日本相撲協会の理事選(2月1日投票)に貴乃花親方(37)=元横綱貴乃花=が二所ノ関一門を離脱して立候補を表明したことを受けて、対立候補の鳴戸親方(57)=元横綱隆の里=が10日、苦言を呈した。貴乃花支持派の親方衆が一門内に残りながら、離脱した貴乃花親方に投票することを批判。19日の二所ノ関一門会で、一門に残るか離脱するかを貴乃花派に求める見通しを示した。
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現在7人と見られる貴乃花派に揺さぶりがかかる。鳴戸親方は「(貴乃花親方を支持しながら)軸はこっち(二所ノ関一門)というのはバランスが悪い」と、一門に残ったままの状態で無所属の貴乃花親方に投票することにクギを刺した。
貴乃花親方は8日の一門会後に「無所属」を宣言したが、残りの6人は一門に残ったまま。中途半端な立ち位置に「(19日の一門会では)『どっちにするの?』という話になる」と、一門に残るか、追随するかの二者択一を迫る考えだ。
貴乃花親方の離脱そのものについても「疑問に思う」と鳴戸親方は首をひねる。「協会は組織。お互いの認めるところは認める。1人では何もできないから」と協調性を持つべきと主張。さらに「(先代の)二子山親方はそれを踏まえてやっていた」と、貴乃花親方の父で元大関貴ノ花の故花田満さんの名も出した。
今回の“鳴戸発言”に貴乃花部屋付きの音羽山親方(元大関貴ノ浪)は「一門の総意よりも、個人の投票権を大事にしたい」と一門に残りながら自由に投票できる権利があると主張。貴乃花親方をとるか、一門に残るかを決めさせようとする動きについては「圧力としか考えられない。自分から出て行く気はない」と受け流した。
鳴戸親方は「私もマシンではない」と対話の構えを見せてはいるが、両陣営の考えの開きは大きい。踏み絵を迫るかのような状況になれば、19日の一門会も紛糾することは必至。貴乃花親方本人は「場所も始まっているので、(選挙のことは)お話しする状況にない」と多くを語らなかった。