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唐沢俊一検証blog

2009-12-23

COLOR沢俊一。

11:00

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 今回は1984年7月に発行されたアニドウ同人誌『FILM1/24』第32号に掲載されている、唐沢俊一署名記事『TVアニメのいろいろについて』を紹介する。唐沢俊一26歳の時の文章である。


 リヒテルというピアノ弾きがいて、この人は飛行機の、あの銀ピカの塗料の色が気に食わないというただそれだけの理由で、決して飛行機には乗らないという。我々凡人はそうした話を聞いて、フーン芸術家てぇものは大したモンだねぇなどと思いながら、毎日山ノ手線や中央線のあのコテコテのペンキの色を別に気にもせずに乗っているわけだが、それでもいつだったか、都バスの色が余りにひどいと乗客から苦情が出て塗りかえたという話があったね。生活の中の色彩というものに対し、我々はもう少し神経質になってよいと思う。そうして、今、もっとも改革を必要としているもののひとつが、TVアニメの、あの色彩ではないだろうか。

 TVアニメを批評する場合、ストーリーや演出のことについてはそれこそ山のようにいろんな意見が開陳されており、論客たちが口に泡しているが、あの色使い、あるいは色そのものを批判している人というのはあまり見かけない。あれは見ている方ですでにアニメ塗料のあのアクリル絵の具の色に慣れてしまったせいなのだろうか、それとも文句をつけたってどうしようもないものなのさとあきらめちまっているのだろうか。

 というわけで、この文章は「アニメと色彩」をテーマにしているのであった。スヴァトスラフ・リヒテルは本当にそんな理由で飛行機嫌いなのか?とか、「口に泡する」じゃ泡を吹いて倒れているみたいだとか(「口角泡を飛ばす」だろうね)いろいろ気になるところはあるが、とりあえず3年前より格段にまともな文章を書けるようになっているのは喜ばしい。ときどき地が出ているのかガラが悪くなっちゃっているけど。

 小学校の絵の先生に聞いたら、今の子供達の色彩感覚は年々ひどくなっていくばかりだという。絵を描かせると「汚ない」(原文ママ)といって色を混ぜるということをしたがらず、チューブからしぼり出した色をそのまま使いたがる。そして、落ちついた地味な色はまず使おうとせず、もっぱら明るい派手な色ばかりを多用するのだそうだ。これはみんな、TVアニメの、あのセルに描いた絵の影響だとその先生は憤慨していた。何しろヤミ取り引きで一枚何千円という値がつく程のセル・ブームであります。子供達があらそってそれを買い求め、さらには自分達もそのようなタッチの絵を描こうとするのは当然かも知れない。本屋へ行くと、アニメ絵本などというものが並んでいる。これが一体何であるかというと、たださし絵にセル画が使ってあるだけのシロモノであって、アニメーションとは何の関係もない。いわゆるアニメっぽい絵のタッチ、さらに色彩、これを子供達が好むからこういうものが売られ、また親達も買っていくのであろう。世も末としか言いようがない。アクリル絵の具のあの非生物的な、情緒のない色感を見ていると、それが四季折々の風物の移り変わりに伴う自然の色彩の美しさを失ってしまった現代の象徴の色のように思えてくる。そしてさらに、その色使いの無神経さ、悪趣味さ!

 1984年に小学校低学年だった自分が断言するが、そんなことは全くなかった。図工の時間にはクラス全員でパレットで絵の具をグチャグチャ混ぜてたよ。そもそもチューブから出した絵の具をそのまま使っただけじゃまともな絵は描けないと思う。…本当に先生から話を聞いたんだろうか?と疑問に思うし、唐沢が水彩画を描いたことがあるのかも疑問だ。あと、「セル・ブーム」はアニメファンの間で起こったんじゃないだろうか。子供もセル画泥棒していたのかなあ。

 それにしても、このくだりは新聞の投書欄に載っていそうな文章だ。若干ヒステリーが入った正義感と意見を表明したいという願望がないまぜになっているのがいかにも投書っぽい。まあ、唐沢俊一は「鬼畜」とか「マニア」を名乗っているけど、時々びっくりするくらいベタなことを言うので別に驚くにはあたらないけど。岡田斗司夫風に言えば「お前普通じゃん」

 劇作家飯沢匡氏はこのアニメーションの“色”の劣悪さを常に指摘しておられる数少ない一人だが、この人のエッセイの中に、「木の緑を塗るとき、その線に少し他の色を混ぜて深みを出すということをせず、絵の具の“緑”をそのまま塗ってしまうからアニメの色は貧しくなるのである」という意味の一文がある。(あったと思う)

 昔から引用ができなかったんだなあ。「あったと思う」って。

 確かにそうなのだが、今日ここまでアニメ製作の仕事が巨密化され、色塗りの仕事が数え切れぬ程の末端スタジオ、さらには主婦のパート、果ては韓国台湾の方にまで分業されている現状ではこれは全くの不可能に近い。

 「巨密化」ってどういう意味なのかわからない。

言うまでもなくアニメというのは上から「ここは赤に塗れ」と指令がとべば、一せいに(原文ママ)“同じ”赤を下の人間が塗らねばならぬものだからである。昔はタツノコ・プロ等、規模のそう大きくないプロダクションでは市販の絵の具を自分達のところで混ぜあわせ、“オリジナルの色”を作っていたが、今の狂乱的なアニメ・ブームは、そういう家庭的な製作法も不可能にしてしまった。それでは商売にならんのだ。かくて、週に30本以上という作品がTVに流れる大ブームの中で、個々の作品の個性はますます失われ、画一化が進んでいく。 

 自前の絵の具を作るのにそんなにコストや手間がかかるものなのだろうか。それから、画一化が進んでいく中でも個々の作品の魅力を見出していくのが楽しいところだと思う。そういう手間を惜しむ人が「最近の作品はどれも同じ」とか言うんじゃないだろうか。

しかも、もし良心的な製作者がいて(こんな書き方をするのは「いないかもしれぬ」という不安があるからだが)、せめて色使いだけでも悪趣味にならぬように、と心がけたとしても、これがまた思い通りにはいかないのよ。TVアニメには、鬼よりこわいスポンサーというものがついているのだ。

 子供向けアニメのスポンサーは、その殆どが、提供している作品のキャラクター商品を販売している会社である。彼らが作品に要求するのはただひとつ、商品がよく売れるようなものを作れ、これだけである。失敗をおそれず、後世に残るすばらしいものを――などとはマチガッテモおっしゃらねんんだなァ(原文ママ)。商品が売れるためにはそれが目立たねばならぬ。目立つ色のキャラクターを作れ、と要求してくるのである。したがってTVニメ(原文ママ)の主人公達は皆赤やら青やら、チンドン屋もハダシで逃げ出す凄じい(原文ママ)色のカッコウをさせられる。こういうスポンサーの、最もお気に入りの色は何かというと、これが桃色、ピンクである。それも只のピンクじゃぁない、蛍光ピンク、ショッキングピンクなどと称するアノ色である。ショッキングピンクとはものすごい名もあったもので、初めて聞いたとき、僕ぁてっきりポルノ映画のタイトルだろうと思ったくらいだが、スポンサー様方はこの色が大層お好みで、何かといえばこの色を塗りたくらせたがる。可愛いドレスがピンク、ブラウスがピンク、スカートがピンク、これくらいはまだよかったがそのうちに車がピンク、連れている犬がピンク、ピンクの髪にピンクの軍服などというシュールなのまで出現した。

 …ああ、じゃあ、仮面ライダーディケイドがピンク(というかマゼンタ)なのも商品を売ろうとしたスポンサーの意向なんだ。あと、シャア専用ザクも実は赤ではなくピンクなんだけど、それもスポンサーの意向か(「ピンクの軍服」というのは連邦軍の女子の制服のことだろうけど)。…しかし、唐沢俊一はどの程度の根拠があってこういう話をしているのかなあ。ピンク色をしたキャラクターの商品が売れているというデータでもあったのだろうか。「全部スポンサーが悪い」ということにしておけばラクでいいんだろうけどね。1984年2ちゃんねるがあれば唐沢は幸せだったろうなあ、としか思えない。

スポンサーにしてみればそれが至上のことなのだからマア致しかたもないだろうが、この色、色彩心理学やっている人(原文ママ)に聞いたら、マコトに下品な色なのだという。他の色との調和など糞くらえとばかりに、ひたすら無理矢理、人の視界の中に割り込んでくる。こういう色のキャラクター商品の中にうずもれて育っている子供に、まっとうな色彩感覚の育つ方が不思議である。 

 このくだりには笑ってしまった。いや、だって「下品」っていうのは色彩心理学なんかやってなくたって言えるよ。「子供の発育に悪影響を与える有害な色」とかならまだわかるけど。さっきの小学校の先生といい、どうしてこうもおかしな人ばっかり出てくるんだ。本当にそんな人たちから話を聞いたのか、そんな人たちは実在するのか、と疑わしくなってしまう。

 少し前の話になるが、児童図書界に“ノンタン事件”なる騒ぎがあった。ノンタンという子猫を主人公にした一連のシリーズ絵本が、“色彩が下品で子供達に与えるにふさわしくない”と指摘されたのである。ところがこの絵本、作者達(夫妻で描いている)は「子供達がこれほど喜んでいるものの、どこが悪いのか」と反論した。これを取り上げた新聞も、この夫妻の側に同情的な記事にしていた。“お上が文句をつけた”ことに関しては、新聞は名誉にかけてという感じで文句つけられた方に味方するのが常である。しかしながら、僕はコトこの件に関する限り、文句をつけたお上に同意する。当のノンタンを僕も見てみたが、この絵本に使われている色というのが、赤、青、そして蛍光ピンク、まるでTVアニメなのだ。“子供の目は常に優れたものを選びます”というCMの文句があるが、ありゃ嘘の皮である。純粋、無垢なんてのは無知(または馬鹿)の代名詞だ。何がよくて何が悪いものなのか、大人が教えてやらなけりゃわかるワケがない。子供達がノンタンを手に取ったのは、それが他の絵本のどれより、“目立つ”色を使っていたからにすぎない。『アラレちゃん』や『デンジマン』の絵本はノンタンの少なくとも十倍は売れているだろうが、それらはノンタンより優れていたのだろうかね、そうじゃあるまい。子供達はTVアニメに近い色のノンタン(あるいは“アニメ絵本”)に喜ぶが、TVアニメそのものであるアラレちゃんであればもっと喜ぶのであります。理の当然というべきあね(原文ママ)。

 『ノンタン』がヒットしたのは「色」が理由というのは決め付けが凄すぎるなあ。だいたいノンタンって「白い子猫なんだけど。しかし、『ノンタン』の色彩がダメなら『ミッフィー』もダメになっちゃうんじゃないか? 

 いまの子供達は、白黒の映画を見て、「あれはどうやって色を消すの」と質問してくるそうである。そういう世代の子供達に与える色に、我々は少し無関心にすぎないか。ソ連東欧などの子供向アニメを見てまず感動するのは、心に染み入ると形容してオーバーでない程のその色彩の美しさ(特に青系統を中心としたそれ)である。おそらくは文化庁みたいなところに専門家がいて指導しているのだろう。この点においてだけ、僕はソ連びいきである。もちろん、問題は絵の具だけではない。フィルム、例えば東映で使っているフジフィルムの赤色の発色の下品さは見るに耐えないものであり、ここにまで改革の手をのばさねば本当はいけないのだが、まずとりあえずはあのアニメックスの色である。あれを何とかせぬ限り、十年後、二十年後の日本美術界の惨状は目に見えているように思う。子供の頃メチャクチャにされた感覚はどうしたって修正できるものじゃない。

 「フジフィルムの赤色の発色の下品さ」については12月11日の記事藤岡真さんのコメントを参照。スポンサー批判をする一方で「文化庁みたいなところで専門家がいて指導している」と書いているのが興味深い。…ところで、唐沢は「改革の手」を伸ばしたのだろうか。


 ハイジ』を作ったスタッフの皆様にお聞きする、あなたはあの“名作”をつくるにあたって実際にスイスまでお出かけになったという話だが、スイスの山を駆ける乙女の桜色の頬は、本当に、アニメックスのあの頬の色であったのでしょうか。貴方がたが現地で味わった感動を子供達に伝えたいと思うとき、アニメックス塗料のアクリルのあの冷たい光沢は、それを伝える最も適当な材料といえるでしょうか。冷たい宇宙空間の中に浮かぶヒーローの肌の色も太陽のふりそそぐ草原で遊ぶ女の子の肌の色も、今のTVアニメでは同じ色で塗られているのです。

 「“名作”」ってのがイヤミだな。アニメックスカラーがダメなら何を使えばいいのかも書いてくれればよかったのに。ただ、唐沢も現在ではこの文章については反省しているようだ。『BSアニメ夜話ムックVol.7 アルプスの少女ハイジ』(キネマ旬報社)P.114より。

アニドウというグループに参加していた時、「今あるアニメーションを良いと言っているだけでは駄目だ。『アルプスの少女ハイジ』は名作だと言われているけれども、所詮はセルに塗料を塗っただけで、あれでスイスの素晴らしい山々の雰囲気が出せるものか!」という論旨を会誌に載せたりしたことを、今でも覚えてますよ。ひどいね(笑)。

 かつてアニメの色彩は、“文化”そのものであった。太平洋戦争のとき、ナチスドイツでさえそれだけには手出しをしようとしなかったディズニー漫画映画を、日本軍部は敵国映画として真ッ先に上映を禁止した。その禁止理由として、“色彩のすばらしさによってアメリカ文化へのあこがれの念を国民に抱かしめることを防止するため”とあったという。従軍記者として南方で『ファンタジア』を見た徳川夢声はその色彩に仰天し、「これは大変な国と戦争を始めてしまった」とそれだけで日本の敗北を予見したという。色彩の差が即ち文化の差であり、国力の差であったのだ。戦後数十年、今や世界で最も豊かな国となった我が日本の作ったアニメーションは、かつてのディズニーのごとく、色彩で人の心をふるえさせ得るであろうか。

 戦前(正確には既に開戦していたが)最後に上映されたアメリカ映画は『スミス都へ行く』らしい(毎日新聞『余録』12月8日)。ディズニー作品が真っ先に上映禁止されたということでもないのではないか。それから、徳川夢声は慰問先のシンガポールで『ファンタジア』と『風と共に去りぬ』を観ているので「従軍記者」というのはどうか。


 感想を一言で言えば、「何かしら立派なことを言いたかったのだろうな」である。一応それなりに立派なことを言っているようなのだが、教育的観点から色彩について考えているのか、日本のアニメーションの色彩のありかたを考えているのか、どうもはっきりしないのだ。話に具体性が乏しいうえに疑問を抱かざるを得ない部分が多いのも困る。とはいえ、なにぶんデビュー前の文章だし、背伸びをして立派なことを言おうとしたことは自分もあるから、それだけで責める気にはなれないが、この話には実はオチがある。唐沢俊一『朝日新聞』2008年1月27日の書評欄でこんなことを書いているのだ。

恥を忍んで告白するが、印象派の絵画というのがよくわからない。ルノワールセザンヌも、いい絵だとは思うのだが、別に面白みが感じられず、展覧会などに行っても、ひとわたり見た後で、ベンチに座って同行者が見終わるのを退屈しながら待っているのが常である。だが、これがダリのような超現実派や、また聖画、歴史画などの展覧会なら、何時間見ていても飽きないのだから、その絵の嗜好(しこう)の偏りには我ながら呆(あき)れる。

 印象派がよくわからないのに色彩についてあれこれ語っていたのか。無茶しやがって…。


D

市橋(キャンバス)は君のもの。

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EXモチロンEXモチロン 2009/12/23 11:21 『社会派くんがゆく! 疾風編』の揚げ足とりはまだですか。

元エロ本ライター元エロ本ライター 2009/12/23 12:51 飛行機が銀色の場合、ふつうは塗装ではなく、ジュラルミンの素材の色ですよ。
唐沢って、本当に、本当に、本当に、知能に障害があるのではないでしょうか?

NNTNNT 2009/12/23 14:30 >十年後、二十年後の日本美術界の惨状は目に見えているように思う。
というか、自分の惨状も見えていなかったんですね。

村木村木 2009/12/23 14:33 みなさん、日頃のストレスを唐沢を馬鹿にすることで発散なさっておられるんですね。

カラフルカラフル 2009/12/23 17:29 私、色彩関係の仕事をしていますが、この、根拠の全くない、自分の感性(主観)のみに基づいた批判の文章はひどいですね。文中に出てくる「色彩心理学者」はいないと思います。というか、もし本当にこんなことを言っている色彩心理学者がいたらそれはそれで大問題です。色に対する感覚は人それぞれです。多くの人がその色に対してどのように感じるのか、という研究はよくありますが、ショッキングピンク=下品って…。あきれてしまいます。色を客観的に見ることが出来ない人間は色彩の専門的な勉強をしていません。まあ、唐沢の場合は色という切り口でアニメをこき下ろしたかっただけでしょうが、馬鹿丸出しですね。

はりはり亭はりはり亭 2009/12/23 21:17 リヒテルが飛行機嫌いだというのは本当ですが、銀色の塗料(?)が原因だというのは初耳です。私の知らないソースがあるんだろうか...
というか銀色でない飛行機なら乗ったということなんでしょうか。芸術家に限らず飛行機がどうしてもダメ、という人は多いと思うのですが。
でもリヒテルが話の枕、以下全然関係ないというのもひどい。唐沢氏がリヒテル、というかクラシックのピアノ曲を聴いたことがあるとはとても思えません。
この20世紀の怪物ピアニストを愛する者として非常に不快です。
それにしても今回の文章はそれ以前に支離滅裂で意味を追うのに一苦労しました(これでよくなったのか...)。
最近の文章ならボケを疑うところなのですが、26才のときですか。うーん。
なんでこんな人の文章を一時期信用してたんだろう...

金平糖金平糖 2009/12/23 23:58 ピンクが下品と言う発想は、ピンクフィルムやピンクチラシからのものでしょう。
もしも色彩心理学者が実在の人物ならおそらく、何らかの意味でピンクの問題点を
口にしたのを唐沢氏が脳内で「よくない」=「下品」のような変換をしたのでしょう。
色彩心理学者は一般的にピンクを下品とは思っていないでしょう。
ソフトバンクの携帯で色彩心理学者が癒しをテーマに監修したものにビビッドピンクの携帯もありますしね。


美術教師については同意できる点もあったりします。
私自身、人に絵を教えていた時期があったのですが
アニメの弊害は大きいと感じていました。
単純な色の選択の話ではないのですが、単色で色を塗ろうとするのです。
たとえばりんごの絵を描かせるとりんごの輪郭を描いて中を赤一色で塗るわけです。
陰をつけて立体感を持たせようとしたときにラインを引いて陰の色と2色で塗るわけです。
明るい色のりんごを描かせても暗い色のりんごを描かせても、いつものりんごの色で塗るのです。
本来、実物を紙の上に写し取る際に行われるディフォルメの作業が
先にディフォルメがあってそのディフォルメされた絵を紙に描くのです。
極端な子になると緑色のりんごを描かせても赤く塗るのですよ。

ディフォルメされたもの、単色で塗られたものに触れすぎて
自分で目の前の物体の特徴を抽出して写し取ることが苦手になってるんですね。

この傾向は絵が上手いといわれる子供の方が強かったりします。
空は水色、雲は白、海は青、木は茶色、葉は緑、
決められた場所を決められた色で塗りつぶした絵を見ていると
お前たちは本当に空の色がどんな色をしているのか自分の目で確かめたのかと言いたくなる。
というかまあ、実際そう言って書き直させるわけだが
人工物に囲まれた環境ではどうしてもはっきりした色が目に付くわけで
もっと自然の中で自然の色を体感して、自分の感覚で自由に色を使って欲しいと思うわけです。

まあ、空の色が移り変わるのを何時間もぼーっと眺めていると
警官に職務質問されるわけですが、時々思い出したように空の色を確かめて欲しいなと思うわけです。

有慶館有慶館 2009/12/24 01:47 >太平洋戦争のとき、ナチスドイツでさえそれだけには手出しをしようとしなかったディズニーの漫画映画を、日本軍部は敵国映画として真ッ先に上映を禁止した。その禁止理由として、“色彩のすばらしさによってアメリカ文化へのあこがれの念を国民に抱かしめることを防止するため”とあったという。

うそです。ディズニーのカラー長編アニメは昭和16年12月8日以前に日本国内に輸入されていません。存在しない映画の上映を禁止することは、いかに日本軍が優秀といえど不可能です。そもそも映画公開の可否を決するのは軍部ではなく内務省の仕事ですし。

EXモロチンEXモロチン 2009/12/24 01:58 >『社会派くんがゆく! 疾風編』の揚げ足とりはまだですか。

だれかさんの足が糖尿病性壊疽でモゲる方が先かも知れませんね。

木寸木木寸木 2009/12/24 02:01 >みなさん、日頃のストレスを唐沢を馬鹿にすることで発散なさっておられるんですね。

テキトーにストレス発散しないとアルシンドになっちゃうんですよ、ええ。

nyannnyann 2009/12/24 08:01 『ファンタジア』は知りませんが『オズの魔法使い』や『風と共に去りぬ』は、
色彩が美しいとかテクニカラー方式が敵性であると判断されたよりも、戦時体制が進む中で
フィルムの輸入もままならなくなって、自前のフィルムを作らなければならなかったという
背景があるみたいです。詳しいことはフィルムセンターの岡田さんが書いている、

>国産カラーの時代
http://users.ejnet.ne.jp/~manuke/zatsu/eiga/kokusan.html

にまとめてあって勉強になりました。あと角田房子の『甘粕大尉』にも、甘粕が満映の遺産として
出向してきた小西六の技術者にカラー映画を作ることを指示するエピソードがありました
(ひょっとしたら『龍』にもそのエピソードがあったかも)。

事実のうわべだけすくい取って良く調べもせずに並べ立ててしまうのは唐沢さんの
悪い癖だと思いますが、ライターとして基本的な部分が出来ていないのはどうかと。

うさぎ林檎うさぎ林檎 2009/12/24 12:02 高校生の時(ラスカルの頃……あー年がばれる)に漫研でアニメを作ったことがあります。
セル塗り要員でしたから大したことは知りませんが、アニメカラーの種類はたくさんあったと記憶してます。
少なくとも「赤」「青」なんて単純ではありませんでしたよ。
一色でべたっと塗るなんてこともありません、高校生の部活でお金がないので潤沢に色を使うコトは出来ませんでしたが
それでも陰影を付けるために何色か塗りました(トレースは黒だけじゃないし)。
唐沢氏は(この段階では)原画を見たこと無かったんじゃないでしょうか、
見たことがあれば、同じパートでも何色か指定してあるのは一目瞭然なんですけど。
文化祭でラスカルの背景原画を撮影所から何枚かお借りして展示したんですが、緻密でそれはもううっとりするような色彩でした。
アニメの色彩が貧困(勿論、予算・時間の関係でそういうのもあるでしょうが)だと言う発想は
唐沢氏が単にアニメを見ていないから、じゃないんでしょうか。

通りすがりの飛行機スキー通りすがりの飛行機スキー 2009/12/24 22:53 >飛行機が銀色の場合、ふつうは塗装ではなく、ジュラルミンの素材の色ですよ。

戦前の航空機は羽布張りや木製外皮の機体でも銀色塗装にすることが少なくなかったので、若き日のリヒテルが布や木をわざわざ銀色に塗ってしまうセンスを嫌ったという可能性もゼロではないと思います。
ただまあ、色より何より悪名高きアエロフロートの乗り心地が原因じゃないのかと疑う方が自然ですけれども。

kokada_jnetkokada_jnet 2009/12/24 23:01 徳川夢声は、シンガポールで「ファンタジア」を見た際に、「色彩」だけに感動した訳ではありません。この頃から、自分の都合のいいように事実をまげる文章を書いていたのですね。

>ディズニーの「ファンタジア」を見る。なんともかとも、物凄い作品である。またしても私は憂鬱になる。
>先夜「風とともに去りぬ」を見た時も、アメリカに圧迫を感じたが、しかしアメリカは要するに物量の国だから、そういう点では日本が劣っていてもしかたがない−−ただ精神面や芸術面では日本のほうが遥かに上であろう−−こう考えて、いくらか慰めていた。
>ところがこの「ファンタジア」を見ると、精神面や芸術面においても、どうもバカにできない気がする。ストコニフスキイが指揮する名曲なるものは、世界第一流の芸術であろう。その大芸術に、ディズニーは世にも素晴らしい絵をつけて、音楽と共にそれを動かしてみせる。
>アメリカの民衆は、映画館でこんな大したものを見せられているのだ。
>日本は負けはしないだろうか。こんな映画をつくる国に、勝つなんてことは非常に難しいわい!

「夢声戦争日記」中公文庫版3巻 昭和18年1月8日分から

みたかみたか 2009/12/25 03:00  一定の枠の中、一定の範囲を、一つの色で濃淡無くべったり均一に塗るからといって芸術性が落ちるとは限りません。浮世絵がその手法で制作されており、ゴーギャンを始め多くの画家が意図的にまねていたりすることから、それはそれで美しいものであるとも言えます。もちろん浮世絵は版画だから、そうするしかなかったんですけどね。
 アニメも手法上、浮世絵に近いのはしかたありません。
 美しくできない、微妙な色が出せない、自然とかけ離れた色であるというのは費用上の問題であって、美意識の問題ではないでしょう。
 浮世絵も幕末期、贅沢禁止で色数の制限が出ると、かなり現実離れした色彩になっています。近年まで、中華人民共和国の芸術展などは、技術的には素晴らしいものなのに、絵の具の色数が少なくて残念なことになっていたりもしましたし。
 つまり、制作費の問題なんだと思いますよ。

ねじねじ 2009/12/25 22:11 アニメの彩色についてはちっとも分からないため関連しているかも不明なのですが、ふと思い出したので。
岩波新書の「日本語と外国語/鈴木孝夫著」によると、同一のものに対して外国人と日本人では色の割り当てが違うことがままあるそうです。
みたかさんのおっしゃる浮世絵からくる日本文化の背景と色に対する感覚の違いなどを考えると、外国と違うのは当然なようにも思えます。特に昔のことならなおさらに。

>色彩のすばらしさによってアメリカ文化へのあこがれの念を国民に抱かしめることを防止するため”
ガセはさておいても、単に目新しいものは新鮮に映るくらいなのでは。
様々な国で、特有の色使いをした作品だってそれぞれ魅力的ですよね。

EXモチロンEXモチロン 2009/12/27 20:01 >だれかさんの足が糖尿病性壊疽でモゲる方が先かも知れませんね。
だれかさんて唐沢のこと?
唐沢は足が悪いの?

kensyouhankensyouhan 2009/12/28 14:33 >EXモチロンさん
ちょこっとやってみました。

>元エロ本ライターさん
「銀以外の塗料を塗っておけば大丈夫なんじゃ?」と思いましたが。

>NNTさん
プロとして20年活動したのはすごいですけどね。

>村木さん
自分の場合あまりストレスを解消できてないですけどね。検証したせいでかえって自分の恥ずかしい部分を曝け出してしまっているかもしれないと思うと憂鬱ですし、コミケで顔出ししたせいで面倒なことになったりしてますし。

>カラフルさん
「唐沢が色彩心理学者の存在をデッチあげた」のと「そんな色彩心理学者が実在する」のはどっちがマシなんだろう。

>はりはり亭さん
本当に小耳に挟んだ程度で話をしているんでしょうね。

>金平糖さん
この記事を書きながら、いわゆる「色彩公害」はどうなるんだ?と思ってました。

>nyannさん
アニメの色彩について専門的に語ることもできたはずなんですけど。…いや、できないからヘンな難癖をつけているのか。

>うさぎ林檎さん
原画を見たことがないのか、見ても理解できなかったのか。

>有慶館さん
たしかに「軍部」が禁止するのはヘンですね。

>通りすがりの飛行機スキー さん
グレイハウンドにも乗れなかったのかも。

>kokada_jnet さん
だから、後の問題点は既にこの時に出ているんですよ。プロになる前の文章を取り上げる意味は十分にあるわけです。

>みたかさん
唐沢には「制作費」という観点が欠けているのかもしれません。

>ねじさん
日本と外国の違いを考慮していない点は、『FILM1/24』のもうひとつの署名記事の方にも現れています。

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