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きょうのコラム「時鐘」 2010年1月9日
近年の大相撲は、土俵の外の方が耳目を集める。今度は、貴乃花親方が協会理事選挙に出るために、一門離脱を決めたという
詳しい事情は知るよしもないが、国技の伝統が時代の波に揺れていることは分かる。番付上位に外国人が並ぶ「国際化」という大きな荷物を背負ってもいる。いつになったら日本人横綱が生まれるのだろう 弟子の育て方に問題がある、と聞いたことがある。かつて「見習い」制度があった。有望な少年を部屋に引き取り、近くの中学や高校に通わせながら、体作りからじっくりと指導する。そうして多くの横綱や名力士が生まれた よその競技では珍しくない英才教育である。お尻丸出しを嫌って、肝心の相撲少年が減っている。それなら、相撲パンツを普及させればいい。その旗振りをし、少年たちを土俵に上げる熱意よりも、大卒力士をスカウトする促成栽培に走っているように映る 「見習い募集」という張り紙を、見掛けない時代になった。師の背中を一心に見て習うことから、物事の会得が始まる。そんな伝統のきずなは、相撲界からも薄れようとしているのだろうか。 |