【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)の行政府・欧州委員会は7日、EU独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」の運用を2014年初めに開始すると発表した。資金難から計画が遅れていたガリレオが実用化に向けて動き出し、米国の全地球測位システム(GPS)の独占状態が続いてきた衛星利用測位ビジネスに、EUが参入する環境が整った。
衛星は12年10月から順次打ち上げられ、最終的には最多で32基になる見通し。14年初めに災害・事故時の捜索・救助や各国政府向けのサービスを開始し、同年から商業サービスの試験運用を始める。
ガリレオは米国のGPSに対抗して立案されたが、04年にEUと米国は両システムの共存で合意した。軍事利用優先のGPSに対してガリレオは民生利用が主体だが、GPSに比べ精度の向上が予定されているため、軍事的な利用も可能になるとの見方が有力だ。
ガリレオは当初、08年にサービス開始の予定だったが、資金繰りやEU加盟国間の開発に対する温度差などが原因で頓挫の危機に直面し、計画が大幅に遅れた。
毎日新聞 2010年1月8日 20時10分(最終更新 1月8日 20時13分)