同じ人間でも、生活環境の違いによって、腸の長さに違いがあるのをご存知ですか?
日本人の小腸の長さは6~7メートルで、大腸は1.5~2メートルと言われています。これは、欧米人よりも、小腸・大腸あわせて2~3メートル長いそうです。
なぜこのような差が生まれたのか?それには古来から続く民族間の食習慣の違いが大きく関係していると言われています。日本人は主食である米をはじめ、魚介類や野菜類を多く食べてきました。これらの食べ物は比較的低栄養なため、できるだけたくさんの栄養分を吸収しようと徐々に腸を長くして、吸収する面積を増やしてきた、ということが言われています。また、野菜に食物繊維が多く含まれていることも要因のひとつと考えられています。食物繊維は消化されにくく、ゆっくりと時間をかけて消化することが必要で、このため腸は徐々に長くなったのだと考えられます。
一方、欧米人の腸が短いのは、肉類の多い食生活によるものと言われています。肉や脂肪は腸の中で腐敗しやすく、早く身体の外に出す必要があるために、腸は短くなくてはならなかったようです。
この違いは、人間以外の動物に置き換えると分かりやすいかもしれません。たとえば、羊の腸は体長の20倍以上の長さがありますが、ライオンでは体長の約4倍にすぎません。その背景には、やはり食べる物の違いがあります。かたい筋の多い草を食べている羊は、その消化のために長い腸が必要ですが、肉食動物のライオンは、短い腸で十分だというわけです。
食べ物と身体が切っても切れない関係にあることが、腸の長さからもうかがえるとは、非常に興味深い話です。