金融庁は7日、韓国外換銀行に対して、不適切な取引があったとして14日から3カ月間の業務停止を命じた。顧客が暴力団関係者から一時的に4億円を借りて「見せ金」として預金することに、元大阪支店長が協力していた。業務停止の間も、送金といった顧客が求める業務はできる。
金融庁によると支店長は2007年3月、顧客と暴力団関係者が来店したとき、ゴルフ場買収の見せ金として使われることを知りながら、預金残高証明書を発行。行内の法令順守担当者が金融庁への届け出を求めたが、暴力団関係者の関与を隠して報告するよう指示したという。ゴルフ場の買収自体は実現しなかった。
このほか、支店長は05年12月から08年2月にかけて、経費の架空計上で数百万円を飲食費などに流用していた。
内部監査で発覚したが金融庁には隠したまま支店長を08年4月に韓国に戻して解雇。金融庁は同年5月からの検査で問題を知ったが、銀行側の隠蔽(いんぺい)行為もあり、処分まで時間がかかったという。
同行は06年にも無免許の海外送金業者の「地下銀行」と取引していたとして、3カ月間の一部業務停止命令を受けている。金融庁は「2度目の処分であり極めて遺憾。韓国の本店にも日本支店の監視強化を求めた」としている。
同行は韓国政府全額出資の外国為替専門銀として発足。89年の民営化後も海外送金業務に強い大手として知られる。日本の2支店は、預金残高が478億円(09年9月末)、従業員は51人。「法令順守態勢に問題があった。再発防止を徹底する」としている。