



ラッセルするのに踏み跡があってはならない。いろいろロープいらずで行けるところを考えたが、正月休みは誰もが動くから、そんな場所はなかなかない。あまり遠くても困る。
尾瀬なら、3月以降の残雪期には何度も入っているし、まだ真冬は見たことがない、人は絶対にとはいえなくも、まあいないだろうと思った。雪で川がどこでも渡れるようになれば、自由に歩ける、といっても、深い雪でどれくらい歩けるものか、未知数ではあるが。
沼田駅から12月29日の夕方、戸倉に着くバスに乗る。すぐに戸倉スキー場の奥の林道に入り、水のあるところで最初の夜となる。スノーモービルの跡が伸びていて、雪の量も少ない。
30日は穏やかな晴れだった。富士見下からのショートカットの踏み跡が上に続いて、途中の湿原まではわかんの必要を感じなかった。湿原から、もぐるところはもぐるようになったので、わかんをつける。しかし、深さは膝下だ。雪の上にはいくつもの動物の足跡がついている。樹上には何種類もの鳥が餌を探している。いくらか雪が深くなって、踏み跡も見えなくなった。
富士見峠から長沢の左岸尾根を下る。傾斜はゆるく、あまり下っている感じがしない。煩わしいほど赤テープが付けられているが、まさか夏にこんなに目印がいるのだろうか?樹林で展望はなく、下り初めにちょっと見えた燧ヶ岳もすぐ見えなくなった。最後の急斜面をややセン沢側に下って、傾斜のゆるい氾濫源に出たところで時間切れ。周りは高い樹木が茂り、尾瀬ヶ原はまだ見えない。
31日、夜から雪が降ってきたが、気になるほどではない。氾濫源を出て中田代の一角で、ようやく樹木にさえぎられることのない、広大な白い原っぱを目にすることができた。雪は締まっていて、あまりもぐらない。しかしすでに山の姿はなく、僅かに山すその樹林が見えるだけだった。沼尻川はもちろん、かなり小さな川もまだ埋まっていない、ということは、景鶴に行くのも戻るのも、ヨッピ橋を渡らなければならないということだ。浅いラッセルで自分だけの足跡を残して中田代を横切り、鉄骨だけのヨッピ橋を渡る。ここからケイヅル沢の氾濫源を、ごく緩やかに登っていく。視界が悪くなって、登る予定の尾根を探すのに一苦労。だが、こちらの落葉樹林はりっぱなのに、動物の足跡が全くない。夏に人のいない北側の山にこそ、動物が多くてもいいはずなのに、不思議なことだ。一段高くなった、大きなブナの根元にテントを張った。ここから空身で景鶴山に行ってくるのは、この雪ならたやすい。
写真上から:活発に走り回る子リス;富士見峠付近から燧ヶ岳;尾瀬ヶ原中田代、この頃には視界が悪くなる;沼尻川、まだ当分埋まりそうにない。
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こんにちは。冬山にはほとんど入らないので知りませんでしたが、きれいな景色ですね。リスも元気なんですね。あまり寒そうには見えませんが、体感温度はどうでしょうね。
2010/1/7(木) 午後 1:31 [ ginguchi ]
夕方は濡れたヤッケの表面が凍るくらいですが、歩いていると暖かく感じるほどですよ。
2010/1/8(金) 午後 0:03 [ ショルティア ]
>煩わしいほど赤テープが付けられているが、まさか夏にこんなに目印がいるのだろうか?
赤テープを付ける作業をしている一人です。
あなたが歩いた所と、至仏山、三平峠そのほか必要と思われる場所に毎年4月中に付けています。
煩わしいほどつけても、あなたのようではない方が道に迷っています。残雪期に赤いテープをつけている作業中でも道を間違える人を見つけました。
煩わしくてすみませんでしたね
2010/1/9(土) 午後 9:36 [ すみませんね ]