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イエメン:米欧の直接介入をけん制 アルカイダ掃討に「逆効果」

 【カイロ和田浩明】米航空機爆破テロ未遂事件を実行した国際テロ組織アルカイダの勢力拡大で注目を浴びるイエメンで、政府が掃討作戦を強化する一方、米欧からの直接的な軍事介入はけん制する姿勢を鮮明にしつつある。背景には、米国との過剰な接近は国民の反発を招き、政府が「アルカイダ以上の脅威」と見る北部の反政府勢力や南部の分離独立派を活発化させかねないとの判断があるようだ。

 イエメン内務省は6日から8日にかけ、アルカイダ関係者6人を拘束したと発表。国営サバ通信などによると、7日に会見したアリミ副首相は「掃討作戦は断固続ける」と述べた。作戦は昨年12月中旬から本格化し、70人前後が殺害・拘束されている。

 一方で、アリミ副首相は外国からの派兵は拒否。「米国の直接(軍事)行動はアルカイダを強化する」と述べ、支援受け入れは装備や情報、訓練分野にとどめる意向を明示した。

 アリミ副首相は、爆破テロ未遂事件のアブドルムタラブ被告(23)について「アルカイダに勧誘されたのは英国」「使用した爆発物はナイジェリアで入手」と発言。事件の主舞台は他国だとの見方をにじませた。

 米プリンストン大学のイエメン専門家、グレゴリー・ジョンセン氏らによると、政権存続に対する脅威度は北部の反政府勢力や南部の分離独立派が高い。統治力の弱い中央政府は主要部族との連携が必須だが、アルカイダは部族との関係も良好で、徹底的な対決姿勢は取りにくいと見る専門家もいる。

 イエメンにはイラクやアフガニスタンで「反米戦闘」に参加したイスラム義勇兵も少なくない。最近のアルカイダ掃討作戦は米国が情報、装備面で支援、ミサイルや航空機を使ったとの報道もあり、米欧の直接軍事関与は「反米感情をあおりアルカイダの勢力拡張に利用されかねない」(イエメン戦略研究所のアハマド・サイフ所長)との見方がある。

毎日新聞 2010年1月10日 東京朝刊

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