日本相撲協会の理事選で、二所ノ関一門を離脱して立候補を表明した貴乃花親方(37)=元横綱貴乃花=に逆風だ。時津風一門、高砂一門が9日、都内で一門会を開き、2つの一門から計3人の立候補者を出す案が浮上。選挙協力を求める余地がなくなる可能性が出てきた。一方で二所ノ関一門の重鎮、間垣親方(56)=元横綱2代目若乃花=が一門に残ったまま貴乃花に投票しても容認すべきと発言。二所ノ関以外の一門からの貴乃花親方の支持者も出てきているもようで、初場所後の選挙戦は混迷しそうだ。
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時津風一門と高砂一門は、これまでも監事選で交互に立候補者を出すなど選挙協力をしてきた。先に行われた時津風一門会で、陸奥親方(元大関霧島)と、もう1人立候補者を出すことが議題に上った。一門外に名跡を貸している分を含めると、両一門の票数は30とみられる。11人が立候補した際の当選ラインは10票で、3人が当選可能な数だ。
時津風一門会では、全員が出席しなかったため結論が出なかった。続いて行われた高砂一門会でも同様の話題が上り、出席した中村親方(元関脇富士桜)は「票数が足りれば出るんじゃないの。(候補者は)そこまで(話が)いっていない」と話した。時津風一門、高砂一門はともに初場所中に一門会を再度開いて、結論を出す予定だ。
時津風一門の立候補者が1人だった場合、貴乃花親方にも選挙協力を求める余地があった。しかし、高砂・時津風連合から3人が立つとなると話は別。一門外に協力を求める幅がぐっと狭まり、史上最多の理事立候補者12人による乱戦となる可能性も出てきた。
もっとも、二所ノ関一門以外の一門からも支持に回る親方が現れるなど、貴乃花親方への支持者が増加していることが判明。二所ノ関一門内にも味方はおり、最近、支持を得たとみられる間垣親方が「貴乃花を破門にするのはおかしいという意見もあった。(貴乃花支持者に)『貴乃花について行くのか。じゃあ破門だ』とするのはおかしい。封建的だ」と発言。投票先こそ「わからない」としたが、貴乃花派が一門に残りながら投票できるよう“けん制”した格好だ。
また、間垣親方は私見として二所ノ関一門の候補者について「当然2人がいい。10日目の一門会でそういう話になると思う」とした。貴乃花派以外の票数22を2人の立候補者で分けると、理論上は2票が余り、その分を貴乃花派が切り崩す可能性もある。いずれにしても、他一門の動向が貴乃花親方の命運を左右する。