日本政府、韓国人徴用者の賃金供託書副本を提供へ

 「日本帝国強制占領下強制連行被害真相糾明委員会」は7日、「日本政府が今年3月、韓国出身の民間徴用者などの供託書の副本を韓国側に提供することを決定した」と発表した。今回提供される供託書の副本には、日本統治時代の強制動員が行われた期間に、日本企業が韓国出身の民間徴用者に支払わなければならなかった給与や手当などについての明細書が含まれているという。

 日本統治時代、日本企業は強制的に徴用された朝鮮人労働者に対し、賃金の一部だけを支給したり、すべての賃金を強制的に預金させたりするといった方法で、本来支給すべき賃金を支払わなかった。各企業は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指示により、支払わなかった賃金を法務省などに供託しており、徴用された労働者たちが未払い賃金を取り戻す道が開かれるはずだったが、日本政府はこの問題について「1965年の日韓基本条約により、無償で3億ドル(現在のレートで約280億円、以下同じ)、有償で2億ドル(約190億円)の借款を提供したことにより、すべての責任を果たした」という主張を貫いてきた。

 このため、韓国政府は強制的に徴用された韓国の民間人の賃金を、「支援金」という形で日本政府に代わって支払っており、真相糾明委員会を設置して、日本政府に対し供託書の副本だけでも提供するよう求めてきた。

 これに対し、日本政府は自民党政権下では拒絶してきたが、民主党を中心とする鳩山内閣の発足後、方針を転換し、供託書の副本を提供することを決めたという。なお、供託書の名簿には、現在の北朝鮮出身の民間人も約30%含まれているとされ、日本政府と協定を結んでいない北朝鮮が今後、日本政府に対し徴用者の未払い賃金を要求する可能性もある。

 今回、供託書の副本が提供されれば、強制的に徴用された10万人以上の元韓国人労働者たちが未払いの賃金を取り戻せる見通しだ。韓国政府は日本統治時代の徴用者に賃金を支払うため、2005年から被害の実態について情報の提供を求めてきた。08年6月までに真相糾明委員会へ寄せられた情報は22万件に上る。このうち、被害の事実を立証できる資料がない約10万8000件については、支援金の支給が遅れている。日本政府が提供する供託書の副本は、支援金を受け取っていない徴用者らが受けた被害の事実を立証する根拠になるとみられる。

 真相糾明委員会は供託書の副本を受け取った後、賃金の内訳について確認し、これまでと同じように、当時の1円を2000ウォン(約165円)に換算して、未払い賃金を支給する方針だ。同委員会は07年、韓国出身の旧軍人・軍属など11万人についての供託金の記録を日本政府から受け取り、被害の事実を確認して、支援金を支給してきた。だが、日本政府が軍人・軍属ではない一般労働者についての供託金に関する資料を提供するのは、今回が初めてとなる。

朴国煕(パク・ククヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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