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貴乃花親方“改革へ”決意…無所属で理事選出馬

途中退席した貴乃花親方は厳しい表情で報道陣の質問に答える
途中退席した貴乃花親方は厳しい表情で報道陣の質問に答える
Photo By スポニチ

 大相撲の元横綱、貴乃花親方(37=スポニチ本紙評論家)が所属する二所ノ関一門を離脱し、日本相撲協会の理事選に立候補することになった。現在3人の理事を輩出している同一門は8日、東京・両国国技館で臨時会合を開催。立候補者を4人から3人に絞り込もうとしたが、調整がつかない状況に貴乃花親方は一門を離脱しての出馬を表明した。初場所(10日初日、両国国技館)後に行われる理事選(日程未定)で当選を目指す。

 平成の大横綱が無所属での理事選出馬を決断した。二所ノ関一門会の開始から2時間が経過した午後1時3分。会場の相撲教習所から出てきた貴乃花親方は「あらためて立候補させていただきます、という話をしました」と揺るぎない決意を吐露。そして「大多数の意見に従うということです。先輩方の意見も大事なので、一門を出る(離れる)ことになりました」と一門離脱を宣言した。

 昨年11月に行われた一門会で、貴乃花親方は放駒(元大関・魁傑)二所ノ関(元関脇・金剛)鳴戸(元横綱・隆の里)の各親方らとともに立候補の意思を表明。98年から理事3人を擁立してきた同一門は人数の絞り込みを目指したが、28人が出席したこの日の会合でも調整がつかなかった。先輩親方からは「覚悟はできているのか」と立候補を自重するよう説得されたが、貴乃花親方は決断したように立ち上がり「皆さまの迷惑になるので、私だけが一門を出ます。お世話になりました」とあいさつし、そのまま退席。一門を離脱しても出馬する理由について「自分のやってきた相撲の道に少しでも恩返しできれば」と語った。

 貴乃花親方の出馬で、理事選は02年以来4期ぶりに投票に持ち込まれることが濃厚となった。投票権を持つのは年寄株取得者105人に現役力士代表(魁皇、琴光喜)と立行司2人を加えた109人で、定員10人の理事当選ラインは10票。貴乃花親方は自身と大嶽親方(元関脇・貴闘力)、阿武松親方(元関脇・益荒雄)らの6票を確保し、間垣親方(元横綱・2代目若乃花)も支持に回ったと言われるが、残り3〜4票は他の一門から集めなくてはならない。

 相撲界の一門と言えば、昭和30年代前半までは一門別に巡業を行うなど強固な連帯関係があった。だが、最近ではその結束力も選挙での票固めのみに限定されている。若手の親方からは「一門なんてなくした方がいい」との声もあり、貴乃花親方が他の一門の若手、中堅親方から支持を得られる可能性は十分にある。

 現在の相撲界は不祥事の連続や人気低迷など問題山積。「もっと相撲を若い世代に認知してもらいたい」という貴乃花親方の、改革への決意は固い。19日に行われる一門会への出席打診も拒否。一門内で候補者を調整してきた慣習を打破する異例の行動が実を結ぶのか注目される。

 【解説】<数年待てば理事も、根底に“焦燥感”>貴乃花親方が今回の出馬にこだわったのは、これ以上待てないという“焦燥感”が根底にある。貴乃花親方は08年に35歳で役員待遇に抜てきされた。しかし、役員待遇は相撲協会の最高意思決定機関である理事会への出席こそ認められるものの、議決権はなく発言の機会も限られた。

 相撲界が無風ならそれでもいいが、ここ数年は時津風部屋力士の暴行死事件、外国人力士の大麻事件など不祥事が相次ぎ、監督官庁の文科省から厳しい指導を受けている。そうした中で08年に北の湖前理事長から武蔵川理事長に政権交代したが、若手親方の中には古い体質のまま変わらない現状に対する不満が膨らんでいた。二所一門も年功序列で理事候補を擁立する、以前と同じ流れのままだった。

 現役時代に抜群の実績を残している貴乃花親方は、あと数年も待てば黙っていても理事になれた。しかし、このタイミングを逃せば協会の体質改善の時期は大きく遅れる。危機感を持つ若手・中堅親方の声を反映させるために出馬の道を選んだ。ただ、貴乃花親方は一代年寄を襲名しており、落選しても役員待遇で理事会メンバーに残る可能性もある。

 ◆理事と理事会 理事は組織内での幹部職員的な役割を担う。日本相撲協会の寄付行為では定員9〜13人以内と定められ、内訳は外部理事が3人以内で年寄は10人以内。任期2年で再任も可能となっている。最高決議機関である理事会を構成し、重要事項を決議。理事長は互選で選出される。各理事は事業、巡業など各部の部長を務める。

 ◆一門 明治時代に土俵を持てない小部屋が裕福な部屋に集まって稽古を行ったのが始まりと言われ、現在は出羽海、二所ノ関、高砂、時津風、立浪の5つが存在する。二所ノ関は伝統的に分家、独立が盛んだったこともあり、貴乃花部屋が抜けても部屋数13と最大勢力。理事枠は3だが、現在は弟子の不祥事で間垣親方(元横綱・2代目若乃花)が引責辞任したため放駒親方(元大関・魁傑)二所ノ関(元関脇・金剛)の2人。「土俵の鬼」と呼ばれた横綱・初代若乃花や、32回の最多優勝を誇る横綱・大鵬らを輩出した。

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