ひいた女性をボンネットに乗せ７キロ逃走

フロントガラスに突っ込んだ女性をボンネットに乗せたまま走行した軽自動車（宇都宮中央署）

　車ではねた女性の首がフロントガラスに突っ込んだまま約７キロにわたり逃走するという、信じがたい事件が起こった。宇都宮市内で８０歳の女性を軽自動車ではねて死亡させたまま逃走し続けたとして、宇都宮中央署は１０日、自動車運転過失致死などの疑いで、同市の調理師専門学校生、佐藤倫子（みちこ）容疑者（２３）を逮捕した。はねられた網（あみ）シゲさん（８０）はほぼ即死だった。

　自ら起こした人身事故に動転した女が、被害者をボンネットに乗せたまま大逃走した。

　逮捕容疑は午前４時５分ごろ、宇都宮市上横倉町の国道２９３号で、近くに住む網さんが歩いていたところを軽自動車ではねて死亡させ、そのまま逃げた疑い。

　同署によると、網さんはほぼ即死。佐藤容疑者は、車のフロントガラスに突っ込んだ状態の網さんをボンネットに乗せたまま、約７キロ先の同市内の自宅まで走行していた。網さんの頭は助手席前のガラスを突き破り、首から上が車内に入った状態で移動し続けた。

　事故から約３０分後に自宅に到着した佐藤容疑者は「事故を起こしちゃった。人をひいてしまったらしい」と知人に電話で連絡。知人が午前５時ごろ、１１０番通報した。通報を受けた署員が佐藤容疑者の自宅庭先にある車を発見。網さんはボンネットに乗ったままの状態で、救急隊員が死亡を確認した。佐藤容疑者は自宅にいたが、けがはなかったという。

　同署によると、事件現場は片側一車線の見通しよい直線道路。だが事件当時、現場の周辺はほとんど人通りがなく、街灯も少ないため視界が暗かった。通行人をはね、ボンネットに乗せたままの“長距離逃走劇”に、同署は「車で人をひいて振り落とすことはあるが、今回はとても珍しいケース」。佐藤容疑者は容疑を認め「動揺してしまった」などと供述しているという。

　◇近年発生した主な引きずり事件
  ▼２００７年５月２４日　埼玉県草加市で、草加署員から職務質問を受けた男性が車を急発進。運転席の窓をつかんだ署員を約１５０メートル引きずり、振り落として逃走。
  ▼０８年１１月１６日　大阪府富田林市で、大工の男が新聞配達員の男性を７キロにわたって引きずり、死亡させた。男は６月に酒気帯び運転で摘発されていた。
  ▼１０年１月２日　北海道美唄市で８０歳の男性が車にはねられ死亡。状況から、約２５キロにわたって引きずられた可能性が高い。

（2010年1月11日06時02分スポーツ報知）

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