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さい銭泥棒後絶たず

2010年01月09日

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さい銭箱を撤去した海龍王寺の西金堂。南京錠や扉がバールでこじ開けられ、五重小塔(奥)があるお堂内が荒らされていた=奈良市

 ◆昨年80件 箱、撤去の寺も

 すさんだ世相の反映か、県内でさい銭泥棒が後を絶たない。相次ぐ被害に、さい銭箱を撤去する寺も出てきた。

 5日午後1時半ごろ、「三枝祭」(ゆりまつり、6月)で有名な率川(いさがわ)神社(奈良市)で、滋賀県甲賀市の無職男(58)が、粘着テープを巻き付けた棒を、さい銭箱に突っ込んでお金を盗んでいた。神主(26)が男を取り押さえた時、すでに3千円を手にしていた。奈良署の調べに、男は「パチンコに負け、金が欲しかった」と供述したという。

 海龍王寺(奈良市)は08年9月、寺からさい銭箱を撤去した。西金堂の扉がバールで壊され、堂内の五重小塔(国宝)前にあったさい銭箱が丸ごと持ち去られた事件がきっかけだ。さい銭箱は1960年代後半から置いていたが、これまでいたずら程度の被害しかなかったという。石川重元住職(43)は「お堂の格子を破るなど、荒っぽい犯行が増えていた。国宝やお堂に傷をつけられると大変なのでやむをえない」と困り顔だ。

 般若寺(奈良市)や宝山寺(生駒市)も、夜間の職員巡回や、壊しにくい金属製さい銭箱への交換など、対策に乗り出している。

 県警刑事企画課によると、09年のさい銭泥棒は約80件で、12人が検挙された。警備が厳重な有名寺社より、摂社や末社が狙われやすいという。ある捜査員は「被害に遭っても気づかない寺社があり、実害はこの何倍も多いはず」と話している。
(石原孝)

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