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シー・シェパードにせっつかれる豪ラッド政権

1月11日8時33分配信 産経新聞

シー・シェパードにせっつかれる豪ラッド政権
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シーシェパードの「アディ・ギル号」が調査船「第二昭南丸」と衝突=(財)日本鯨類研究所提供   (写真:産経新聞)
 米環境保護団体シー・シェパード(SS)が繰り広げている過激な行為は、南極海で調査活動をしている捕鯨船団に対してだけではない。ポール・ワトソン船長(59)は公式HPで、過激な表現で日本をこき下ろした上で、反捕鯨国の国民やメディア向けの情報戦もしかけている。

 11月19日付の声明では、「やくざに管理されている日本の捕鯨船団」「彼らは密漁者だ。海洋で最も大きくて、そして最も知性が発達していて、複雑な感覚を身につけている生き物を残酷に殺している犯罪者なのだ」と挑発。岡田克也外相(56)が12月10日、オーストラリアのABC放送の報道番組に対して、「鯨肉を食べるのは日本の伝統的な食文化」と発言したことに関しても、「日本の捕鯨は野蛮だ。(世界各国が鯨を食していた)過去の無慈悲な伝統は21世紀にはふさわしくない」と同日の声明ですぐに反論した。

 ワトソン船長は、反捕鯨国の中で声高に日本の調査捕鯨を非難しているオーストラリアのラッド政権にも楯突いている。

 同国のピーター・ギャレット環境相(56)は12月17日、ワトソン船長に直接、Eメールを送り、過激な捕鯨船襲撃を慎むよう要請したが、ワトソン船長は24日付の長文の声明でこう返答した。

 「われわれは、抗議団体ではなく密漁者に反対する組織だ。われわれはあなたがたの政府が順守し、もしくは認知すべき国際法を守るために南極海まで出向いている。私は日本が行っている暴力について、大臣にはっきりと発言してほしいし、もっと良いのは実際に行動に踏み切ってもらうことだ」

 ワトソン船長は、日本の調査捕鯨をやめさせることを選挙公約にして誕生したラッド政権がなかなか対日強硬路線に踏み切らないことに業を煮やしているのだ。

 12月11日付のABC放送(電子版)は「捕鯨への最後通告の宣告に迫られているラッド首相」との見出しの記事で、良好な豪日関係の維持と選挙公約の履行のはざまで揺れ動くラッド政権の政治状況を浮き彫りにしている。

 最大野党、自由党のグレッグ・ハント下院議員(44)はABCに対して「(日本の)捕鯨に関して何の行動もせぬまま、ラッド政権は2年が経過した。鯨の大量殺害はなおも続けられている。ラッド首相はなぜ、国際司法裁判所に日本を訴えるといった選挙公約を果たさないのかを説明しなくてはならない」と答えている。

 日本の調査捕鯨は、政権を批判するための野党の追及カードの一枚と化している。

 豪紙オーストラリアンが11月中旬に行ったネット上のアンケート調査によれば、「日本の捕鯨をやめさせるために、政府は更なる行動に踏み出すべきか」との問いに、回答者の75%が「踏み出すべきだ」と答えている。

 野党や世論、そして環境保護団体の突き上げに、ケビン・ラッド首相(52)は「外交的努力」の継続方針を表明しながらも、最後の選択肢として法的措置も辞さないことを明言している。15日付のオーストラリアン紙(電子版)に対し、ラッド首相は「われわれの忍耐も永遠に続くわけではない」と答えている。

 ワトソン船長の日本の捕鯨に対する過激な挑発の裏には、オーストラリアの国内世論に火をつけ、ラッド政権を動かそうとする巧妙な戦略も隠されている。(国際アナリスト)

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最終更新:1月11日8時33分

産経新聞

 

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