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ようこそCinemaロケ隊:/3 鷲宮 即行動がモットー /埼玉

 「学生さん、いよいよ映画の撮影かい? よかったらお弁当あげるから、食べなよ」。鷲宮町鷲宮2の仕出し店「魚光」の大鹿光子さん(69)が張りのある声でセリフを再現してくれた。町商工会が制作中の映画「鷲宮☆物語(仮題)」の一場面。「突然やって来て、ぶっつけ本番。シナリオ通りじゃないけど何とか言えました」。笑って振り返った。

 鷲宮神社などを舞台にした人気アニメ「らき☆すた」による町おこしに取り組む商工会が、実写映画への「進出」を決めたのは08年秋。「野ブタ。をプロデュース」などの演出家、北川敬一さん=さいたま市桜区=から「今までにない地域映画を撮りたい」と持ちかけられたのが、きっかけだった。

 経営指導員の松本真治さん(32)が語る。「消極論もありましたが、観光資源のない町がアニメ一つでここまで盛り上がった。ならば次のチャンスを待つだけでなく、打って出ようと。『即行動』が商工会のモットーですから」

 企画案を公募し、「町のPR映画作りを頼まれた若者たちが奮闘する青春ドタバタコメディー」に固まった。製作費として中小企業庁の補助金800万円が認められ、撮影に入ったのは昨年9月。本多健治町長や商工会青年部、アニメファンの若者らも出演した。「エキストラを募集したら、翌日のロケに70人も集まった。このノリのよさが鷲宮の身上」と松本さん。

 監督を務める北川さんは「この町にも後継者難や不況という現実がある。そこでたくましく生きる人たちの姿が浮かび上がれば」と意気込む。編集作業を経て公開されるのは今年3月の予定。

 商工会は、さまざまなロケを誘致・支援するフィルムコミッションの窓口でもある。松本さんが言う。「誘致のカギは差別化。私たちの武器は景色じゃない。ここに集い、暮らす『人』なんです」【平野幸治】=つづく

毎日新聞 2010年1月4日 地方版

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