2009-10-10 今日、熱田神宮の神様が御動座されます 
平成19年8月9日付の記事「熱田神宮 緑陰教室」で詳しく書かせて頂いたように、私は今から7年前(神職養成機関の1学年に在学していた当時の夏休み期間中)、名古屋市熱田区に鎮座する熱田神宮で、3週間実習をさせて頂いた事があり、また、平成20年2月27日付の記事「伊勢参宮旅行(前編)」で詳しく書かせて頂いたように、今から2年弱前には、伊勢の神宮にお参りに行く途中で熱田神宮に立ち寄り、実習の時以来、5年半ぶりに同神宮をお参りさせて頂きました。
熱田神宮は、よく知られているように、皇位継承の御璽(みしるし)である「三種の神器」の一つ、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を御神体として祀るお宮として、古くから皇室・武家・庶民などから篤い崇敬を受けてきた、大変尊いお宮です。草難神剣は、素戔男尊(すさのをのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した時にその大蛇の尾から出てきたと云われる太刀で、素戔男尊から天照大御神(あまてらすおおみかみ)に奉献された後、天孫降臨の折に皇室へと伝えられ、伊勢の斎宮・倭姫命(やまとひめのみこと)から日本武尊(やまとたけるのみこと)に授けられ、景行43年(西暦113年)、熱田の地に奉斎されたと伝えられています。なお、同神宮主祭神の「熱田大神」とは、草薙神剣を御霊代として憑らせられる天照大御神の事です。
そういった格別な由緒から、熱田神宮は、延喜の制では名神大社(式内社のうち特に霊験の著しい神様をお祀りしているとされた神社)に列せられ、平安時代末期以降は尾張国を中心に広大な社領・荘園を有するようになり、中世にはその社領は一万石にも達し、また、足利・織田・豊臣・徳川の諸氏からも篤い崇敬を受け、社殿の修造が行われるなどしました。
上の写真は、昨年2月に熱田神宮を参拝した際に撮影した、同神宮本宮の拝殿(外玉垣御門)です。通常、ここから奥(御垣内)に参入する事はできませんが、大変有り難い事に、私は同神宮で実習をした際、清掃奉仕のため、御垣内のかなり奥深い所まで参入させて頂く事ができました。体感温度35℃を超える酷暑の日に、白衣・白袴姿で清掃したのですが、高い気温と直射日光のため竹ボウキの柄が火で焙った鉄棒のように熱を持ち、ホウキを握っていた指の皮が剥がれそうになるなど、それなりに大変な清掃奉仕ではありましたが(笑)、しかし今振り返ると、恐らくもう経験する事はできない、とても貴重な思い出です。
上の写真2枚も昨年2月に撮影したもので、上段の写真は本宮拝殿脇の「向かって左」から、下段の写真は「向かって右」から、それぞれ御垣内の内側を望んだ写真です。鳥居の奥に内玉垣御門、その奥に瑞垣御門、そして一番奥に本殿が鎮まっており、本殿の左右には東宝殿と西宝殿が建てられています。これら一連の御社殿は、かつては熱田神宮独自の「尾張造」と称される建築様式でしたが、明治26年の修造で伊勢の神宮とほぼ同様の「神明造」に改められ、規模も伊勢の神宮とほぼ同様になりました。
その熱田神宮では、平成25年に創祀千九百年という節目の年を迎えるため、平成19年10月から、記念造営事業として本宮諸建物改修並びに大屋根葺替工事、神楽殿・授与所等の改築工事を進めていたのですが、先日それらの工事が完了し、御造営が完遂した事を受け、同神宮では今日の午後8時から、勅使(天皇陛下のお使い)をお迎えして、仮殿に奉安されていた神様を本殿にお遷しする重儀「本殿遷座祭」を斎行します。
同神宮での本殿遷座祭は、戦災による復興が完遂した昭和30年11月の遷座以来54年ぶりの事で、今夜の遷座祭の後、明日は午前10時から臨時奉幣祭が斎行され、その後、18日までの1週間は、神様の本殿遷座を祝して連日、同神宮境内で各種奉祝奉納行事が執り行われます。
また、熱田神宮はその由緒から伊勢の神宮に次ぐ尊貴なお宮でもあるため、神社本庁は、先例(昭和30年の熱田神宮遷座)に倣って今回も遙拝式を執行するよう、全国の神社に対して通知を出しており(祭務発第44号、平成21年5月20日付、神社本庁総長名、都道府県神社庁長宛)、そのため今日は午後8時から、全国の主要な神社で一斉に「熱田神宮本殿遷座祭当日遙拝式」が執行されます。
熱田神宮を崇敬されている方は、家庭でお祀りしている神棚を通して(もしくは熱田神宮の方角を向いて)、今日の午後8時、御自分の家から熱田神宮を遙拝されてみてはいかがでしょうか。その際の遙拝詞(熱田神宮の神様に対して唱え奉る言葉)例文は『掛けまくも畏き 熱田神宮の 遷座祭斎行はるるに依りて 大前を遙に拝奉らくと白す』で、その読み方は、『かけまくもかしこき あつたじんぐうの みやうつしのみまつりいわいおこなわるるによりて おおまえをはるかにおろがみまつらくともうす』です。
(田頭)
ただ、熱田神宮さんのご遷座のせいで世の中が乱れそうだって噂は聞いてました。だから民主党政権なのかな・・・(笑)神社さんの占いって、お社によっては、怖いほど当たるからなぁ・・・
ところで写真をパッと見てて気になったのが、拝殿の屋根。随分と茶色く変色しちゃってますね。酸性雨のせいかな・・・以前はもっときれいな緑青色だったのに。葺き替えされるのかな?今は、諏訪大社の秋宮と春宮が銅板葺き屋根から、桧皮葺屋根に変えるみたいです。現在工事中です。屋根の素材って色々と大変ですよね。
こんにちは。
そのミニチュア神棚型のお守り、7年前に熱田神宮で実習していた当時、私も同神宮の授与所で受けてきました。
ちなみに、西野神社にもそれと同型のお守りがあります(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/20050520
御遷座のせいで世の中が乱れそうだという噂は初めて聞きました。
しかし、正遷座(本殿への還御)は神社にとってはお目出度い事であり、また神様も、仮殿から本来の御社殿にお戻りになられた事でこれからは益々御神威を発揚されるでしょうから、今後は日本も少しは良い方向に向っていくのではないかと思います。
屋根の葺き替えは大変なようです。
特に檜皮葺きの場合は、莫大なお金がかかるのは勿論の事、その材料となる木材や、肝心の職人さんの数自体が激減しているため、各お宮ではその確保に苦労されているようです。
ヾ(;´▽`Aアセアセ
ところで、屋根の話なんですけど、北海道の神社さんはなぜ神明造りの屋根が多いんですか?やっぱり雪のせい?それとも北海道では社寺を作る宮大工さんが少なくて、神明造りしか知らないとか?北海道は新しいお宮さんが多いんだし、それなら、それこそ本宮の神社さんに似せて作っても良さそうなものですけど。友達のブログを見てても諏訪神社でも、厳島神社でも、日枝神社でも・・・なんだか皆一緒の建物だから少し面白みがないなぁーって(笑)
遷座の件ですが、仮にそうであったとしても、先のコメントで述べたように熱田神宮の神様は既に本殿へと戻られたのですから、今後の事については特に心配は必要ないかと思います。
伊勢の神宮の遷宮が終わるまで、もしくは熱田神宮の神様が仮殿に奉安されている間、世の中は安定しないかもしれないという考え方は、神様に対しての人々の篤い崇敬心からくる思いなので、私としては決して否定はしませんが、しかし私は、本殿に鎮まっておられようと仮殿に鎮まっておられようと、基本的に神様の御神威は常に広大無辺なものであると解しています。あくまでも私の個人的な解釈ですが…。
屋根の件ですが、実は私も、keinohearさん同様「北海道の神社は何だか皆一緒の形だから少し面白みがないなぁ」と以前からずっと思っていました(笑)。
しかし、北海道は全国各地から入植した人々により開拓された歴史を持っているので、「北海道の人は神明造しか知らなかったから、神社の屋根もほとんど神明造になった」という事はまずないでしょう。
確かに、私も道内では春日造、大社造、権現造などの神社建築は見た事がないですし、八幡宮を名乗っていても八幡造の構造を採用している神社もほとんどありません。
では、道内の神社はなぜ神明造ばかりなのかというと、それはkeinohearさんも書かれていたように、最大の理由は“雪対策”です。
冬季の積雪のため、屋根に谷ができるような形状や、正面(参拝者がお参りする場所)に雪が落ちるような構造は極力避けるようにしなければならず(ですから屋根に大きな谷ができる八幡造は北国ではまず採用できません)、また、雪が滑り落ちない事から檜皮も基本的には使えず(もし滑り落ちるとしたら雪と一緒に檜皮も滑り落ちてくる可能性があります)、雪により更に重量が増すため瓦も使えない事から、結果的に、道内の神社はトタン屋根もしくは銅板の屋根による神明造、という構造が多くなるのです。
ちなみに、道内の神社で社殿を造り替える場合、屋根の表面は大抵銅板が使われています。
屋根は、やっぱりそうでしたか…確かに八幡造りはOUTですよね。でも住吉造りとか大社造りは可能なような気もするけど…でも、拝殿は無理っぽいですよね。納得です。
(*゜ー゜)(*。_。)(*゜ー゜)(*。_。)ウンウン
ところで・・・
神様の件ですけど、こっちは、私は「広大無辺」とまでは思えないです。昔に比べて神様のご神威は、極端に弱められてしまっているような気がしてなりません。人間の勝手な都合で神社の境内は切り取られ、高いビルに囲まれて・・・小学校を造る、公園を造る、鉄道を通すからと言って、大半をばっさり切り取られた鎮守の森の気比神宮、真清田神社、海神社。皇居や国会議事堂を守る大切な役目があるのに、高いビルに囲まれて、さえぎられそうな日枝神社。参道の突き当たりに監視の大きな目を掲げられている大宮氷川神社。とり囲むように多くのキリスト教会が不自然に多い鎌倉の鶴岡八幡宮。これに参道を鉄道や道路に横切られたり、大きなマンションが見下ろすなんてことは、あちらこちらで見られます。戦後すぐのころは、焼け出された神社さんがあっても、直ぐに復興できたけど、現在は新潟地震にしろ、阪神淡路大震災にしろ、中々お金が集まらなくて、神社さんの再建がままならないとも聞きました。人々が神様を敬う心が無ければ、神様のご神威も落ちると思えます。考えたくなかったんですけど、それに大きな神様達が少し仮殿にいらっしゃる隙に、ついに、あの民主党政権すら許してしまったような気がしてならないんです。
御神威の件ですが、そこまで具体例をもって示されては、確かにそんな気もしてきます(笑)。
「御成敗式目」第一条の条文「神は人の敬により威を増し 人は神の徳によりて運を添ふ」は、私も好きな言葉です。
http://d.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/20060524