こどもアサヒ

日記 今年は続けられるかな
専門家に聞いたよ 三日坊主にならないコツ


 「今年こそ日記を続けよう」。そう決めたみなさんの中には、これまで三日坊主で終わってしまった人もいるでしょう。日記を続けるのはなかなか大変なもの。楽しく、長く日記を続けるコツなどについて、子ども向けの本を出している早稲田大学人間科学部准教授の向後千春さんに教えてもらいました。

だれかに見てもらおう
やる気が出て文章も上達

イラスト・たなかさゆり

 「日記を続けるには、書いたものをお父さんやお母さん、先生など、だれかに見てもらうのが一番。読んでくれる人がいると、長続きしやすいのです」と向後さんは言います。

日記というと、思ったことをひそかに書くというイメージがありますが、「自分だけしか見ないと思うと、一日の反省文のようになったり、人の悪口を書いたりしてしまいがち。悪口や不満を書くと、後で読んだときに思い出していやな気分になるのでおすすめしません」と向後さん。人に見せるために書けば、読んでくれる人がいるからまた書こうという気になり、文章も上達するので一石二鳥(一つのことをして同時に二つの利益をあげること)だと言います。

向後さん自身も20歳のころからかかさず日記を書いています。その日にあったことや読んだ本のことなど簡単に書いていて、後から見直すと去年の同じ時期に何があったかや、以前どんな本を読んだかがわかり、便利だそうです。

自分の考え方の変化をたどることができるので、自分がどれくらい成長したのかを見て取ることもできるようになります。向後さんは「成長した自分を発見できると、もっと成長しようと思うようになり、目標を持って前向きに生きるようになります」と言います。

「必ず毎日」と気負わない
3行でいい、写真や絵もOK

 しかし、なかなか続かないのが問題です。日記を書き始めるときにありがちなのが、「絶対に毎日書く」などと気負ってしまうこと。書くというより日常を記録しようという軽い気持ちでやることが大切で、今日一日を元気に生きたしるしを書き留めるというような考え方でいいそうです。

たくさん書こうと思わないことも重要。寝る前に3行くらいでもいいから何か書けば大成功で、「今日は○○があった。△△と思った」などの簡単なものでもいいのです。

文章を書くのは苦手という人も日記を続けていれば書きなれてきて、文章を書くことがいやではなくなると言います。

書くのが面倒な人におすすめなのが、その日にあったことを写真にとってはっておいたり、絵にしておいたりすること。たとえば誕生日には、パーティーでの家族との写真やもらったプレゼントなどを一枚とっておいて、後日、日記にはれば終わりです。

日記帳を選ぶときのポイントもあります。もともと日付が入っているものは選ばないほうがいいそうです。日付が入っていると、書くのを忘れた日の分が白紙になり、やる気が失われてしまいがちだからです。日付を自分で書きこめるものだと、忘れた日があっても気にせずに日にちをつめて続けられるので大丈夫です。

薄い日記帳で1冊終えた満足感

 日記帳のページ数はなるべく少ないものにしましょう。一冊終わったという満足感が早く得られるので、また次に続けようという気がわいてきます。
向後さんは「10年後に読んでおもしろいと思えるように、未来の自分への贈り物として記録を残していきましょう」と話しています。

2010年1月8日掲載   

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