2007年06月

2007年06月12日

■バリスタ日本代表にカプチーノをこしらえてもらって…

記者会見 万年筆とコーヒー。

 この組み合わせが似合うと思うのは、わたくしだけではないはず。

 旅先で、自家焙煎している香りに誘われて、そのコーヒー専門店でちょっと休憩。一杯のコーヒーを愉しみながら、親しい人に寸簡をしたためる、なんてことがよくあったなぁ。

 

 母方の祖母が、浅草寺の二天門の近くで<ぶらんこ>という喫茶店を営んでいたこともあって、実は、わたくしは、無類の喫茶店好き。

 祖母の店には、ポール・モーリアのイージー・リスニングがいつも流れていて、タマゴトーストにブレンドを註文したサラリーマンが、店のブック型のマッチでタバコに火をつけて、新聞を読んだり、書類に目を通していたりしたのを、大人ってカッコイイなぁと眺めていたものだった。スターバックスが<スタバ>と愛称される昨今、低いシートのボックス席が並ぶ喫茶店は随分と姿を消したネ。

 

 自家焙煎の、深煎り豆を、布製のネルで丁寧に点てるコーヒーに魅せられてしまったのは大学生の頃。万年筆とコーヒーに夢中になっていた。

 今はもうなくなってしまったけれど、その頃、地元、西千葉に、<カフェ・ドゥ・タピール>というコーヒー専門店があって、内野さんというマスターにコーヒー豆のイロハを教えてもらった。毎週木曜日が定休日で、早朝から内野さんに連れられて、銀座の<ランブル>や、吉祥寺の<もか>、足利の<カフェ・ドゥ・フルカワ>にコーヒーを飲みに行ったものだった。

 お奨めのコーヒーを飲んでいると、内野マスターが、やおら味の感想を述べ豆の解説を始める。わたくしは、買ったばかりのペリカン・トレド(M700)を取り出して、ふにゃふにゃのペン先をコントロールしながら、その言葉を手帖に書き取ったものだった。

 

 

2種類 コーヒーの思い出を書いたのは、実は、先週の金曜日に、ワールドバリスタチャンピオンシップの日本代表選手、宮前みゆきさんにカプチーノをこしらえていただいたのであります。いやぁ、まろやかないいお味でございました。

 ところで、バリスタって御存知でした?

 

 

1杯 7月31日から8月2日までの3日間、有明の東京ビッグサイトで、ワールドバリスタチャンピオンシップが行われるのです。今年で8回目の世界選手権ですが、日本での開催は、初めてで、アジアでの開催も初めてなのです。

 

 

 

近石さん 記者会見には、『男の隠れ家ONLINE』でコーヒーの記事をお書きになっている近石勇人さんにも同行してもらいました。スペシャルティーコーヒー・マイスターの資格を持つ近石さんの解説で、エスプレッソコーヒーの抽出の様子を見たり、宮前バリスタにこしらえてもらったカプチーノを飲んだりしたのだけれど、それが実に愉しく、面白かった。

 本日更新された『男の隠れ家ONLINE』には近石さんの解説文が掲載されていますので、ぜひお読みください。

 

【号外!】世界最高のエスプレッソが東京に集結!

ワールドバリスタチャンピオンシップ2007

 〜 超一流バリスタの世界 〜

http://otokonokakurega.net/blog/shop/11/entry467.html

 

 

近石勇人さんプロフィール

日本スペシャルティーコーヒー協会認定コーヒーマイスター。

米国留学、MBAを取得するも"おいしいコーヒー一杯"の深さに嵌り、

コーヒー豆焙煎工房モカジャバ店主となる。

毎日世界の様々なコーヒーを焙煎し、味わい、完成を目指して研究中。

 

 

 スタバもいいけれど(アズキフラペチーノおいしいぃねぇ!)、一流の技術をもったバリスタのいる、万年筆で葉書をさらさら書くのが似合うお店を探して、このブログで紹介していこうかナァと思っています。

 宮前バリスタは、コーヒーの泡(クレマ)やミルクの泡(フォームドミルク)にペン先の絵を描けるのかナァ。今度聞いてみようっと。

 

 

男の隠れ家ニュース

「世界一のバリスタは? アジア初のバリスタ選手権、東京で」

http://otokonokakurega.net/headline/102/

 

 

 

 

■「男の隠れ家ONLINE」の記事を更新しました!

 モンブランの名品「2桁シリーズ」にまつわる物語 その3

 イチカァの<モンブランNo.72>と私の<モンブランNo.23>

 

 今回は、<No.72>と<No.23>の比較です。<モンブランNo.23>が大好きなわたくしは、<モンブランNo.23>を愛用している人を見つけると、ついつい握手したくなります。

 

 そういえば、以前記事で取り上げた書家黒住先生の奥様の万年筆が、黒の<モンブランNo.23>だった。でも…。イチカァの72と同じで、首軸が割れてしまってお蔵入りになっていた…。

 そうだ。ユーロボックスの藤井さんに相談してみよう。なんとかパーツを見つけて甦らせなきゃ!

 

 今週も御高覧御笑読をお願い申し上げます。

   『男の隠れ家ONLINE』

       http://otokonokakurega.net/blog/standard/20/

 



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2007年06月11日

■谷啓さんのモンブラン NHK「美の壺」ご覧になりました?

 番組のコンセプトは「暮らしの中の美の、鑑賞マニュアル」ということですから、そういう前提で評価をすれば、よくできた番組だったと思います。

 

 番組は、谷啓さんの軽快な芝居で始まりましたが、谷さんが使っていた万年筆はモンブランでしたネ。

あまり見かけないモンブランでした。

142-B tate

キャップに3連のリングがありながら、2桁シリーズの天ビスとクリップ。首軸は25×シリーズに似ています。インクビューとキャップの螺子を兼ねた青いパーツが独特でした。

 

万年筆の持ち方がぎこちなかったので、おそらく谷啓さん御自身が御愛用の万年筆ではないと思いますが、一見なんの変哲もないモンブランのように見えますが、なかなかマニアックな一本を選んだナァと番組の展開に期待を持ちました。

 

 

 

 

 

142-Cあの万年筆は、<モンブランNo.142のオルタネイティブ・バージョン>か<モンブランNo.144のオルタネイティブ・バージョン>のどちらかでしょう。1950年代に作られていた142や144の別バージョンです。2桁シリーズが誕生した際に、そのパーツを活かして誕生したモデルで、歴とした“マイスターシュテック”です。

 

142-A yori

 写真の万年筆は<モンブランNo.142のオルタネイティブ・バージョン KMニブつき>です。サイズは<モンブランNo.22>よりもほんのひと回り小振りです。

 

 

 

 

 開高記念館が紹介され、開高先生の書斎が映し出されていました。エッセイ『生物としての静物』に収められている“この一本の夜々、モンブラン”という章の一節が書き記された原稿用紙の上に乗っかって、あの、モンブラン149<開高健モデル>が登場したシーンでは、視聴率がどこまで上がったかわかりませんが、わたくしの興奮度はピークに達しました。そうです。そうなんです。あぁいうじっくりとしたパン(カメラを左右または上下に動かすこと)が大事なんです。ありぃがっとぉ、キャメラさん!

 

 今回の番組は、わたくしたち仲間うちでは“kiyomiさん”で通っている松本喜代美さんにとって、記念すべき、手タレ(美麗なるお手手のタレントさんのこと)デビューの番組でもありました。初ギャラは、パーカーの万年筆だったとか。きっと、近いうちに、<NHK>とロゴの入った記念万年筆を、御自身のホームページで御紹介してくださるのでは、と期待しています。

 

 蒔絵の作業を紹介しているシーンで、ハイビジョンの性能がいかんなく発揮されていてささやかな感動を覚えました。わが家のモニターは一昔前のソニー・トリニトロンですが、それでみても、金粉が煌きながら漆塗りを施された軸へと注がれているシーンはなかなかのものでした。



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2007年06月07日

■祝! 金ペン堂 店主 古矢さん退院

 昨日6月6日、金ペン堂の古矢さんが退院しました。

 

 腰、足の付け根、尻などの原因不明の激痛で、2月24日に立てなくなって以来、約3ヵ月半ぶりの退院。昨夜は、愛犬のアロ君やメリちゃんとくつろがれたことでしょう。

 

いくつもの病院で検査をしても、結果はすべて「異常なし」。湿布薬と痛み止めの薬が処方されるだけで、日を追うごとに痛みは激しくなっていき、東京女子医大から東京北社会保険病院へと入院しましたが、改善が見られず、岩井整形外科内科病院への転院となりました。

入院後の検査で、第五腰椎の、レントゲンにはまったく写らない場所の、圧迫骨折が判明し、4月末に手術を受けられました。

 

 今回の手術には、岩井整形外科内科病院(東京・小岩)の宮川一郎整形外科部長をはじめ、稲波弘彦院長、五十嵐先生、整形外科看護スタッフのみなさんに、それは、それは、とーーーーてっもお世話になりました。

 

実は、この宮川先生は、昨年わたくしが入院していた際の主治医で、稲波院長先生が執刀医なのです。腰椎間板ヘルニアなどの腰痛治療では、おそらく、いや、間違いなく日本一の病院だと思いますが、今回も大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。(腰痛で苦しんでいる人がいたら行ってみて!)

 

 

 古矢さんは、まだしばらくはリハビリテーションに専念されることになっています。臀部や股関節に痛みが残っており、また車椅子の生活だったので、だいぶ脚の筋力が低下してしまっており、立つこと、歩くこと、しゃがむこと、腰を下ろすこと、といった基礎的な動作を一からトレーニングしていく予定です。

 

 万年筆の調整は、息子さんと分担しながら、病室でも続けられていました。

入院する前日まで、閉店後、シャッターを閉めた店の中で、毎晩深夜0時、ときには1時近くまで、調整をしていたのだそうです。調整作業は、古矢さんの場合、坐ってはできないのだそうで、ずっと立ちっ放し。平均して一日に13時間から14時間立ったままの生活を、7?歳になる今日までしてきたことになります。

 どんな職業も同じだとは思いますが、調整を施して万年筆を売るというのは壮絶だなぁ、と率直に思いました。

 

 古矢さんの入院生活のあいだ、わたくしは、自分自身のリハビリの前後に、病室を訪ね、万年筆やインキの話をたくさんうかがうことができました。

あるとき、バイブルと呼ばれている「ランブロー本」を持っていき、各ブランドの各万年筆の特徴や長所、短所、欠点、注意点などをうかがうという貴重な経験をさせてもらいました。

 加えて、1950年代以降現在までに金ペン堂で扱ってきた万年筆の変遷と思い出などもお話いただき、万年筆愛好家としてはこの上なく愉しいひと時を過ごすことができました(古矢さん、ごめんなさい)。

 

 しきりにおっしゃられていたのは、時を経るにしたがって、機能的には素晴らしい万年筆が誕生していっているものの、魂を込められた万年筆が少なくなってきている、といった旨のお話でした。

 調整するということは、使い手の立場に立って、万年筆に魂を込める作業だ、というのは、いかにも東洋的な発想かもしれませんが、わたくしは、金ペン堂さんとの約3ヶ月間の語らいの中で、そんなふうにとらえるようになりました。

 

 

 腰痛はなかなか完治しにくく、わたくしも激痛はなくなったものの、こわばりや右足のしびれが続いており、天気が崩れる前々日など、坐骨神経痛に襲われ起き上がれなくなったりすることもあります。日常生活への支障はまだまだあって、社会復帰の難しさも痛切に感じています。希望が薄れたり、イライラ癇癪をおこしたりすることもありますが、コツコツとモクモクとリハビリに専念するしかありません。

 古矢さんとわたくしとでは、境遇はまったく違いますが、「焦り」を感じている点ではおなじかなぁと思ったりもします。

 

万年筆のイロハを教えていただいた金ペン堂の古矢さんと“痛み持ち友達”になったのも、何かのご縁。リハビリもご一緒する機会が増えそうですので、経過報告や、面白い万年筆話を、このブログで紹介させていただきます。

 

 

 金ペン堂 店主 古矢健二さんからのメッセージ

 おかげさまで退院しました。

お客様をはじめ、多くの方々に御心配をおかけしました。

今しばらくリハビリに専念しますので、お店にはおりませんが、従来どおり万年筆の調整に励みますので、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 



kugel_149 at 22:06|PermalinkComments(4)この記事をクリップ!万年筆つながりの人間関係 

2007年06月05日

■オススメしてごめんなさい

 「かったりぃ番組だゼ!」

 

今日6月5日から、NHK教育テレビジョンで放映が開始された、

『知るを楽しむ 私のこだわり人物伝』という番組の、

「開高健 悠々として急げ」をみた。

 

 ブログが、批判した相手が反論のしにくいメディアであることをわかった上で、番組を批評したい。

この場で、わたくしの記事を読んで番組を視聴された方々に、お詫び申し上げたい。

 「わざわざ時間を繰り合わせてご覧いただいたのに、すみません」

 

テーマ『「鼻」の巻〜飢餓から飽食の時代へ』はよかったように思う。しかし、開高さんの魅力も、重松氏の魅力も感じられなかった。重松氏の作品を面白いと思って読んでいるだけに、ぎこちないしゃべり、使い古された通り一遍の解釈、紋切り型の賞賛文句の数々…。がっかりした。

受信料を取って製作しているんだという自覚があるのだろうか、と怒ったネ。サムシング・ニューはないのかい? NHKさんよ!

 

 モンブラン149が2カット登場した。お、出た!出た!と喜んでいたのだが、カメラマン氏は、ディレクターには、開高さんにも、小説家にも、興味関心がないようだ。魂をこめた撮影をしていないのである。もっと勉強してから出直していらっしゃい! モンブラン149にググッと寄っていってくんなきゃダメだよ、ああいうシーンでは。

 

 開高さんの肉声が流れた。

「小説家になってやっていけるのか不安でノイローゼになっちゃった…」

そう語っていた。小説を書けなくなった開高さんは、悩んだ末、ルポルタージュを書いてみたらという助言に従って、ルポルタージュに挑戦したんじゃないの?

 

 『ずばり東京』で開高さんは小説じゃなくルポを書くのだが、全回にわたって、すべて異なった文体で作品を発表するという試作に挑んだのだった。晩年、開高さんのこんな言葉が残っている。

「作家が何を書いたか、ということばかりが、日本の文壇では話題になり、評価の対象になっているが、本当に大切なことは、どう書いたか、ということだ」

 

 忘れていた開高さんの言葉を紹介します。

「濁り水の流れつつ澄む」

 

 次に期待したいところだが…。

 果たして、どうなりますか…。

 



kugel_149 at 23:34|PermalinkComments(0)この記事をクリップ!号外 

2007年06月04日

■小説家「開高健」を知ってください

モンブラン149に“開高健モデル”とよばれるバージョンがあるのを御存知だとは思いますが、開高健という小説家がどんな人間だったのかを知らない人が意外と多いんです。

 

明日6月5日から、NHK教育テレビジョンの、

『知るを楽しむ 私のこだわり人物伝』という番組で、

重松清氏による「開高健 悠々として急げ」が放送されます。

 

全4回で、各回のテーマと放送予定は次のとおりです。

 

 1.「鼻」の巻〜飢餓から飽食の時代へ

   本放送 6月 5日 22:25〜22:50

   再放送 6月12日  5:05〜 5:30

 

 2.「目」の巻〜ベトナムで見つめた生と死

   本放送 6月12日 22:25〜22:50

   再放送 6月19日  5:05〜 5:30

 

 3.「耳」の巻〜闇に聞いた内なる声

   本放送 6月19日 22:25〜22:50

   再放送 6月26日  5:05〜 5:30

 

 4.「舌」の巻〜無と快楽の果てに

   本放送 6月26日 22:25〜22:50

   再放送 7月 3日  5:05〜 5:30

 

 テキストがあります。すでに書店で販売されているようです。よろしければ…

 

 番組ホームページ

 http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200706/tuesday.html

 

 開高健という人間を知ることで、きっと、モンブラン149“開高健モデル”がほしくなることでしょう。

 

 

 情報提供をしてくれたヅカ、どうもありぃがぁとぉ!

 (いやぁ、まったくノーマークだった…)

kugel_149 at 16:00|PermalinkComments(1)この記事をクリップ!号外