けたいという、自覚していない願望の象徴……夢のテーマが、そんな重大なものであったことが気にかかります。

 夢にもテーマがあるんですね。

長谷川 初めてのカウンセリングを行った八月一日以降、柳さんは、これまでの夢とは異なる二つの夢を見ました。二つの夢における新しい体験は、感情、気持ちがあるということです。これまでは、夢の中で父親を殺しても、なんの感情もなかった。でも今回は、どちらの夢も、それなりに気持ちが伴っている。その気持ちというのは、夢の中の対象との相互作用的な要素、側面を含んでいる。で、これからのことなんですが、今日は、そんなに大変なことになるという雰囲気ではないですよね、表面上は。

 でも、心の中では波風が立っているということですか?

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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