2010年01月09日
勝間さんと藤末議員はマーケティング戦略を失敗したのではないか?
最近、ネットでずいぶんと話題になったふたつの出来事があります。
勝間さんのリフレ派論客としてのセンセーショナルなデビューと、藤末議員の資本家悪玉論にもとづく規制案です。
最初にいっておくと、僕は勝間さんにも藤末さんにも、個人的にはまったく悪感情をもっておりません。
特に勝間さんに関しては、つい最近まで一介の冴えない外資系サラリーマンだったのが、自己啓発の女王としてあれよあれよという間にスターダムにのし上がり、日本社会にカツマー旋風を引き起こしました、勝間さんのマーケターとしての実力は大いに尊敬しています。
同じく一介の外資系サラリーマンである僕は、勝間さんの軌跡は畏怖の念をもってみつめてきました。
今の勝間さんは、もはや世界的なセレブリティーの仲間入りをしたスターであり、数百万人ともいわれるカツマーの教祖でもあり、日本を代表するグールーです。
勝間さんの出すビジネス書は出せば必ずベストセラーになり、この数年間はビジネス書のヒット・チャートは勝間本で埋め尽くされたといっても過言ではありません。
今では、書店に足を運べば、いつでも勝間さんの100万ドルの笑顔をみることができます。

また、僕は日本はもっと女性が政治の世界で活躍するべきだという自論を持っているので、勝間さんのような方が政治家になったら日本はもっとよくなるのではないかと思っております。
ただし、その場合は、少子化対策とか働き方の多様化とかに取り組んでもらいたいので、どちらかというと金融政策やマクロ経済政策は他の専門家に任せたほうがいいのではないかと思います。
さて、数年間続いてきたカツマー旋風ですが、勝間さんも次のステージを考えていかなければいけない時期にきました。
というのも勝間本を熱心に読み実践したカツマー達が、どういうわけか誰も成功しないし、誰も年収が10倍
にならなかったからです。
むしろカツマー達を取り巻く状況は、この数年間、何も好転しないどころかむしろ悪化しているとさえいえる状況の中で、勝間さんだけがどんどんお金持ちになり勝間さんだけがどんどん名声を獲得していくという構図がはっきりとしてきました。
そこで勝間さんが注目したのがリフレ理論ではないかと僕は思っています。
勝間さんはマスマーケティングを得意としています。
20代から40代ぐらいの数千万人の大きな層をターゲットにしています。
これだけ大きな母集団に売れる本を書こうと思うと、やはりどうしても専門的な内容はさけてかなり平易な一般論を書かざるを得なくなってきます。
この辺は作家のジレンマでもあるのです。
専門家がみてもハッとするような面白い本を、多くの一般的な読者層に売るのはかなりむずかしいのです。
(僕が思ういい本は、誰が読んでも面白いのだけれど、専門化が読んでもハッとする部分がある本です)
さて、前置きは長くなりましたが、20代から40代ぐらいのサラリーマンが勝間さんの本をたくさん読んでも、なぜ生活が一向によくならないのかという問いに対して、勝間さんが「私の本を読んだくらいで成功するなら、人生誰も苦労しないよ」などと本当のことをいうわけにはいきません。
そこで、出てきたのがわかりやすいスケープゴートを作り出すという方法ではないでしょうか?
「あなた達が不幸なのは、老人がお金を独占しているからです。そして、たくさん票を持っている老人と結託して老人のお金の独占を強めようとしているのがデフレ政策を強力に進める日銀なのです。日銀を叩きのめせばあなた達は幸せになります」
というロジックが作られたのではないでしょうか
そして人為的インフレによって老人の資産を減らして、それを自分の読者層にばら撒こうとしたのです。
これがリフレ政策です。
発想としては老人からお金を奪い取ってみんなで使うというもので最近流行のオレオレ詐欺と同じものですが、こういうお金をたくさん溜め込んでいる奴からお金を毟り取るという考えは一部の庶民に常に根強い人気があるので、マスマーケティングとしてはそれなりにいい面もあるかと思います。
しかし、リフレ理論を選択したのは、勝間さんにはめずらしくマーケティングの誤りであったのではないかというのが僕の考えです。
というのもリフレ理論を大まかに理解するためには、少なくとも中央銀行の役割、マネタリーベースとマネーストックの関係(信用創造)、貨幣数量理論などが分からなくてはいけません。
これはカツマーには無理というものです。
また、このようなことがわかるとマスが対象の勝間さんの本はあまり読まなくなるので、カツマーではなくなってしまうという自己矛盾がおこります。
それに金融・経済にある程度くわしい人は、リフレ理論なんて聞いても、あの昔さんざん議論されていろいろ実験したけどぜんぜんダメだったやつがなぜ今さら出てきたんだろうぐらいにしか思いません。
ということで勝間さんのリフレ理論はカツマーには理解できなくて受けないし、専門化にも受けないということで、マーケティング的には失敗だったといわざるを得ないのでしょうか?
さすがの勝間さんでも「金融政策」のような専門的な話題を一般人に受けるように話すのは不可能ではないでしょうか。
次に、藤末議員の資本家(株主)悪玉論ですけれど、こういう考え方は太古の昔からある考え方で、やはり庶民には根強い人気があります。
ひとことでいえば、労働者である大多数の国民は、大企業のオーナーである株主、つまり資本家に搾取されているのだから、そういう資本家は懲らしめてやれば、マジョリティーである労働者は救われるというものです。
藤末議員は、選挙戦略としてそういったマジョリティーに受けようと思ったのでしょう。
政治家というのは選挙に負けたら「ただの人」なので、目先の票の最大化のためにがんばるのは当然で、何も悪いことではありません。
しかし、このような考え方が好きな層というのは、そもそも株式会社が何かということも知らない人たちではないでしょうか?
そういう人たちに藤末議員がコーポレート・ガバナンスの規制案を話したとしても、だれも興味がないというのが実際のところです。
また、専門家にこんなことを話せば「(゜Д゜)ハァ? 日本の株主がどれだけ損させられてるのか知ってるのか?」といわれておしまいです。
それに「そんなに株主が労働者を搾取していると思うなら従業員持ち株会でもつくって自分で自分の会社の株を買ったり、ネット証券で他の会社の株を買えばいいじゃん」でやはりおしまいです。
今時、誰でも資本家になれるのです。
ということで藤末議員の株主悪玉論もマーケティング的には失敗していることがわかります。
つまり、そういう考えが好きそうなマス層には理解されないし、逆、そういうことが理解できる専門家からは馬鹿にされるというわけです。
僕としては勝間さんや藤巻さんがターゲットにしているようなマス層で「金融政策」や「コーポレートガバナンス」が普通の話題になることを期待します。
もし、日本人の教育レベルがそこsaXwGeNV
勝間さんのリフレ派論客としてのセンセーショナルなデビューと、藤末議員の資本家悪玉論にもとづく規制案です。
最初にいっておくと、僕は勝間さんにも藤末さんにも、個人的にはまったく悪感情をもっておりません。
特に勝間さんに関しては、つい最近まで一介の冴えない外資系サラリーマンだったのが、自己啓発の女王としてあれよあれよという間にスターダムにのし上がり、日本社会にカツマー旋風を引き起こしました、勝間さんのマーケターとしての実力は大いに尊敬しています。
同じく一介の外資系サラリーマンである僕は、勝間さんの軌跡は畏怖の念をもってみつめてきました。
今の勝間さんは、もはや世界的なセレブリティーの仲間入りをしたスターであり、数百万人ともいわれるカツマーの教祖でもあり、日本を代表するグールーです。
勝間さんの出すビジネス書は出せば必ずベストセラーになり、この数年間はビジネス書のヒット・チャートは勝間本で埋め尽くされたといっても過言ではありません。
今では、書店に足を運べば、いつでも勝間さんの100万ドルの笑顔をみることができます。
また、僕は日本はもっと女性が政治の世界で活躍するべきだという自論を持っているので、勝間さんのような方が政治家になったら日本はもっとよくなるのではないかと思っております。
ただし、その場合は、少子化対策とか働き方の多様化とかに取り組んでもらいたいので、どちらかというと金融政策やマクロ経済政策は他の専門家に任せたほうがいいのではないかと思います。
さて、数年間続いてきたカツマー旋風ですが、勝間さんも次のステージを考えていかなければいけない時期にきました。
というのも勝間本を熱心に読み実践したカツマー達が、どういうわけか誰も成功しないし、誰も年収が10倍
むしろカツマー達を取り巻く状況は、この数年間、何も好転しないどころかむしろ悪化しているとさえいえる状況の中で、勝間さんだけがどんどんお金持ちになり勝間さんだけがどんどん名声を獲得していくという構図がはっきりとしてきました。
そこで勝間さんが注目したのがリフレ理論ではないかと僕は思っています。
勝間さんはマスマーケティングを得意としています。
20代から40代ぐらいの数千万人の大きな層をターゲットにしています。
これだけ大きな母集団に売れる本を書こうと思うと、やはりどうしても専門的な内容はさけてかなり平易な一般論を書かざるを得なくなってきます。
この辺は作家のジレンマでもあるのです。
専門家がみてもハッとするような面白い本を、多くの一般的な読者層に売るのはかなりむずかしいのです。
(僕が思ういい本は、誰が読んでも面白いのだけれど、専門化が読んでもハッとする部分がある本です)
さて、前置きは長くなりましたが、20代から40代ぐらいのサラリーマンが勝間さんの本をたくさん読んでも、なぜ生活が一向によくならないのかという問いに対して、勝間さんが「私の本を読んだくらいで成功するなら、人生誰も苦労しないよ」などと本当のことをいうわけにはいきません。
そこで、出てきたのがわかりやすいスケープゴートを作り出すという方法ではないでしょうか?
「あなた達が不幸なのは、老人がお金を独占しているからです。そして、たくさん票を持っている老人と結託して老人のお金の独占を強めようとしているのがデフレ政策を強力に進める日銀なのです。日銀を叩きのめせばあなた達は幸せになります」
というロジックが作られたのではないでしょうか
そして人為的インフレによって老人の資産を減らして、それを自分の読者層にばら撒こうとしたのです。
これがリフレ政策です。
発想としては老人からお金を奪い取ってみんなで使うというもので最近流行のオレオレ詐欺と同じものですが、こういうお金をたくさん溜め込んでいる奴からお金を毟り取るという考えは一部の庶民に常に根強い人気があるので、マスマーケティングとしてはそれなりにいい面もあるかと思います。
しかし、リフレ理論を選択したのは、勝間さんにはめずらしくマーケティングの誤りであったのではないかというのが僕の考えです。
というのもリフレ理論を大まかに理解するためには、少なくとも中央銀行の役割、マネタリーベースとマネーストックの関係(信用創造)、貨幣数量理論などが分からなくてはいけません。
これはカツマーには無理というものです。
また、このようなことがわかるとマスが対象の勝間さんの本はあまり読まなくなるので、カツマーではなくなってしまうという自己矛盾がおこります。
それに金融・経済にある程度くわしい人は、リフレ理論なんて聞いても、あの昔さんざん議論されていろいろ実験したけどぜんぜんダメだったやつがなぜ今さら出てきたんだろうぐらいにしか思いません。
ということで勝間さんのリフレ理論はカツマーには理解できなくて受けないし、専門化にも受けないということで、マーケティング的には失敗だったといわざるを得ないのでしょうか?
さすがの勝間さんでも「金融政策」のような専門的な話題を一般人に受けるように話すのは不可能ではないでしょうか。
次に、藤末議員の資本家(株主)悪玉論ですけれど、こういう考え方は太古の昔からある考え方で、やはり庶民には根強い人気があります。
ひとことでいえば、労働者である大多数の国民は、大企業のオーナーである株主、つまり資本家に搾取されているのだから、そういう資本家は懲らしめてやれば、マジョリティーである労働者は救われるというものです。
藤末議員は、選挙戦略としてそういったマジョリティーに受けようと思ったのでしょう。
政治家というのは選挙に負けたら「ただの人」なので、目先の票の最大化のためにがんばるのは当然で、何も悪いことではありません。
しかし、このような考え方が好きな層というのは、そもそも株式会社が何かということも知らない人たちではないでしょうか?
そういう人たちに藤末議員がコーポレート・ガバナンスの規制案を話したとしても、だれも興味がないというのが実際のところです。
また、専門家にこんなことを話せば「(゜Д゜)ハァ? 日本の株主がどれだけ損させられてるのか知ってるのか?」といわれておしまいです。
それに「そんなに株主が労働者を搾取していると思うなら従業員持ち株会でもつくって自分で自分の会社の株を買ったり、ネット証券で他の会社の株を買えばいいじゃん」でやはりおしまいです。
今時、誰でも資本家になれるのです。
ということで藤末議員の株主悪玉論もマーケティング的には失敗していることがわかります。
つまり、そういう考えが好きそうなマス層には理解されないし、逆、そういうことが理解できる専門家からは馬鹿にされるというわけです。
僕としては勝間さんや藤巻さんがターゲットにしているようなマス層で「金融政策」や「コーポレートガバナンス」が普通の話題になることを期待します。
もし、日本人の教育レベルがそこsaXwGeNV
トラックバックURL
この記事へのコメント
1. Posted by ゴンザレス 2010年01月09日 14:19
藤巻?……巻?………まさかな。
2. Posted by ももも 2010年01月09日 14:26
藤巻じゃなくて藤末だろ、カズキ!
でもホント、金融政策や株式会社の仕組みを普通の人が話せるようになればいいよね、たぶん難しいけどさ。
それが難しいから、政治家じゃなくてよくわかってる専門家が大衆の感情的言い分を無視して本当に国のためになる政策を立案実行できる仕組みが必要だとおもうな。
でもホント、金融政策や株式会社の仕組みを普通の人が話せるようになればいいよね、たぶん難しいけどさ。
それが難しいから、政治家じゃなくてよくわかってる専門家が大衆の感情的言い分を無視して本当に国のためになる政策を立案実行できる仕組みが必要だとおもうな。
3. Posted by are? 2010年01月09日 14:32
記事最後まで読めたのに突然文末がポシャってる。なんでだろう。最後のジョークは是非みんなが見るべきだったのに。