白鵬の失態に観客もあぜん/初場所
<大相撲初場所>◇初日◇10日◇東京・両国国技館
横綱白鵬(24=宮城野)が前代未聞の失敗を乗り越えて、白星スタートを切った。取組前の横綱土俵入りの際に「せり上がり」を忘れてしまう失態。新年1発目に、観客もあぜんとする珍事となった。取組でも珍しく突っ掛けながら、小結鶴竜(24)を慎重に寄り倒し。昨年秋場所7日目から続く連勝を「25」に伸ばした。横綱朝青龍(29)も小結琴奨菊(25)を寄り切って白星発進。10勝以上での大関復帰を狙う関脇千代大海(33)は、力なく西前頭3枚目稀勢の里(23)に押し出された。
新年の国技館がざわめいた。2010年、1発目の横綱土俵入り。白鵬の不知火型に「よいしょ!」のかけ声がかかる…はずだった。何かがおかしい。ファンの顔は「?」になっている。しこを踏んでからの、せり上がりが抜けていたのだ。関係者が「記憶にない」と声をそろえる失態。白鵬は「バレた? 何かありました?」と照れ笑いするしかなかった。
微調整が、過ちのもとだった。「しこを変えまして…。そればっかりが頭にありました。2回目(のしこ)にアッと思った…」。今場所から、前を向いてしこを踏んでいたのを下を向くようにした。支度部屋で念入りにけいこして臨んだが、最初のかしわ手から動きが固まる。右足でしこを踏み、せり上がっていくはずが、あっさりと起き上がった。右、左と素早くしこを踏みながら気付いたが、時すでに遅し、だった。
動揺した。土俵入り後は、付け人に「忘れた」とこぼした。結びでは、鶴竜に珍しく突っかけた。白鵬に運動生理学を指導する内藤堅志氏(44)は「いくつかの動作が抜けていた」と指摘する。関係者が「緊張するタイプ」という横綱は、普段から大事にするルーティンも忘れていた。
だが、突っかけたことで逆に冷静になれたという。得意の右四つを巻き替えられたが、鶴竜を左四つで慎重に寄り倒した。相撲への影響に「あったらいけない。歌手は歌詞を間違えてもそのまま行くでしょ? 1つプロになったね」とごまかしながら「違うか」と1人突っ込み。昨年秋場所7日目からの連勝を「25」とした。
天覧相撲の日の失敗は、幸い両陛下が来場する前だった。「天皇陛下が見てなくて良かった」の声に「そんなこと言わないでよ」と、苦笑しながら恐縮しきり。昨年は年間最多の86勝をマーク。珍事からスタートした最強横綱は、今年も何かをやってくれそうだ。【近間康隆】
[2010年1月11日9時24分 紙面から]
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