|
|
きょうの社説 2010年1月10日
◎新幹線の新議連 新潟もぜひ参加させたい
北陸新幹線の建設を推進するために沿線の与党系地方議員が発足させる議連には、ぜひ
新潟の地方議員も参加させてもらいたい。泉田裕彦新潟県知事は、昨年末にようやく建設費の地元負担金の支払い拒否を撤回したとはいえ、支払うと確約しているのは今年度分だけであり、新年度以降の方針はまだ不透明である。新議連に新潟の県議らを巻き込んで緊密に意思疎通を図り、泉田知事の外堀を埋めることによって「新潟の乱」の再燃を防ぎたい。新議連の設立を呼び掛けたのは福井県議会の民主党系会派で、石川と富山はこれに応じ る姿勢を示している。ただ、全体の枠組みは未定であり、現時点では、北陸3県だけとする案と、新潟や長野、滋賀、京都、大阪も加える案が浮上している。 石川、富山とすれば、まず当面は2014年度の金沢開業をより確実にしていくことが 優先課題である。泉田知事が今後もその支障となる可能性があることを考えれば、新潟を新議連に加えるメリットは小さくない。「川上」の新潟で再び混乱が起きれば、これから本格化する金沢以西の延伸論議にも影を落とすのは必至であり、新議連の発案者である福井にとっても、手を打っておいて損はないはずである。仮に、先の2案のどちらかを選ぶのなら、後者が望ましいのではないか。 もちろん、組織をつくるだけではあまり意味がなく、活動することが大事である。11 年度以降の予算確保や延伸の実現だけでなく、JRから経営分離される並行在来線への支援、自治体の負担軽減などについても、政府・与党に具体的な提言を重ねてほしい。 北陸新幹線の整備促進を目指す地方議員の組織としては、既に北陸3県と新潟、長野の 5県議会協議会があり、こちらのメンバーである各県議長はすべて自民党である。与党系議員には、新議連でそれに対抗したいという思惑があるのかもしれないが、もしそうだとすれば、少し度量が足りないように思われる。新議連には、与野党の垣根を越え、同じ目的を掲げる他の組織にも連携の手を差し伸べる姿勢を求めたい。
◎サイクリング観光 台湾誘客をモデルプランに
台湾から石川県への本格的なサイクリングツアー受け入れに向けて、台湾の関係者が県
入りし、今春から計画するツアーコースの視察などを行った。台湾誘客に力を入れる県はスキー、ゴルフと合わせて自転車愛好者の誘客を促進しており、新たな客層の掘り起こしが期待される。台湾では空前のサイクリングブームが起きており、日本国内でも沖縄や北海道などでツ アーが企画され、好評だという。県内では昨年、能登半島を1周する「ツール・ド・のと」に、台湾サイクリング協会の役員がコースの一部を試走し、能登の景色の素晴らしさなどに太鼓判を押している。北國新聞社が台湾向けに発行した石川県の魅力を伝える観光情報誌にも能登半島をめぐるサイクリングが紹介されている。今年はサイクリングツアーの「誘客元年」であり、県内の自転車道の環境整備やコース選定などを進めて、広く海外からの誘客にもつながるモデルプランを構築してもらいたい。 今回視察に訪れたのは、能登半島などでサイクリングツアーを計画する台湾サイクリン グ協会などの一行で、計画では4月から10回程度行うツアーに約250人が参加する見通しという。今後も台湾への情報発信とともに、ツアー参加者らの声を反映させながら、受け入れ体制を整える必要がある。各自転車道周辺の案内表示や自転車保管場所などをきめ細かくチェックしてほしい。 「ツール・ド・のと」を例に挙げると、全国からの参加者を感激させているものに、沿 道の温かいもてなしがある。食や宿泊などその土地ならではのサービスもツアーの大きな魅力となろう。 台湾からの誘客は小松―台北便の利用を見込んでいるが、能登空港の場合も、降りたら すぐサイクリングを楽しめる風景が広がるという評価がある。これまでも海外の富裕層がツアーに訪れており、台湾からのチャーター便や首都圏経由での国内外からの誘客促進が期待できる。サイクリングを柱に、金沢をはじめ県内の名所や温泉などを巡るプランも組み合わせて、幅広い層を県内に呼び込みたい。
|