捜査関係者によると、押尾容疑者が「(昨年8月2日午後)5時台後半だった」と供述したのは、その翌日にMDMA使用容疑で逮捕された際の取り調べ中。MDMA服用後に死亡した銀座のクラブホステス、田中香織さんの容体急変から死亡までの時間が、これまでの調べより、さらに広がったことになる。
では、なぜ最初の供述を翻したのか? 押尾容疑者は責任者遺棄致死で立件されることを恐れ、途中から「異変が始まったのは6時半ごろ」と虚偽の説明をするようになった。さらに、「救命措置をする時間はなかった」と同容疑を否認し始めたという。
警視庁捜査1課は、田中さんは6時ごろに体調の異変が始まり、7時ごろに死亡したとして、専門家に分析を依頼。6時ごろに押尾容疑者が119番通報していれば、8割以上の確率で助かったと結論づけたばかりだった。5時台後半となると、ほぼ確実に彼女を救えたことになる。
さらに、6日放送のフジテレビ系「スーパーニュース」によると、押尾容疑者が119番通報しなかった理由について、「もうダメだと思い、救急車を呼ばなかった」と供述していることも分かった。
警視庁の調べに対し、「ぐったりしていたが、すぐに死んでしまった」と話し、「肩やほおを叩いたが、反応はなく、心臓マッサージや人工呼吸をしたが、変化がなかったので放置した」と供述しているという。
容疑については依然否認したままだが、昨年8月の第1回目逮捕から5カ月。事件の全容がようやく明らかになり始めた。それを受けて、東京地裁ではこの日、押尾容疑者の拘置を決定。期間は15日までの10日間になり、警視庁はさらに厳しく追及する方針だ。
保護責任者遺棄致死容疑の立件を恐れて、虚偽の説明を繰り返す押尾容疑者が、ますます逃げられなくなってきた。