「普段と変わらない」「いらだっている」。小沢氏の心境を解説する声は、さまざまだ=7日午後、東京都港区 [ 拡大 ]
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入疑惑で、東京地検特捜部は8日までに、当時の会計責任者だった小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(48)=公判中=を、政治資金規正法違反罪で立件する方針を固めた。事務担当だった石川知裕衆院議員(36)による政治資金収支報告書への不記載を、了承していた疑いが強いと判断した。
大久保被告は事情聴取に、小沢氏の指示で土地を探したことを認めたとされる。特捜部は近く小沢氏を任意聴取した上で、早ければ来週にも、大久保被告や石川氏を立件する方針。
事件の捜査は最終局面を迎えた形にみえるが、司法関係者の中には「特捜部は昨年の西松事件以降、小沢氏関連の金脈を徹底的に調べ続けており、新たな疑惑もつかんでいる」という見方もあり、予断を許さない。
関係者によると、陸山会は2004年10月に東京都世田谷区の土地を購入したのに、05年の報告書に代金を計上した。購入直前には、小沢氏から借り入れたとされる約4億円が入金されたが、この収入は報告書への記載がなかった。
大久保被告は当時、小沢事務所で石川氏の上司として経理事務を統括する立場で、この経理処理については、事務担当だった石川氏が上司にあたる大久保被告に報告し、了承を得た上で実行したという。
この4億円は04年10月上旬、小沢氏から石川氏に「用意ができたから取りに来てほしい」と指示があり、石川氏が東京都港区にある小沢氏の事務所を訪れ、現金で受領。台車を使って車に載せ、同区内の陸山会の事務所まで運び、事務所内の金庫に保管したという。ちなみに、すべて1万円札だとすると、4億円の重さは約40キロで、小柄な女性並みだ。
さらに、07年、大久保被告が東京都世田谷区の小沢氏宅に現金4億円を持っていくよう元私設秘書に指示していたことも判明。この資金移動も収支報告書に記載されていないため、特捜部は元私設秘書を政治資金規正法違反罪で在宅で処分する方針で、大久保氏の立件も視野に入れている。
大久保被告は西松建設の違法献金事件で03−06年の収支報告書に虚偽記載したなどとして規正法違反罪で起訴されている。このため、04年分の経理処理について新たに立件する場合は、特捜部は公判中の東京地裁に訴因変更手続きを取り、07年分について立件する場合は追起訴される公算が大きい。