鳥取県の県立高校が、当時在学していた2年生の女子生徒の通帳とキャッシュカードを半年間預かり、振り込まれたアルバイト代を引き出して、教材や修学旅行などの費用にする「学校徴収金」に充てていたことが分かった。徴収金の滞納が続いたため、学校側が保護者に提案していた。同校の校長は「不用意だった」と釈明。女子生徒はその後退学している。
元生徒の父母や学校側の説明によると、元生徒は両親ときょうだい4人の7人暮らし。主に父親が夜間警備の仕事で得る毎月約11万円で生活しているという。
元生徒は2007年4月に高校に入学。授業料や徴収金の滞納が続いたため、学校側は原則禁止しているアルバイトを勧め、元生徒は08年3月からコンビニで働き始めた。その後に授業料は減免されたが、学校徴収金は最高で約8万円余り滞納していた。
学校側は08年9月、元生徒や父母に対し、元生徒のアルバイト代が振り込まれる郵便局の通帳とキャッシュカードを預かることを提案。母親が学校側に渡した。08年9月以降数回、元生徒が担任教諭と一緒に郵便局に出向くなどしてアルバイト代を引き出し、計約7万円余りを学校側に支払った。暗証番号は聞かなかったため、元生徒を同伴する必要があったという。
女子生徒は学校に通うのが苦痛になったとして、09年2月末に退学。学校側は退学後に通帳などを返した。
同校の校長は朝日新聞の取材に対し、「電話や家庭訪問などで保護者に支払いを繰り返し働きかけたが応じてもらえず、通帳とキャッシュカードを預かることを選択肢の一つとして提案した」と説明。通帳などを預かった点については、「結果として不用意だった」と話した。(倉富竜太、佐藤建仁、中村瞬)