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続・児童虐待

柳美里

長谷川 何故、その時期に、鳥を飼わなければならなかったんでしょうか?
今、取り組まれていらっしゃる「児童虐待」のテーマ、取り組んでみようと考えたのは、いつごろですか?

 二十代半ば、「子どもの権利条約」がマスコミに取り上げられたころですね。そのころから、新聞の社会面で、子どもを虐待して死に至らしめた親たちの記事を見つけては切り抜くようになったんです。もう一つ、大きかったのは、三年前の秋田の事件です。新聞や週刊誌やテレビで報道された畠山鈴香被告の生い立ちが、かなり重なるというか、彼女と自分が似ている気がしたんです。

長谷川 三年前に秋田で不幸な事件が起きて、去年二月にご自身がブログに書いたことで児童相談所の調査がはいり、2ちゃんねるやマスコミに騒がれるという事件が起きた。けれど、そのときは、「オンエア」の連載が始まったばかりで、「児童虐待」の問題に取り組むことはできなかった。で、「オンエア」の連載を終了して、大きく心が動いたのが、「とにかく鳥を」なんですね?

 はい、鳥を。

長谷川 時系列的に、すごくすっきりしました。それで、「児童虐待」の問題に真っ向から取り組むんじゃなくて、とにかく鳥を飼おうというところから始まった。

 はい。

長谷川 鳥というのは、「児童虐待」を生み出すことになった、柳さんのトラウマティックな原体験と関わっているようですね。その場所に足を踏み入れようという気持ちの高まりが、「とにかく鳥を」になったんじゃないかな、と。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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