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【社会】

アクセルとブレーキ、踏み違え命取り 毎日20件発生、死亡事故も

2010年1月9日 夕刊

アクセルとブレーキの踏み間違えでコンビニへ車が突っ込む事故を防ぐため、設置する店舗が増えているパイプ柵=名古屋市昭和区塩付通で

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 アクセルとブレーキを踏み間違えたとみられる事故が後を絶たない。正月休みには三重県志摩市で車が漁港に転落し、3人が亡くなった。踏み間違い事故は毎日20件近く起きているといい、落ち着いてペダルを確認する心構えが重要だ。

 交通事故総合分析センター(東京)によると、2008年の踏み間違い事故は約6600件で、約9600人が負傷。うち30人が死亡した。運転手は20〜30代が3割、60〜70代も3割。年齢のばらつきは少なく、誰もが加害者になりうる。

 志摩市の事故は、一家が記念撮影を楽しんでから車を移動させて駐車する際、海へと真っすぐ転落し、ブレーキ痕はなかった。止まろうとした時、誤ってアクセルを踏んだ可能性がある。

 交通心理学が専門の篠原一光大阪大准教授は「座る位置が悪くて右足の位置がずれれば容易に間違う。バックのため体をよじったときなどは特に危ない」と指摘。「サッカーでフェイントに引っ掛かるのと同じ。間違った瞬間、すぐには正せない」と説明する。

 対策も始まっている。サン自動車工業(東京)は急アクセルを感知して防ぐ装置を昨年2月、工賃別8万円で発売し「中部地方で毎月40台ほど売れる。ヒヤリとした経験がある人が多いようだ」と担当者。コンビニ業界は、店内への突っ込みを防ぐパイプ柵を設置している。

 一方、名古屋市で昨年12月、駐車場から背後の新堀川に車が転落して運転手が死亡した事故は、ギアがバックにあった。ギアを入れ間違えた状態でアクセルを踏んでしまった事故も08年に約480件あったという。

 運転ミスはどんな状況で起きやすいのか。交通事故に詳しい関東学院大の伊藤典幸准教授は「車をどかすなど善意の行動を取るときが危険。つい慌てる傾向がある」と説き「何事も、ひと息ついてから」と警告する。

 

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