今朝のスーパーモーニングで鳥越俊太郎氏は「JALのイメージ低下が乗客離れにつながる」ことを懸念されていました。ディズニーのブランドイメージを高める仕事に長く従事してきた私には、鳥越氏の指摘はまさに正論であると思えました。
なぜならば、「悪事千里を走る」という言葉があるからにほかなりません。
JAL問題が大きく報道されていますが、この問題の「そもそも論」が語る論者は少ないと思います。
「悪の葉っぱに斧を向ける人は千人いても、根っこに斧を向ける人はひとりしかいない」
H・D・ソロー
この問題の根っこは、自民党長期政権の失政です。この国はコンクリートによる公共工事を続けないとゼネコンが生き延びられないため、空港や港湾などをつくり続けてきたのです。そして、ナショナルフラッグキャリアであった「日本航空機」を地方空港に飛ばすよう「強い指導」をしてきたことが、JALを弱体化させた原因と私は認識しています。
同じことを心得ているからこそ、前原国土交通大臣は日本の公共交通機関であるJALを支援するのです。
しかしながら、変えられない過去を責めても何も得るものはありません。世界への架け橋として活躍してきた「日本航空」を国民のアイデアで救わなくてはいけないと私は考えます。
再建策のポイントは3つであると私は考えます。
1、地方空港の活性化と航空会社の経費軽減
JAL従業員の多目的活用法を考えましょう。
今朝のスーパーモーニングによるとJALは1万人を解雇する計画だそうですが、そのうちのキャビンアテンダントなどの現場経験者を90以上もある地方空港に「出向」させます。受け入れ先(雇い主)は、多額の税金で空港をつくった責任者の国と自治体です。
仮に半分の5,000人を90の地方空港に出向させた場合、平均で1空港55人です。1人当たり500万円の給料を支払ったとして、1空港当たり2億8,000万円程であり、総額では250億円の税金が必要です。前原国土交通大臣はJAL支援に3,000億円のつなぎ融資をすでに表明していますが、年間の人件費250億円分の税金とは、国民一人当たり250円未満です。
ピンチはチャンスです。私は、国と地方合わせて250億円を捻出し、地方空港で多目的な活動をさせることが、JAL再建と地方の活性化に大きく寄与すると確信します。
仮に「チーム55」と称するこの「空港に雇われた」公的集団の具体的活動は以下の通りです。
JALに限らず、航空会社のカウンター業務をすべて無料で引き受けます。ANAや海外便も含めて地上職の業務を無料で行うことにより、航空会社の負担が低減化され、乗り入れ便やチャーター便の収益率が向上すると勘案されます。(政府は空港整備事業費を見直し、着陸料の低減化の原資にすることにすでに着手しています)
「チーム55」は、地域の旅行会社とのコラボレーションにより航空機を利用したツアーを生み出します。60歳〜75歳の年齢層を主ターゲットとした国内外魅力的ツアー中心に、地域の企業や学校、組合や政治家のニーズに合わせたツアーの、企画と集客、パスポート取得などの業務補助、及び添乗業務を行います。
どぶ板選挙ではないのですが、戸別訪問や村や街の集会場などで、徹底した旅行の対話会を行い、一人ひとりのニーズを満たす手づくりの旅行に仕上げます。
「神は細部に宿る」と言いますが、成功のポイントは添乗業務です。15人ほどを1グループとして、添乗業務においても参加者一人ひとりの細部に心を込めたおもてなしを提供します。(フライト中も正規のキャビンアテンダントにできる限りの協力をします。地上においても仮に50人乗りの大型バスの場合、3グループ3人の「チーム55」の添乗員が乗務し、JALキャビンアテンダントレベルのおもてなしを提供します)
大手旅行会社のツアーは「豪華」が売り物ですが、「チーム55」ツアーは「質素」「素朴」を売り物に、訪問先の人々とのふれあいを楽しんだり、本物の郷土料理を楽しんだりします。さらにツアーの最大の魅力は、添乗員の「友愛力」によるものです。つまり、一人ひとりの参加者と添乗員のふれあいと、ツアー参加者同士のふれあいが、ツアーの最大の価値となるのです。
一人ひとりのお客様を大切にし、満足していただけるとツアー参加者は必ず(100%)リピートしたい気持ちになります。
「(あなたの添乗で)この次は韓国ツアーに行きたい」・・・そう思うって下さるのです。私は国内外合わせて数十回の添乗経験がありますが、旅行に満足された参加者は、必ず次のツアーを夢見るものなのです。
「月々数千円の積立で年に一度の海外旅行」も高齢者の夢ではなくなるかもしれません。
こうなったら「しめたもの」です。
1空港の「チーム55」が点とすれば、全国90カ所の「チーム55」は面として機能するようになります。つまり、専門用語では「インバウンド」と言いますが、「チーム55」は旅行の「現地受け入れ先」に進化していくことになるのです。
例えば宮崎県の「宮崎空港」の「チーム55」は、宮崎県民を国内外に送り出すビジネスと、国内外から神話の国宮崎を訪れる観光客を受け入れる「インバウンド」ビジネスを展開することになるのです。それは、宮崎県の魅力を国内外に広く広報する役割とも言えるのです。
日本の航空路線地図を思い描いてください。実にもったいないことに現在は、羽田と大阪や福岡などのドル箱路線や地方空港と大都市路線しか線が描かれていませんが、将来的には、日本全国90空港間で航空機が飛び交うことも可能になるのです。
法的規制緩和がより進めば、中国の上海から、神話の国宮崎に新路線ができ、観光客は宮崎空港から石川県の能登空港(輪島観光)経由で、上海に戻るというツアーも好評を得るかもしれません。
経費は除き、90の地方空港に「チーム55」を生み出す予算は、国、地方合わせて250億円です。国民一人当たりわずか250円です。
他行への銀行振込手数料は、1回につき250円〜800円(窓口)ですから、まさに1回分の振込手数料の金額を負担することで、私たちは私たちの先人が築き上げてきた元ナショナルフラッグキャリアの維持運営とこれから楽しみの創造、そして新政権が目指す地方の活性化に寄与できるのです。
やらない手はない、やれば必ず成功する。私はそう提言しています。
JAL出向者だからできる「チーム55」のその他の業務
◇地域の旅館などの観光施設のサービスレベルの向上
◇観光地の魅力づくり
◇本物の郷土料理の見極め
2、航空自衛隊「入間基地」と桶川ホンダエアポートの活用
入間基地は2000メートルの滑走路を有しています。さらに魅力的なのは、大動脈である鉄道の駅が近いということです。入間基地は西武池袋線の駅(稲荷山公園駅)に面していると言っても過言ではありません。池袋や渋谷や、本数は少ないものの東京ディズニーリゾートの玄関の舞浜駅まで電車で数分の新木場駅まで乗り換えなしで行くことができます。
桶川ホンダエアポートもJR高崎線までバスで15分ほどであり、将来の「埼玉空港」として滑走路(現600m)の延長が検討されているようです。
私は、横田の軍民利用には賛成ですが、アメリカは「入間基地の軍民利用が先」と言うに決まっています。政権が交代したのですから、入間基地を「新東京空港」として活用することは、内閣の意思決定次第なのです。
将来的に横田をアメリカ便中心に国際化し、国内線中心の「新東京空港」と地下鉄で結べば、日本の国力は格段に強まるのではないかと考えます。
当然、防衛省は抵抗するでしょうが、決定権は内閣にあります。(法改正が必要なら国会を通さねばなりませんが)
JAL再建と地方の活性化のためには、国民皆で政府に入間基地の「民営化」を陳情していくことが肝要であると思われます。
3、「ごきげんよう」の復活
25年以上前ですが、日本航空の国際線で成田に到着した際、機内アナウンスの最後に「それではみなさま、ごきげんよう」というアナウンスが流れました。もちろん、JALはこう言うことを事前に知ってはいましたが、実際に聞くと実に心が温まるものです。この美しい「日本語」を言えるのはJALの「特権」です。国際線、国内線のすべての便で流しましょう。JALへの愛着が増すに違いありません。
さらに、JALのサービスはANAを数段上回っています。同じB777機で、往路はANA、復路はJALの福岡便を利用しましたが、サービスのプロから見るとサービスの品質の差は歴然でした。
詳細はいつか書きますが、十分長くなりましたので今日はこれくらいにします。言いたいことは、JALはサービスの品質に自信を持って欲しい、乗客はJALをもっと誉めて欲しいということです。なぜならばそれがJAL再建へのエネルギーになるのですから。
最後に、JALにお礼を。
私は、ディズニーランド時代にオフィシャルスポンサーのJALにお世話になったことがあります。ディズニーランドでも「機内暴力」に近いゲストの行為がありました。ロジャーラビットのアトラクションだったと記憶していますが、私の部下がゲストに蹴られた事を受け、JALの対応マニュアルを参考に、ゲストの暴力行為に対する「毅然たる態度手順」をつくり、会社に提案したことがあります。
当時JALは親切に教えてくれました。その恩返しではありませんが、このプランがJALに届き、再建への「元気」の基になることになることを祈りたいと思います。