日米同盟について考えるシリーズの3回目です。普天間基地移設問題の余波が思いがけない形で及んだ場所があります。日本を象徴する富士山の麓、静岡からの報告です。
毎年夏、国内最大の自衛隊の実弾演習が実施されているのが、静岡県内にある東富士演習場です。富士山麓に広がる自衛隊の東富士演習場、その一角にあるキャンプ富士は、占領時代の名残のアメリカ軍施設として、全面返還が約束されていました。しかし、ここにきてその存在が注目を集め、地元に不安が広がっています。
「聞いてません。そういう話はどこから持ち上がってるんですか」(静岡県・川勝平太 知事)
去年暮れ、アメリカ国務省のキャンベル次官補の発言として、沖縄の普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設に伴い、海兵隊のヘリコプター訓練の一部を、このキャンプ富士に移す用意があると伝えられました。
「何も決まってないでしょ、まだ。うちの政府の腰が据わっていないので、そこを心配してますね、むしろ」(静岡県・川勝平太 知事)
地元は、すぐさまこれに猛反発。行政と地権者団体が国に対し抗議の申し入れをしました。
「容認はできない。根本的なところで話が違うのではないか」(御殿場市・若林洋平 市長)
東富士演習場はその6割が民有地などで、国のものではありません。戦後、アメリカ軍とのさまざまなトラブルの末、国と地元は1959年、将来的にはアメリカからの全面返還を大前提に、自衛隊の演習とアメリカ軍の一時使用を認める使用協定を結びました。
しかし、半世紀が経っても治外法権を持ち、2000人規模の部隊の収容が可能なキャンプ富士は残ったまま。1996年には沖縄のアメリカ軍訓練の分散移転も受け入れました。
「東富士というのは、占領下から始めて、ずっと内地では一番の被害を被ってるところで、政権が代わったからといって、即そういう考えかたを持つのは、どうかなと。もう少し過去の歴史を調べてほしい。痛切に感じております」(地域農民再建連盟 勝又幸作 委員長)
地元と国が取り交わす使用協定は、今年3月に期間満了を迎えます。もし、新たなアメリカ軍の訓練移転が具体化すれば、協定は更新せず白紙に戻し、アメリカ軍のみならず、自衛隊の使用も認めないという、地元は強い態度で新政権との交渉に臨む方針です。(07日23:09)