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ようこそCinemaロケ隊:/6 川口 スタッフロールに感激 /埼玉

 川口市で03年、NHKラジオ放送所跡地に県の映像産業総合施設「SKIPシティ」が開業した。以来、官民挙げて、映像産業の町を目指している。毎年20作以上の映画やドラマが撮影され、中には映画「20世紀少年」、ドラマ「坂の上の雲」などの大作もある。

 NPO法人「さいたま映像ボランティアの会」(児玉洋介理事長)は、SKIPシティの運営を支援しようと、元市職員の田中一成さん(68)が中心となって01年に設立された。その時に事務局を任せられる人として白羽の矢が立ったのが、浅見洋子さん(59)だ。

 浅見さんは、田中さんが勤務していた市の総合文化センターを拠点にするアマチュア演劇に参加していて、素人から始めて演劇グループの会長を任されるまでになった。その行動力を見込まれた。

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 請われて入ったNPOだが、浅見さんの仕事は地味な事務作業ばかりだ。

 特に大変なのが、シティ内にある映像ミュージアムのガイドボランティアや小中学校の映像制作授業の講師、エキストラなどの手配。ボランティア登録している約600人の会員を調整しながら、年間延べ約6000人を派遣する。スケジュールの管理だけでてんてこ舞いになる。

 約30年前に千葉県から嫁いでずっと川口に住み、亡夫の後を継いだ倉庫会社の面倒も見る。NPOの仕事をするうちに好きになった映画を見る時間も満足に取れない。

 でも忘れられない思い出がある。

 07年冬。SKIPシティで吉永小百合さん主演の「母べえ」が撮影された。吉永さんは後の完成記者会見で、川口の思い出を「豚汁が温かくて、ありがたかった」と話したという。鋳物工場を舞台とした名作「キューポラのある街」(1962年公開)に主演して川口を全国に知らしめた吉永さんは、市民にとって特別な存在だ。「豚汁の話を聞いたときは、本当に感激したわ」と、浅見さんは目を潤ませる。

 そして「一番うれしいのは、映画の終わりに、携わった人の名前が並ぶスタッフロールの『協力・川口』の文字。あれを見るたび、川口に来てよかったと心から思えるんです」。浅見さんの忙しい日々はまだまだ続きそうだ。【岸本悠】=つづく

毎日新聞 2010年1月7日 地方版

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