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【法廷から】兄名義の免許証の使い方と顛末は…
実兄を装って運転免許証を再交付させたとして、有印私文書偽造・同行使などの罪に問われた無職、小林朋広被告(20)。平成21年12月24日にさいたま地裁で開かれた公判で明らかにされた兄名義の免許証の使用方法とは−。
起訴状によると、小林被告は21年8月7日、埼玉県鴻巣市の運転免許センターで、兄の運転免許証再交付申請書などを提出し、兄名義の免許証の再交付を受けたとされる。
この日に行われた被告人質問によると、小林被告は鴻巣市内の実家に寄りつかず、インターネットカフェで寝泊まりする生活をしていた。カネに困っており、兄名義の免許証がほしかったのは、兄の預金を引き下ろすためだった。
小林被告は再交付を受けた免許証を使って兄の銀行口座から預金全額の211万円を勝手に引き出していた。弁護人は引き出したカネの顛末(てんまつ)について聞いた。
弁護人「引き下ろした現金は」
被告「半分はパチンコ店でバッグの中に入れていたら持ち逃げされた。残りはネットカフェ代や食費に」
弁護人「盗まれたカネの被害届は出したか」
被告「自分の名前で出すわけにはいかなかった」
検察側の被告人質問に移り、被告は軽い気持ちでやってしまったこと、まじめに働いて返すと訴える。そんな被告に裁判官は−。
裁判官「200万円ためるのがどれだけ大変かわかるよね」
被告「はい」
裁判官「コツコツためた211万円を実の弟に不正で取られたらどう思う」
被告「とんでもないことをした」
裁判官「悪いとは考えなかったのか」
被告「考えなかった。当時、自分だけよければいいと思っていた。軽い気持ちからやった」
裁判官「20歳過ぎたから言い訳はできないよね」
被告「(消え入るような声で)すいません」
裁判官「社会復帰したらどうする」
被告「親や兄に返済しないと許してもらえない。いい加減なことしないで、自分の力で働いて返したい」
裁判官「実家に戻るつもりは」
被告「返済して、許してもらえたら」
裁判官「仕事はどうするのか」
被告「以前、土木作業員をやっていた。どんなにきつくてもやる」
検察側は懲役2年を求刑。小林被告は事件後、兄や母親とは顔を合わせていないという。被告にだんらんが戻ってくる日はあるのだろうか。判決は6日に言い渡される。(清作左)