松本に住む建設や土木の若い作業員たちは、「まだ飯田の方には仕事があるんで、あっちに行ってます」。近所でコンピュータ関係の自営業をやっている男性は、「いまは伊那に仕事があるから通ってますけど、その仕事も今年から無くなるので、東京へ行こうと思ってます」。銀座で働いている30歳ぐらいのバーテンダーからは、こんな話を聞きました。
自分が知ってるだけでも、3人が北京や上海で働いています。給料は安くても、物価や税金が安いから貯金ができるんだとか。日本語しかできない人も、向こうに行ってる。日本で店をやるのは都会でも大変だから、自分もあっちに行って様子を見てこようと思ってます。
地方に仕事がなければ、都会へ。都会も不景気ならば、中国へ。顔見知りの若い人たちが、次々に移動しています。
CNBCの"Rebuilding America(アメリカの再建)"という番組は、参加者たちの真剣な眼差しが印象的。場所は、ペンシルバニア州のピッツバーグにある名門カーネギー・メロン大学。「我々は失業と戦うんだ!」というアメリカ人たちの迫力が伝わってきます。トヨタやシャープという企業名も少しだけ出てきますが、なにより中国の脅威が話し合われている。女性の労働長官の説明にも、「ひとりひとりの労働者に、ぜひ分かってもらいたい!」という意志が現れています。
世界一の経済大国が、ここまで危機感をもっている。日本は、どうでしょう。のどかな正月の番組で挨拶をしている知事も市長も、与えられた椅子に満足しきっているのか、切実な訴えをしていない。そもそも雇用の問題に真剣に取り組んでいるようには見えない。多くの経済番組が、小さな成功事例を取り上げることで体裁を取り繕っています。
「ダメだな」と思う番組は、もう見ない。英語の番組に慣れたほうが、自分のためになるように思えます。そして雇用を生み出そうとする切実な気持ちを持たない人の名前を、もう投票用紙に書いたりはしない。これが大事な点だと思います。