夕日をバックに、堂上直をおぶって砂浜でトレーニングする福田=三重県志摩市で(小嶋明彦撮影)
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中日の福田永将内野手(21)が8日、堂上兄弟らとの三重県内での自主トレを公開。「ホームラン量産計画」を進めていることを明かした。今オフは筋力トレーニングに集中。昨年限りで現役引退した本紙評論家・立浪和義さん(40)のアドバイスで使用している重たいバットを高速で振り抜くパワーを身につけ、飛距離アップに結び付けると宣言した。まずは代打として立浪さんの後を継ぐことが、飛躍への第一歩だ。
和製大砲への道を究めると決めた。志摩の地で4年目のスタートを切った福田は、慣れ親しんだ重さ「930グラム」の“愛刀”を手にしていた。「もっと軽いバットにしようかとも考えたんです。でもやっぱり変えません。妥協しないことにしました」
「930グラム」のバットは飛び抜けて重たい。球界では900〜910グラムが一般的で、ドラゴンズの主砲ブランコでさえ900グラムを使っている。一部のパワーヒッターにしか許されない、希少価値の高いバットなのだ。
これを福田が使い始めたのはプロ入り間もないころ。軽めのバットを使おうとしたところ、先輩の立浪さん(昨季限りで現役引退)にとがめられた。「若いうちから軽いものを使うな」。安易に楽をするなという大打者の金言。以来、福田は超の付く重いバットを使うようになったのだ。
930グラムのバットを使いこなすのは容易ではない。重ければ重いほどスイングスピードは鈍りがち。「今でも重たく感じるときがある」と福田は言う。だから一時はバットを軽くしようという考えも頭をよぎった。その誘惑を断ち切ったのは、「重いなら力をつければいい」という単純な論理に行き着いたからだ。
「このバットを軽く感じるようにすればいい。スイングスピードが速くなるようなパワーをつける。スピードが同じなら、重たいバットの方が打球は飛ぶワケですから」
今オフ、2日に1度の筋力トレーニングを欠かさずに続けている。ダンベルやトレーニングマシンと格闘し、全身を鍛え上げる。「こんなに筋トレをしているオフは初めて」と福田は笑う。
「まずは開幕1軍」と抱負を語る新シーズン。福田が守る一塁にはブランコ、三塁には森野の中心打者がいる。となると、プロ4年目の長距離砲候補に期待されるのは立浪さんが抜けた代打陣の一角。「重いバットを使え」のアドバイスに応えることは、その穴を埋めることにもつながる。「出られるところで結果を残す。少ないチャンスを生かしたい」。パワーアップを果たし、重量級のバットを自分のものにしたとき、福田はポスト・立浪へと飛躍する。 (木村尚公)
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