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小惑星探査機 はやぶさ

小惑星探査機「はやぶさ」情報

日本時間2010年1月7日現在
地球より(Distance from Earth): 66,406,690 km

今週のはやぶさ君

はやぶさ君「はやぶさ」は、地球への帰還に向けての長い旅路の途中にありますが、2007年10月以来の「冬眠モード」を終え、2009年2月4日11時35分にイオンエンジンを再点火、動力飛行を開始しました。
これから、2010年3月頃までイオンエンジンによる加速を徐々に行い、地球帰還へ向けた第2期の軌道変換を行う予定です。
「はやぶさ」の旅はまだまだ目が離せません。 これからも「はやぶさ」関連の小ネタを、少しずつ報告できればと思っています。

2010年1月7日[更新]

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あけましておめでとうございます。
はやぶさ君は、この年末年始に軌道決定を行いました。イオンエンジンをいったんとめて、地球からはやぶさ君までの距離と、はやぶさ君の速度を測ります。体重計の上でじたばた動くと正確な体重を量れないのと同様に、イオンエンジンを吹きながらでは正確な距離と速度を測れないのです。

体重計に乗ってじたばたする力と比べるとイオンエンジンの出力はずっと小さいですが、はやぶさ君にとっては、実は重大です。体重計なら50kgの人の体重を50g位の精度で量れれば十分です。50gは50kgの1/1000ですね。一方で、はやぶさ君の軌道決定では、30km/sec(時速約100000km)で動くはやぶさ君の速度を、30cm/sec(時速約1km)の精度まで測っています。これは、はやぶさ君の速度の1/100000にあたります。ここまで細かく測定した値を元に、軌道設計担当者がイオンエンジンを吹く計画を微調整するのです。

この軌道決定の間、イオンエンジンはとめていましたが、内之浦のアンテナだけではなく外国のアンテナも使って、距離と速度を測るための通信を行っていたので、はやぶさ君にとっては忙しい年末だったことでしょう。

1月1日から2日にかけての運用でイオンエンジンを再点火し、本日も、はやぶさ君はしし座の方向で牛飼い座あたりを見ながらイオンエンジンを用いた加速を続けています。はやぶさ君の地球帰還に向け、これからも知力の限りを尽くす所存ですので、本年もよろしくお願い申し上げます。

はやぶさ君の軌道決定担当者へのインタビュー
ISASコラム:宇宙・夢・人「第56回:「はやぶさ」生還せよ」
たくさんのアンテナを使った探査機の距離決定に関する説明はここです。
ISASメールマガジン第208号:「探査機の軌道決定」

今回、軌道決定を行いましたので、はやぶさ君の地球からの距離、方向のデータが新しくなりました。
2010年1月7日00時00分(日本時間では、1月7日の9時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離66,406,690km、赤経9h46m24s、赤緯16.66度にいます。

軌道情報

2010年1月6日[更新]

イオンエンジン運転再開後の軌道情報が更新されました。
「はやぶさ」の地球に対する瞬時最接近距離は、160万kmにまで近づきました。
「はやぶさ」の掲げる大きな目標は、地球への帰還、すなわち往復の飛行にあります。「はやぶさ」の飛行計画では、一旦地球に捕らえられる段階を経由しませんので、どの時点で、地球にもどれたと述べてよいのかは、難しい質問です。
地球の「引力圏」の大きさについては、いろいろな定義があり、(1/3) 乗則によれば 216万km、(2/5) 乗則によれば92万kmを引力圏の半径と述べる場合もありますが、Hill 圏として150万kmとするのが合理的です。無限小の第2天体に対する ラグランジュ点 L1, L2 点までの距離は、Hill 圏半径に等しく、L1, L2点はHill 圏球面上にあるといえるからです。もともと明瞭な境界があるわけではないですが、尺度として、このpage では、Hill 圏を引力圏としています。

来週の軌道情報の更新時には、「はやぶさ」の、地球に対する瞬時最接近距離が地球の引力圏の内側に入ったと発表することができると思います。

*瞬時最接近距離が地球の引力圏の内側に入ったと言っても、そのまま地球に捕獲されて地球を周回しはじめるわけではありません。

「はやぶさ」プロジェクトマネージャ 川口 淳一郎

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慣性座標系(黄道座標系)での「はやぶさ」位置(2010年1月)

慣性座標系(黄道座標系)での「はやぶさ」位置(2010年1月)

最新トピックス

2009年11月19日[更新]

小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用再開!
小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンの異常について、対応策を検討してきましたが、スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合せることにより、2台合わせて1台のエンジン相当の推進力を得ることが確認でき、今後の運用に対する見通しが得られましたので、イオンエンジンの状況を注視しつつ帰還運用を再開することとしました。

関連リンク

今後の予定

2010年6月 地球に帰還

ミッション達成度

【達成!】電気推進エンジン 稼働開始(3台同時運転は世界初) 50点
【達成!】電気推進エンジン ある期間(1000時間)稼働 100点
【達成!】地球スウィングバイ成功
(電気推進によるスウィングバイは世界初)
150点
【達成!】(自律航法に成功して)イトカワとランデブー成功 200点
【達成!】イトカワの科学観測成功 250点
【達成!】イトカワにタッチダウンしてサンプル採取 275点
カプセルが地球に帰還、大気圏に再突入して回収 400点
イトカワのサンプル入手 500点