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ふぐの食中毒に気をつけましょう!

(1)ふぐの食中毒ってどんなもの?

ふぐの中毒は、ふぐ毒のある部分を食べることによっておこる食中毒です。
ふぐ毒はテトロドトキシンと言い、神経と筋肉に作用して身体の麻痺を起こします。(専門的にはナトリウムチャンネルブロッカーと言います。)
 テトロドトキシンは、熱に強く、酸にも強いため、普通の調理ぐらいでは分解されません。水にはあまり溶けない(微酸性の水にはやや溶けやすい)ため、水さらししても無毒化することは出来ません。

毒の量や体調にもよりますが、食べて20分〜8時間ほどで発症します。
 最初は、唇や舌や指などのしびれから始まり、手足が動かなくなってきて、頭痛がおこります(嘔吐する場合もあります)。次第に感覚が麻痺してきて、皮膚感覚、味覚、聴覚などが鈍くなり、運動麻痺が起こって、酔ったようなちどり足から、やがて座っていられなくなり倒れてしまいます。さらに進行すると、全身の筋肉がだらんとなって指も動かせなくなり、言語障害がおこります。さらに進行すると、呼吸中枢まで麻痺し、血圧が低下し、呼吸困難となってチアノーゼを起こし、呼吸が停止します。
 経過が早いため、発症から1時間半程度で死亡した例がありますが、発症後8時間以上たてば回復に向かうと言われています。

治療はできるの?

今のところ、確実な治療方法はありません。体内に入ったテトロドトキシンはやがて対外へ排泄されるので、それまでの間、人工呼吸器で呼吸を行う対処療法が行われます。また、胃に残っている残留物を出す胃洗浄や、利尿を促すことも行われます。もしふぐ中毒を疑ったら、一刻も早く医師に連絡して、適切な治療をうける必要があります。
 回復した後は、後遺症が残るようなことはありません。しかし、免疫はできないため、ふぐ毒を食べれば何度でも中毒になります。

(2)ふぐのどこに毒があるの?食べてもいい部分は?

すべてのふぐが毒を持っているわけではありません。ふぐの種類は、日本付近にいるものだけでも20種類ほどあり、世界中では100種類以上もあります。ふぐの毒は、毒を産生する細菌やプランクトンを食べることによるもので、ふぐ以外にも、ふぐ毒を持っている生き物がいます。
 日本産のふぐでも、皮に毒があるもの、肉に毒があるもの、内臓に毒があるもの、毒のないものがいます。同じ種類のふぐであっても、産地によって毒を持つものと持たないものがあります。日本産のふぐは、「食べてはいけない部分」と「食べても良い部分」が国によって決められています。

ふぐの種類と食べてよい部位は、以下の表のとおりです。○印が食べてもよい部位(可食部位)です。皮に毒のあるふぐは、筋肉に毒が移行しないように適切に処理をしなければいけません。
 なお、全てのふぐにおいて、「内臓(肝を含む)」と「卵巣(まこ)」は食べることはできません。(特別な処理によって毒力が10MU/g以下となったものを除く。)また、まれに雌雄同体の両性ふぐがいますが、そういうふぐは卵巣と精巣が混じっているのでどちらも食べることは出来ません。

科名
種類(種名)
部位
筋肉
精巣(しらこ)
フグ科 クサフグ
コモンフグ
ヒガンフグ
ショウサイフグ
マフグ
メフグ
アカメフグ
トラフグ
カラス
シマフグ
ゴマフグ
カナフグ
シロサバフグ
クロサバフグ
ヨリトフグ
サンサイフグ
ハリセンボン科 イシガキフグ
ハリセンボン
ヒトヅラハリセンボン
ネズミフグ
ハコフグ科 ハコフグ
ナシフグ → 下の別表のとおり

ナシフグについて

ナシフグについては、漁獲される海域によって可食部位が違います。

科名
種類(種名)
可食部位
フグ科 ナシフグ:
有明海、橘湾、香川県及び岡山県の瀬戸内海域で漁獲されたものに限る
筋肉
(骨を含む)
ナシフグ:
有明海、橘湾で漁獲され長崎県が定める要領に基づき処理されたものに限る
精巣

ふぐ以外でふぐ毒を持つ生き物もいます

必ずしも有毒化しているとは限りませんが、産地によって有毒化が知られているものには、ボウシュウボラ、スベスベマンジュウガニ、ヒョウモンダコ、ツムギハゼ、カリフォルニアヤモリ、バイ、ヒトデ、カブトガニ(タイ産)などがあります。

(3)ふぐに当たる人と当たらない人がいる?

日本産ふぐの『肝』や『卵巣』は、毒があるため食べてはいけないのですが、中にはわざわざ『肝』を注文し、「俺は食べても当たらないんだ」「ちょっとしびれるぐらいが美味いんだ」などとうそぶく人がいます。
 こういった人はどうして中毒にならなかったのでしょうか?

トラフグは一般的なふぐの一種ですが、全ての肝や卵巣が強い毒を持っているわけではありません。毒の強さには個体差が大きく、また季節的な違いもあることがわかっています。
 ふぐの毒の強さ=毒力の単位は、MU/g(マウスユニット/グラム)で表されます。1MU(マウスユニット)とは、体重20グラムのマウスを30分で死亡させる毒量のことです。
 ふぐの毒性は、〔毒力〕×〔臓器の量〕の合計で決まります。ふぐの毒性の目安は以下の通りです。

10MU未満 無毒 1kg以下なら食べても致死量にならない。
10以上〜100MU未満 弱毒 100g〜1kgで致死量となる。
100以上〜1,000MU未満 強毒 10g〜100gで致死量となる。
1,000MU以上 猛毒 10g以下でも致死量となる。

つまり、無毒のふぐの肝なら1キログラム食べても致死量にならないですが、猛毒のふぐの肝ならほんの一切れ(10グラム以下)でも致死量になります。また、弱毒のものであっても、食べた量が多ければ致死量になってしまいます。

どのふぐが猛毒で、どのふぐが無毒か見分けることは出来ないのでしょうか? クサフグのように猛毒の個体が多い種類もありますが、トラフグではそれほど多くはありません。
 天然のトラフグのうち、有毒な個体は30〜40%ぐらいだといわれています。有毒な個体ののうち、約半分が弱毒、残り約半分が強毒で、猛毒のものはほんの数パーセントだと言われています。同じ海域で同じように生活しているのに、猛毒のものと無毒のものがいるのは不思議なことですが、その理由ははっきりわかっていません。
 季節的には12月〜4月にかけて、強毒のふぐの割合が増えることがわかっています。また産卵期直前の4〜6月頃には、特に卵巣や肝が大きくなるため、中毒事故の危険が高くなると言われています。

肝に毒があるのかないのか、猛毒なのか弱毒なのかは、外見では全く区別がつきません。新鮮だから無毒ということはないし、大きいふぐだから無毒ということもありません。つまり、肝を食べて中毒にならなかったということは、偶然に毒のない肝を食べた、というだけなのです。
 「前回当たらなかったから、次回も大丈夫」「ほんの1〜2枚だから大丈夫」などということは絶対ありません。
 弱毒の肝ならば数日の入院程度で済むかもしれませんが、猛毒の肝に当たればほんの一切れ口にしただけで、致死量の毒物を飲んだのと同じことです。命が助かったとしても、人工呼吸器や集中治療室を使用した治療費は高額になります。本人だけでなく、残された家族の負担も大きく、精神的にも周囲の人間関係にも深刻な影響を与えることになります。
 ふぐの肝を提供した店にとっても、患者さんの治療費を負担するのはもちろんのこと、万が一死亡するようなことがあれば、莫大な賠償金と精神的な負担を背負い込むことになります。実際に、最初は内密に処理していたが、患者と店で治療費をめぐるトラブルに発展したあげく、事件として保健所に持ち込まれたケースもあります。

「肝を提供すること」も「肝を食べること」も法に違反した行為であり、店側も患者側もともに過失を問われることになります。
  ふぐ専門店では、安全な部位を使った「てっさ」や「てっちり」などを楽しみ、決して肝など有毒部位を頼まないようにしましょう。営業者の方も、頼まれたとしても決して提供しないようにしましょう。

(4)堺市でもふぐの食中毒は起こっているの?

堺市内でもふぐの食中毒は起こったことがあります。近年では、平成4年、7年、11年にふぐによる食中毒が起こっています。堺市内ではふぐの食中毒で亡くなった人はいません。(平成19年3月1日現在)
 日本全国では、昭和30年から平成17年までの51年間、ふぐによる食中毒が絶えたことはありません。死者が発生しなかったのは平成12年のみで、それ以外の50年間、毎年誰かがふぐによる食中毒で亡くなっています。

堺市内で起こったふぐによる食中毒の実例です。

ふぐ料理の店や、魚介類販売業による食中毒以外にも、家庭におけるふぐ食中毒が増えています。自分で釣ってきたふぐを自宅で料理し、なべや味噌汁などに内臓を入れて食べて中毒する事例で、死者が発生している事例もあります。
 上の事例でもあるように、善意でもらったふぐであっても、命に関わることになれば、善意が仇となり人間関係まで壊れてしまいます。
 魚種のわからないふぐは、その毒性もわかりません。内臓に毒のあるふぐもあれば、皮や肉に毒のあるふぐもあります。
 釣りを趣味でする人や、魚をもらったりする人も、魚種のわからないふぐは人にあげない・自家料理しないよう気をつけましょう。

(5)取り締まる法律はあるの?

ふぐを取り締まる法律には、国の法律と地域の条例があります。おおまかに、一般向けのものと、ふぐを扱う営業者向けのものがあります。
 ふぐの中毒は生命の危険が高いため、その取扱いが厳しく決められている一方で、種類や産地によって毒性や処理方法などが違うため、国の通達や各地の条例等で、地域ごとに細かに定められています。
 堺市では、大阪府の『大阪府ふぐ販売営業等の規制に関する条例』が適用されています。

食品衛生法第6条

食品衛生法では、有毒な物質が含まれるもの(及びその疑いがあるもの)の製造・調理・加工・販売などが禁止されています。
 ふぐの内臓(肝や卵巣をふくむ)や、可食部位以外の部分は、すべて食品衛生法第6条第2項の『有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの』に該当します。(ただし、個別に検査して無毒が確認されているか、通達で定められた特殊な処理を行ったものは除きます)
 飲食店でふぐの肝を提供したり、魚屋さんが肝のついた丸ふぐを一般の人に販売したりするのは、この条文の違反にあたります。
 違反すると、食品衛生法第56条により、営業停止などの処分が行われます。

厚生労働省(旧厚生省)通達「ふぐの衛生確保について」

昭和58年12月1日付環乳第59号(最終改正:平成12年12月19日)
 ふぐの食中毒を防ぐために、詳細を定めたものです。
 ふぐの種類による可食部位の一覧表、ナシフグの扱い、長期間塩蔵処理した卵巣等の扱い、ふぐ処理に当たっての注意事項、加工品の表示項目、標準和名、輸入の有毒ふぐ(ドクサバフグ、コモンダマシなど)の排除、などについて定めています。

大阪府ふぐ販売営業等の規制に関する条例

大阪府内でふぐを販売する時には、『ふぐ販売営業』の許可が必要です。ふぐ販売営業には2種類ありますが、いずれも『ふぐ取扱い登録者』を店に1人以上おいておく必要があります。ふぐ販売営業の許可をとるには、その施設が『飲食店営業』か『魚介類販売業』の許可をうけていることが必要です。
 丸フグ(内臓の入っている丸のままのふぐ)を扱うためには、専用のふぐ処理場を設置し、鍵付容器など施設基準を満たした『ふぐ販売業(処理あり)』の許可が必要です。いけすでふぐを泳がせる場合もこの許可が必要です。有毒部位については専門の業者に引き取ってもらう等、処理方法も決めないといけません。
 パック済みのふぐセットなど、中抜き加工済みのふぐ(有毒部位の無いもの)だけを仕入れて販売するには、『ふぐ販売業(処理無し)』を取ればよく、特別の設備は必要ありません。
 また丸ふぐを販売する営業者は、処理場を備え、かつ、ふぐ取扱い登録者がいる施設にしか販売してはいけないことになっています。
 『ふぐ取扱い登録者』になれるのは、大阪府が毎年開催するふぐ処理講習会を受講し、府知事の登録を受けた者です。また、他の都道府県等で同様のふぐ免許や講習会を終了した者も、同等の資格として認められることがあります。

堺市ではどんなことをしているの?

毎年ふぐの消費の多くなるシーズンには、堺市内のふぐ販売営業の許可施設の集中監視を行っています。
 処理場が無いのに丸ふぐを泳がせていないか、処理場がきちんと使える状態になっているか、適切な処理をしているか、許可証は店内に掲示してあるか、ふぐ取扱い登録者が変更していないか、などを確認し注意を促しています。
 集中監視の結果については、食品衛生課のホームページの、集中監視の結果のページで公表していますので、ご覧下さい。

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